OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

シャンク&クーパー

2006-08-21 19:21:57 | Weblog

発掘音源の発売がますます充実する今日この頃です。

例えばこんなブツまでも――

Bud Shank - Bob Cooper European Tour‘58 (Lonehill Jazz)

西海岸派サックス奏者の名コンビであるバド・シャンク&ボブ・クーパーが1958年に敢行した欧州巡業から、放送録音を集大成し、さらにボーナストラックとしてアメリカにおける珍しい放送録音をぎっしり詰め込んだ2枚組CDです。

主役の2人は白人らしいスマートな感覚と嫌味にならない編曲に加え、フルートやオーボエという、ジャズでは異端気味の楽器まで用いて楽しい演奏を聴かせてくれますが、ほとんどレギュラー化していたバンドもメンツが充実していた時期なので、大いに期待して入手した音源集です――

Disc 1
01 Intro 
02 Scrapple from the Apple
03 Intro 
04 Stella by Starlight 
05 Intro
06 Way You Look Tonight
07 Intro 
08 'Round Midnight
09 Intro
10 Bag's Groove

 まず上記10トラックが、1958年3月のデンマークにおけるラジオ放送録音で、メンバーはバド・シャンク(as,fl)、ボブ・クーパー(ts,oboe)、クロード・ウィリアムソン(p)、ドン・プレル(b)、ジミー・パロット(ds) という当時のレギュラーバンドです。
 肝心の演奏はモダンジャズの定番曲「Scrapple from the Apple」が11分を越える熱演で、脱色されたパーカー・フレーズを用いるバド・シャンクのアルトとレスター派の面目躍如たる流れるようなキーワークが見事なボブ・クーパーのテナーが絶妙です。
 そしてさらに凄いのがクロード・ウィリアムソンのビバップ丸出しのピアノ! 白人バド・パウエルと称されたジャズ魂の炸裂が痛快です。
 そのピアニストを中心としたリズム隊だけの演奏が「Stella by Starlight」で、スローな展開からインテンポしてのスイングしまくりが、もう楽しさの極み♪
 また「Way You Look Tonight」と「'Round Midnight」はボブ・クーパーがメインのカルテット演奏で、前者はテナーサックスで大熱演、後者はオーボエでじっくりと歌う、この人だけの「味」を聴かせてくれます。
 番組フィナーレとなる「Bag's Groove」はバド・シャンクがフルート、ボブ・クーパーがオーボエを駆使した、若干スノッブなブルース演奏ですが、リズム隊が思いの他グルーヴィなので、モダンジャズとしての違和感がありません。これも13分近い熱演です。

11 Scrapple from the Apple
12 Way You Look Tonight

 続く上記2曲は、同じ巡業時からスウェーデンにおけるラジオ放送音源で、メンバーは前述どおりで、演目内容も似たり寄ったりですが、やや音質に厳しいものがあります。ただし両曲ともに、かなりテンポアップされているので、刹那的なド迫力が楽しめます。ボブ・クーパーはヤケクソ気味ですが、クロード・ウィリアムソンは存分に炸裂しています♪

13 Walkin' 
14 Tickle Toe

 「Disc 1」最後の2曲は、やはり同じ巡業時のドイツでの放送音源です。
 まず「Walkin'」は、かなり黒い雰囲気でパードバップがグルーヴィに演奏され、バド・シャンクがヒステリックな泣きを入れれば、ボブ・クーパーは悠々自適の構えです。
 そしてクロード・ウィリアムソン! この人が良いですねぇ~♪ ネバリのあるノリにはハンプトン・ホース(p) に近いものが感じられます。ドン・プレルのベースソロも秀逸!
 さて大団円の「Tickle Toe」はレスター・ヤング(ts) の大名演があるので、ここは当然ボブ・クーパーが主役となってのワンホーン演奏♪ レスター派のお手本のような演奏に終始しますが、こういうリスペクト物は、とやかく言うよりも、その真似っ子ぶりを素直に楽しむのが王道かと思います。そして、ズバリ楽しいのです。

