■Another Day / Paul McCartney (Apple / 東芝)
ポール・マッカトニーの最高傑作アルバムとは?
その回答には諸説ありますが、個人的には1971年に出された「ラム」が一番好きです。
ご存じのとおり、1970年4月10日に報道されたビートルズからのポール脱退という衝撃的大ニュースは、ポール自らのソロアルバム「マッカートニー」がその1週間後に発売された事により既定の事実になりましたが、問題のLP「マッカートニー」がほとんど「宅録」であったこともあり、世界中で散々な酷評!?
しかも様々な内幕報道には虚実が入り乱れていながら、なにかポールだけが悪者扱いだった事は、当時をリアルタイムで体験された皆様には痛切な思いじゃないでしょうか。
さらに当時の他のビートル、つまりジョンは大傑作「ジョンの魂」を、またジョージは畢生の大作3枚組LP「金字塔」という歴史的名盤アルバムを発表していましたし、リンゴもスタンダード曲や十八番のC&Wを歌ったアルバムを出しつつもマイペースな活動で存在感を示していたのですから、如何にもポールは苦しい状況の様に思えたのが、リアルタイムのファン感覚だったはずです。
ところが、流石はポール!
ついに逆襲(?)に転じたのが、本日ご紹介のシングル曲「Another Day」であり、おそらくはポールにとっては初めての公式シングル盤であったと思われますが、見事に世界中で大ヒットさせたのですから、やっぱりメロディの天才は不滅でした。
それが欧米では1971年2月、我国では4月の出来事であって、その頃のラジオの洋楽番組では、ジョージの「美しき人生 / What Is Lif」、ジョンの「人々に勇気を / Power To The People」、そしてリンゴの「明日の願い / It Don't Come Easy」という元ビートルズの4人が各々のソロプロジェクトでヒットを競うという、今では夢の状況がありましたですねぇ~♪
おまけに続く朗報として、いよいよ近々、ポールの本格的なスタジオレコーディングによる新作アルバムが出るというのですから、洋楽マスコミは率先して盛り上げに走っていたことも懐かしく思いだされるわけですが、それこそ、冒頭に述べた「ラム」であることは言うまでもないでしょう。
ただし、ポールには「マッカートニー」で些かのヘタレを演じた前科(?)がありますから、新作への疑念を抱いたファンも多かったと思います。
と、同時に、その新作の先行シングルとも言える「Another Day」の出来の良さは圧倒的でしたから、闇雲な期待も許されるんじゃないか?
そんな雰囲気も確かにありました。
もちろん今日の歴史としては、新作となった「ラム」はポールにとっては起死回生の一発であり、決定的名盤になっていますから、何時までも昔の事を詮索するのは野暮かもしれません。
しかし、そんな思いを覆してくれそうなトンデモ系のブツとして、いよいよ「ラム」のDXエディションが発売されてしまうんですねぇ~~♪
当然ながらサイケおやじは予約しておりますが、果たして今回も封が破れない症候群を今から自覚しているんですから、情けない……。
ということで、なんとか冷静さを保つ努力から始めないと、これはキツイでしょう。
そういう予感は確かに残っているのでした。