OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スペクトラムのドンズバ

2014-08-22 15:20:31 | 日本のロック

トマトイッパツ / スペクトラム (日本ビクター)

1970年代前半をピークとしてのブラスロックはBS&Tシカゴ、さらにはチェイス等々、我が国でも人気の高かったバンドが多大な影響を残し、それは歌謡曲にも存分に流用されていたわけですが、そのルーツには黒人系ソウルミュージックがある事は、1970年代後半から大ブレイクしたアース・ウインド&ファイアー=EW&Fにも明らかでしょう。

そして当然ながら、そのフォロワーがどっさり登場していたのは言わずもがな、しかしその演奏能力の優劣が忽ち表面化するスタイルゆえに、決して大衆を納得させるグループは極少数であった現実の中、日本では掲載のシングル盤で昭和54(1979)年夏に堂々のデビューを飾ったスペクトラムが強烈な印象!

なにしろスタジオで作られたレコードはもちろん、ライブの現場でも一糸乱れぬブラスアンサンブルと鉄壁のリズム隊による鋭い演奏は、何か笑って許しての世界観さえありましたからねぇ~~♪

実はリーダーの新田一郎(tp,vo) 以下、兼崎順一(tp)、吉田俊之(tb)、西慎嗣(g,vo)、奥慶一(key)、渡辺直樹(b,vo)、岡本郭男(ds)、今野拓郎(per) というメンバーは何れも歌謡スタアのバックバンドやスタジオワークの世界では手練れの名手揃いで、特にキャンディーズのバックバンドが、その前身であった事は有名でしょう。

しかもスペクトラムが徹底していたのは、ステージ衣装のキッチュな感覚で、それはスペーススーツのようでもあり、ファンタジー系SF映画のキャラクターデザインのようでもあり!?!

そのあたりも完全に和製EW&Fを狙っていたのでしょう、殊更新田一郎のボーカルは些かパワーに欠けるとはいえ、本家フィリップ・ベイリーを意識した刹那のファルセットを全面使用のあざとさもニクイばかりでしたし、なによりもメンバーがきっちりライブの現場で振付まで披露していたのですから、良識派(?)からはキワモノと言われ、一部にはコミックバンドと受け取られていたのも真実に近いものがありました。

ただし、そういうステージアクトは例えばキャンディーズのバックバンド時代から既にやっていた事ですし、サイケおやじは生涯唯一度だけ接したキャンディーズのライブの場で、プレ・スペクトラムの演奏の上手さ、凄さに圧倒された記憶は今も鮮烈です。

で、このシングル盤A面曲「トマトイッパツ」は、そんな諸々を鑑みれば、如何にもの色物性が感じられるわけですが、しかし宮下康仁の作詞は完全にカタカナ系の日本語であり、加えてスペクトラムの作編曲が黒人ミュージックの黄金律を使ったフィ~ル・ソ~・グ~~ッな仕上げになっていますからねぇ~~~♪

既に述べたとおりのシャープな演奏力も全開ならば、その究極の大衆性も狙いがドンズバ過ぎて、これって、笑いながら鑑賞してもOKなんだよねぇ~~?

等々、思わず周囲の顔色を気にしなければならないほど、スペクトラムは凄い存在でありました。

ちなみに当然ながら、楽器に携わる者の中でも吹奏楽系のプレイヤーは特に中高生の間でスペクトラム信者が多かったようで、新田一郎が十八番のステージアクトだったトランペット回しを真似る生意気も、なかなか憎むことが出来ません。

スペクトラムは結局、2年ほどの活動で解散してしまいましたが、そうなってから初めてスペクトラムの神髄と存在価値に気づかされた音楽ファンも多いとかっ!?

ということで、真夏にスカッと痛快なのがシャープなブラスロックであるとすれば、スペクトラムが残した諸作を大音量で楽しむのも素敵です。

彼らのアルバムは現役時代に5枚ほど作られましたが、それはLP片面がブッ通しで続く曲間無の形式がほとんどなので、カットされたシングル曲は固有の編集バージョンになっているのも要注意!

繰り返しますが、リアルタイムを知っていれば、スペクトラムをキワモノと嘲る事も、そりゃ~個人の自由ですから、サイケおやじは何を言う事も致しません。

基本姿勢は、ただただ、好きだから聴いているというわけです。