★Disc 2
01 Do Nothin' Til You Hear from Me
02 Scrapple from the Apple
03 'Round Midnight 
04 Way You Look Tonight
05 All the Things You Are 
06 Nearness of You / Bag's Groove
 さて「Disc 2」の最初の6曲は、「Disc 1」最後の2曲と同じ時の放送音源で、音質も当時としては普通の良好なものです。
 まずデューク・エリントンのヒット曲としてお馴染みの「Do Nothin' Til You Hear from Me」がバド・シャンクのアルトサックスをメインにして楽しく演奏されますが、惜しむらくは最後がブチ切れのフェードアウトになっています。
 また続く「Scrapple from the Apple」「'Round Midnight」「Way You Look Tonight」の3曲は、この巡業時の定番演目だったようで、「Disc 1」収録のテイクと大差無い出来ということで、このあたりに、このバンドの平均点志向というか、安心感と限界が見えているようです。
 しかし「All the Things You Are」は、このアルバムでは初出の演目とあって新鮮な気分で聴けるということで、アルト&テナーのサックスの絡みが秀逸なテーマ演奏からボブ・クーパーの寛いだアドリブに、まず和みます。
 またバド・シャンクはアート・ペッパーとリー・コニッツの中間のような、薄味スタイルで押し通しているあたりが潔く、好感が持てるのでした。
 そして「Nearness of You / Bag's Groove」のメドレーは、バド・シャンクのフルートとボブ・クーパーのオーボエのコントラストが、やはり絶品です♪ 特に前半のスタンダード曲解釈では「胸キュン」系のフレーズの応酬がたまりません。ただし後半のブルースはバンドテーマというか、非常に短いのが残念……。

ということで、以上が1958年3月の欧州巡業での音源でした。そして以下はバド・シャンクを中心とした発掘音源がボーナス扱いで収められています。

07 All the Things You Are
 1958年のロスにおけるライトハウス・オールスターズの演奏で、メンバーはショーティ・ロジャース(tp)、フランク・ロソリーノ(tb)、バド・シャンク(as)、ボブ・クーパー(ts)、ビクター・フェルドマン(vib)、ハワード・ラムゼイ(b)、スタン・レヴィ(ds) とされています。
 演奏は快適至極で楽しさ満点、録音状態も良く、アレンジも最高なんですが、惜しむらくは3分42秒でフェードアウト……。ただし一応全員のソロが聴かれます。

08 Crazy Rhythm 
09 Lover Man
10 Lamp Is Low

 上記3曲は1956年11月26日に録音されたテレビ番組「ボビー・トゥループ・ショウ」からの音源で、メンバーはバド・シャンク(as,fl)、クロード・ウィリアムソン(p)、ドン・プレル(b)、チャック・フローレンス(ds) という、強力なワンホーン体制になっており、いずれも短い演奏ですが、密度が濃い出来になっています。
 まず「Crazy Rhythm」は烈しいアップテンポで、バド・シャンクのビバップどっぷりのアルトサックスが楽しめます。もちろんアート・ペッパー(as) の後追いをやってしまうわけですが、あくまでも熱演の結果として、そうなっているだけという雰囲気が憎めません。またクロード・ウィリアムソンがバカノリです♪
 続く「Lover Man」はビートを強めた仕掛けがあり、意外に力強いバド・シャンクの熱演が情熱的で、隠れ名演かと思います。
 さらに「Lamp Is Low」は、まずフルートで幻想的なテーマ解釈を聴かせ、一転して高速4ビートのアドリブパートではアルトサックスで颯爽とブッ飛ばし! けっこう細かいアレンジも入れているあたりが、油断なりません。もちろんクロード・ウィリアムソンも最高♪~♪ 音質も良好ですので、映像も観たいところです。

11 These Foolish Things 
12 Do Nothin' Til You Hear from Me  
13 Polka Dots and Moonbeams 
14 All of You
 最後の4曲は1956年秋のニューヨークでのライブ音源で、メンバーはバド・シャンク(as,fl) とラス・フリーマン(p) 以外は不明というワンホーン・セッションです。
 最初の人気スタンダード「These Foolish Things」はバド・シャンクの一人舞台でフルートの至芸がたっぷりと楽しめますが、ラス・フリーマンの伴奏もツボを押さえています。
 続く「Do Nothin' Til You Hear from Me」は、バド・シャンク十八番とあって、ここでも快調♪ アルトサックスで独自の歌心を追求していますが、ラス・フリーマンがソロに伴奏に大活躍しているのが嬉しいところ♪ かなりファンキーなフレーズが出ています。
 「Polka Dots and Moonbeams」は再びフルートを聞かせるバド・シャンクが、スローな展開で慎重にフレーズを積み重ねていきます。
 そして最後の「All of You」もスローテンポで、ややリズム隊がダラけている所為か、バド・シャンクのフルートも冴えないうちに演奏が終了というお粗末でした。

