■Shotgun / Vanilla Fudge (Atco / 日本グラモフォン)
何時までも過去を引きずっているとはいえ、サイケおやじがど~しても抜け出せない世界にバニラ・ファッジがあります。
つまり、そのヘヴィでバチェラーパーティーのような混濁的バカ騒ぎが、サイケデリックロックの本質を部分的にせよ、ストレートに実感させてくれるところに、バニラ・ファッジの歌と演奏の真髄があるんじゃ~ないかと思い込んでいるんですねぇ~♪
中でも本日ご紹介のシングル盤A面曲「Shotgun」は、黒人R&Bを極めてニューロックに解釈した、まさにその状況の決定版! 我国でもゴールデン・カップス等々がGSブーム期にカパーしていた有名曲ではありますが、バニラ・ファッジのバージョンは突出してハードなゴッタ煮フィーリングが楽しめますよ♪♪~♪
と書きながら、やはりこれで「楽しむ」なんてことが可能なのは、それが本当に好きな愛好者だけなのかもしませんねぇ……。
なにしろ重~~いロックビートが根底に据えられ、そこにギンギンのギターやブリブリのエレキベース、ドカドカうるさいドラムスにグリグリのオルガンがジコチュウの対決を四竦みでやり抜いているんですから、どうかすると、頭が変になりそう!? という皆様も大勢いらっしゃるでしょうか。
うむ、確かにそういうところは否定出来ません。
やらずぶったくり気味ボーカル&コーラスもアブナイ雰囲気です。
しかし、あえてシングル盤として出しているのは、ヒット性が見込まれていたわけで、もちろんこれが収録されているLP「ニア・ザ・ビギニング」を買えないファン向けという側面もあるでしょう。
それでも1969年という時代の雰囲気は、現在でもここに凝縮されているとおり、ある意味でのヤケッパチな狂騒があったと思います。
ですから、すっかり刷り込まれているサイケおやじは、ど~にか入れてもらっているバンドでは何時も、これを演奏したくてメンバーに提案するのですが、常に却下……。まあ、なんとか練習の息抜きというか、ジャムセッション風にメンバー各々の持ちネタフレーズの確認とか、そんな風に使われる程度なんですから、不遜ですよねぇ~。
もちろんサイケおやじは、その都度マジなんですが、周囲が理解してくれないわけです。
ということで、結局はバニラ・ファッジをやりたいなんていう事自体が、1970年代中頃以降になると場違いでした。
それはバニラ・ファッジそのものが、1970年代に生き残れなかった現実とリンクしているのは言わずもがな、既にして「サイケデリック」とか「混濁」なんていう表現方法が過去の遺物の証明であり、そこに拘泥する者はオタクなんて言葉はリアルタイムではありませんでしたから、時代遅れの古い奴!
と、失笑されるのがオチだったのです。
まあ、この状況は現在でも変わっていないでしょう。
なにしろバニラ・ファッジの復刻状況は決して芳しくありませんし、マニアックな領域での扱いも不十分なんですから、こうして嘆くのが精一杯……。
でも、それで良しとするのが、バニラ・ファッジのファン気質とも思えるのでした。