ということで、発掘音源にありがちなバラツキもありますが、「Disc 1」のボブ・クーパーの好調さと、「Disc 2」のバド・シャンクの熱演が、西海岸ジャズ愛好者にはたまらないはずです。

このシリーズは他に2枚同時発売されており、それは欧州勢と共演した珍しい内容になっていますが、今回これを取上げたのは、個人的にクロード・ウィリアムソンが聴けるという点に尽きています。そしてその期待に違わぬ力演が記録されているのでした。

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トリオ64

2006-08-19 15:37:54 | Weblog

ビル・エバンスのように名盤が多すぎると、その中のどれが好きかで意見が分かれたりします。

ジャズ喫茶は基本的におしゃべり自粛の空間なんですが、そんな事で論争し、店のマスターから注意されたりしたのも、今では楽しく懐かしい思い出です。

で、私の場合は、これです――

Trio 64 / Bill Evans (Verve)

「64」となっていますが、それは発売年がそうというタイトル付けで、録音は1963年12月18日、メンバーはビル・エバンス(p)、ゲイリー・ピーコック(b)、ポール・モチアン(ds) になっています。

当時のビル・エバンス・トリオは、チャック・イスラエル(b) とラリー・バンカー(ds) のレギュラーが、海賊盤も含めて残された演奏に多いですから、これはレコーディング・セッションだけの組み合わせなのでしょうか? 今にしてみれば、かなり先鋭的な魅力があります。

もちろん現在、キース・ジャレット(p) のスタンダーズ・トリオのレギュラーとして大活躍しているゲイリー・ピーコックが、そのルーツともいうべき演奏スタイルを披露しているのですから――

A-1 Little LuLu
 弾むような愛らしいメロディが、当にビル・エバンス的名曲・名演♪ 一応ポップス系のスタンダード曲みたいですが、私はここでの演奏しか知りませんし、これで充分という決定的なバージョンだと思います。
 ビル・エバンスのアドリブは、もちろん出来過ぎの美メロが満載ですし、ポール・モチアンのドラムスは、ブラシにスティックに趣味の良さが存分に発揮されています。
 そしてお目当てのゲイリー・ピーコックは、ポール・チェンバースを基本としながらも、ソロパートでは突如として繊細なスコット・ラファロ路線を披露して、期待を裏切りません。
 短い演奏ながら、この曲を聴いただけで、このアルバムの素晴らしさが納得出来るはずです。

A-2 A Sleeping Bee
 後々までビル・エバンスの十八番になる素敵なメロディ♪
 ここでも思わせぶりに出て、徐々にビート感を強めていくという、定石どおりの展開ですが、ゲイリー・ピーコックの絡みが異常に素晴らしく、緊張感がいっぱいです。
 しかもソロパートでは唸り声まで出して、全く自分のリーダーセッションの如き弾けっぷりです。流石のビル・エバンスも成す術無しですねっ! ポール・モチアンの呆れ顔も目に浮かびます。

A-3 Always
 大作曲家のアーヴング・バーリンの代表曲で、フランク・シナトラの名唱が有名ですが、これもまたビル・エバンス的な選曲の妙で、全く薬籠中のものにしているトリオの力演が最高です。
 つまりトリオの3者が対等に力技を披露しつつ、協調性も両立させた理想郷♪
 このアルバムの録音は左にベース、真ん中にピアノ、そして右にドラムスが定位していますので、どこに耳を持っていっても良いわけですが、私なんかは自然と左チャンネルのベース中心に聴いてしまうほど、ゲイリー・ピーコックはブッ飛んでいます。
 しかし他の2人が、その突出を許さないツッコミと縛りをきつくするあたりが、スリル満点なのでした。

A-4 Sant Claus Is Coming To Town
 おお、これはお馴染みのクリスマス曲で、そのシーズンになるとジャズ喫茶でもこのバージョンが良く鳴っていたほど、素直に楽しい演奏です。
 ビル・エバンスはもちろん歌心優先ですし、ポール・モチアンはバックビートを強め、ゲイリー・ピーコックも定型4ビートを大切にしているのです。
 しかし厳しさはこれまでの演奏と全く遜色が無く、自分のソロパートに入るや、いきなりズバズバッと斬り込んでくるゲイリー・ピーコックには、若気の至り以上の憎めないものを感じてしまいます。

B-1 I'll See You Again
 あまり知られていないスタンダードなので、私はビル・エバンスのオリジナル曲かと思ったほど、演奏全体が完全にこのトリオの流儀になっています。
 リズムに対するトリオ全体の解釈も力強く、そして厳しいものがありますし、それでいて徹頭徹尾、メロディが大切にされているのですから、その素晴らしさは筆舌に尽くしがたいとは、この事です。
 ゲイリー・ピーコックは暴走寸前です♪

B-2 For Heaven's Sake
 タイトルどおり、「神様にお願い」するような切々としたスローな展開の中で、ビル・エバンスの美メロ感覚が存分に発揮された名演だと思います。
 それは安易な妥協を避け、裏切りの展開までも含んでいるのですが、それを上手く補填するのがゲイリー・ピーコックとポール・モチアンなのは、言わずもがなです。
 このアルバムの中では地味な演奏なのですが、気を許していると思わぬ逆襲をくらう瞬間がありますよ。

B-3 Dancing In The Dark
 フレッド・アステアのダンス場面が有名なこの曲を、ビル・エバンスは烈しく思い入れた解釈で聴かせてくれます。それは非常に厳しい感性の発露というか、全くリスナーに媚びない姿勢が潔く、ゲイリー・ピーコックもここではツッコミが出せない雰囲気です。
 ソロパートでも懸命に自己主張するのですが、それも空回り……。その虚しさを救うのがポール・モチアンの何気ないドラムスという構図が、たまらなく素敵ではありますが……。ビル・エバンス、恐るべし!

B-4 Everything Happens To Me
 個人的に大好きなスタンダード曲なので、大いに期待して聴き始めると、このトリオは耽美を究めんと奮闘しています。
 ビル・エバンスの思索的なコード分解とゲイリー・ピーコックの思わせぶりな音使い、ポール・モチアンのオズオズとして骨太のリズム感が渾然一体となった桃源郷が生み出されていく様が、恐怖ギリギリの快感です。
 もちろん元メロディがほとんど分離解体された後の再構築という、ビル・エバンスにとっては常套手段なんですが、それがズバリと極まった演奏だと思います。

ということで、これは捨て曲無しの大名盤だと思うのですが、既に述べたようにビル・エバンスの場合、あまりにも名演・名盤が多すぎて、今ではこのアルバムなんか忘れられているのでしょうか……。あまり名盤ガイド本でも紹介されていないような……。

等と僻み根性が出てしまうほど、私はこれが好きなんだっ! ということを、本日は語りたかっただけなんです。

そしてこのメンツによる作品が、公式にはこの1枚だけというのも残念! まあ、当時としては、これだけ極端に緊張感が強かったり、主役のビル・エバンスが霞む瞬間までありますから、「営業」には向かないトリオなのは明らかですね。

それにしてもゲイリー・ピーコック、あんたは今でも丸くなっていないねっ! 素直に羨ましいです。

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アップ出来ない

2006-08-18 18:08:11 | Weblog
やややっ、これは一体どうしたことだっ!?

全然、文章がアップ出来ない、またかよ~!

まあ、無料だからなぁ……。

せっかく訪れてくれた皆様、申しわけないです。

また後で、チャレンジしてみますが……。

こういう短いのは、イケるんですが……、何故だ?
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追悼デューク・ジョーダン

2006-08-17 19:26:58 | Weblog

本日の甲子園も、熱かったですねぇ~!

こんな試合やってたら選手はもちろん、関係者の寿命は間違いなく縮んでいるんじゃないでしょうか。

真剣勝負の成せる業というか、地元の期待を背負っての意地と涙が、美しいものに昇華していますねぇ。

ということで、本日も色々な意味で熱い1枚を――

Barney / Barney Wilrn (仏RCA)

私の大好きなジャズピアニスト、デューク・ジョーダンの訃報に接しました。

この人の後半生は比較的恵まれたものだったと思いますが、若い頃からモダンジャズ創成の現場で第一線の活動をしていた割には、徐々に地味な活動に追いやられ、1960年代にはタクシーの運転手をしていたと言われています。

ご存知ように、それが好転したのが欧州録音の「フライト・トゥ・デンマーク」という大人気名盤の発売で、その寂寥感漂う演奏によって、忽ち多くの新しいファンを獲得したのです。

もちろん私もそのひとりで、すぐさまデューク・ジョーダンが残した録音を追いかけ始めたのですが、その実力に比して、まずリーダー盤が極端に少なく、また他のジャズメンと共演しているアルバムも少ない上に廃盤が多いという……。

ところが日本は素敵ですねっ♪ なにしろジャズ喫茶という文化がありますから、そこでデューク・ジョーダンを聴かせてくれと頼めば、けっこう珍しい盤にも出会うことが出来るのです。

本日の1枚も全くそれで、フランスの人気サックス奏者であるバルネ・ウィランをリーダーにしたジャムセッション物です。

録音は1959年4月24~25日、パリのサンジェルマン・クラプでのライブ盤で、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、バルネ・ウィラン(ts)、デューク・ジョーダン(p)、ポール・ロベール(b)、ダニエル・ユメール(ds) という実力者揃い♪ 恐らくデューク・ジョーダンが「危険な関係」という、後に禍根を残す映画音楽の仕事で渡仏した頃の演奏だと思われますが、リアルタイムではそんな揉め事は知る由も無い、強烈なハードバップが展開されています――

A-1 Jordu
 デューク・ジョーダンが書いた代表的なハードバップ曲で、本人以外にも例えばクリフォード・ブラウン(tp) とか、夥しいカバーバージョンの名演が残されていますが、これこそ実は決定版という豪快な演奏になっています。
 黒~いテーマからアドリブ先発は、もちろんデューク・ジョーダンその人で、何とも言えない哀愁のフレーズが連発されます。そして注目すべきはその、うらぶれた様なピアノの音色です。
 実はこの音色は、前述の「フライト・トゥ・デンマーク」でも聞かれるもので、デューク・ジョーダンの特徴のひとつになっているのですが、ここでのライブでは置いてあるピアノがボロくて、こうなったと、私は思いこんでいたのです。
 しかし1970年代後半から続々と発売されるデューク・ジョーダンの録音は、ほとんどがこういう音色を基調にしていたのには、驚きました。ワザとこういう音色を出せるピアニストなんですかねぇ……。今でも疑問です。
 また音色と言えば、バルネ・ウィランの引き締まった逞しいテナーサックスの音も魅力があります。この人の基本スタイルはデクスター・ゴードン~ハンク・モブレー系の正統派ハードバップで、特にブッ飛んだフレーズを吹かなくてもリスナーを納得させてしまうところがウリなんですが、その秘密は「バルネ・ウィランだけの音色」だと思います。
 そしてケニー・ドーハムは、余裕の構えからの歌心とお約束のフレーズで場を盛り上げ、クライマックスはデューク・ジョーダンとダニエル・ユメールのソロ交換となるのでした。 

A-2 Lady Bird
 このアルバムのハイライト演奏です。
 曲はモダンジャズ創成者のひとりである天才作編曲家のタッド・ダメロンが書いたものなので、モダンジャズのアドリブが最高にやり易く出来ているようです。
 ここでもそのルールに素直に則った熱気溢れる演奏が展開されますが、デューク・ジョーダンにしてはアグレッシブなイントロからテーマに入るあたりで、いきなりモダンジャズ王道の楽しさがあります。
 ですからアドリブソロの先陣を切るバルネ・ウィランも油断がならない雰囲気で、慎重にフレーズを積み重ねていきますが、それが徐々に熱気を帯び、ハードパップのお手本のようなフレーズを連続放出してくれるのは楽しい限り♪ リズム隊の煽りもツボを外していません。
 そして続くケニー・ドーハムは、もちろん名手の本領発揮です。そのイブシ銀の音色と分かり易いフレーズの妙、さらに良い意味での安心感は流石です。
 こうして登場するデューク・ジョーダンは、当に生涯の名演ともいうべき最高のアドリブソロを展開してくれます。それは後年では聴くことの出来ない強烈なピアノタッチと張り切ったフレーズ、「泣き」と「哀切」が入り混じった絶妙の歌心、さらに思い切ったツッコミ! クライマックスでは感極まって、元ネタの「How High The Moon」まで弾いてしまうというノリノリですからねぇ~♪ 全く憎めないことを仕出かしてしまったデューク・ジョーダンに乾杯です!
 私はこの演奏、特にデューク・ジョーダンのアドリブフレーズは完全に覚えきって、不遜にもギターで演奏してしまうこともあります。もちろん完璧ではありませんので、ご容赦下さいませ。

B-1 Besame Mucho
 そしてB面に入っては、日本人が大好きなこの曲が待っています。なんか日本人向けに作ったかのような趣すらあるアルバムですね♪ もちろん演奏は期待を裏切っていません。
 まずデューク・ジョーダンが、この人にしか出来ない絶妙な「泣き」を含んだイントロを披露し、ラテンビートでケニー・ドーハムがテーマメロディをリードするあたりで、早くもグッときます。
 テンポも緩やかなので、その哀愁が一層滲み出るところも最高です。
 ところがアドリブパートでは強靭な4ビートが始まり、一転して力強いハードバップに方針転換! もちろん哀愁も増強されるのですから、たまりません。ケニー・ドーハムもその意図を大切にした丁寧な吹奏で、良いフレーズばかり聴かせてくれます。
 続くバルネ・ウィランは最初から倍テンポ狙いで、何となく若さを露呈したりもしますが、すぐに思い直して王道路線に復帰しますから、ご安心下さい。
 そしてデューク・ジョーダンは、少し調子が出ていないようにも聞こえますが、後半には甘さを排除したブロックコード弾き、さらに一転して「泣き」のフレーズを織り交ぜて山場を作ります。

B-2 Stablemates
 これもモダンジャズでは定番のハードバップ曲ですので、メンバー全員が息の合った快演を聴かせてくれます。
 ただしリラックスし過ぎという雰囲気も濃厚です。
 実はCD時代になってこの作品が復刻された時には、同時に録音された多くの未発表曲が公になったのですが、その中にはこれよりも良い演奏が確かに存在していますので、ちょっと???です。多分、アナログ盤ゆえの時間的制約の所為かもしれません。

ということで、これはハードバップの名盤と断言してしまいます。

オリジナルはフランス盤でしたが、幸いにも早い時期から日本盤が出ていましたので、多くのジャズ喫茶には常備してあったと思います。

そしてバブル期の日本では、ついにこのオリジナル盤が高値で取引されるようになり、私の知り合いのコレクターが大枚はたいて入手した時に聴かせていただいたのですが、失礼ながら音がイマイチ、薄くて拍子抜けした記憶があります。なにしろこのアルバムのカギは音色ですからねぇ……。

まあ聴くという姿勢からすれば、オリジナル盤も再発盤もCDも意味合いは同じなんですが、オリジナル盤に物凄く期待させられる魅力が、この盤には秘められていると思います。

そして最後に、デューク・ジョーダンに合掌です。

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言い訳

2006-08-16 19:44:10 | Weblog

本日でお盆休みも終了、実家から赴任地に戻りましたけど、ここは異常な暑さですねっ!

台風の影響だなぁ~! 車の冷房も不調かな?

正直、ヘトヘトです。

ということで、本日の1枚は勘弁して下さい。

しかし実家からアナログ盤やCDとかビデオ等々、古いところをごっそり持ってきましたんで、当分ネタには困りません。

明日から、頑張りますっ!

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夢の対決

2006-08-15 19:49:29 | Weblog

勝負の世界には所謂「夢の対決」というものがあります。

そしてジャズの世界にも、これがあるんですが、するとジャズは勝負事なのか?

なんていう疑問も出てまいりますが、私にとって一番聴きたかったのが、キャノンボール・アダレイ(as) 対リー・モーガン(tp) でしょうか。残念ながら叶わぬ夢だったわけですが、それならばと期待したのが、このアルバムでした――

Go / Paul Cahmbers (Vee Jay)

ベーシストのポール・チェンバースのリーダー盤ですが、私の狙いはキャノンボール・アダレイ対フレディ・ハバードというハッスル対決でした。なにしろキャノンボールは、ほとんどが弟のナット・アダレー(cor) を相方にした演奏ばかりですからねぇ~。せっかくの爆裂アルトサックスが、他のトランペット奏者とならばどうなんだろぅ? という疑問になかなか答えてくれないのです。

で、録音は1959年2月2&3日、メンバーはフレディ・ハバード(tp)、キャノンボール・アダレイ(as)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)、そして1曲だけフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) がジミー・コブと交代しています。

ちなみにメンツからして、これは当時のマイルス・デイビス(tp) のバンドからボス抜きセッションという趣が強く、なにしろデータ的には、もうひとつのボス抜き傑作盤「キャノンボール・イン・シカゴ(Mercury)」が録音された日でもありますから、ますます興味深々です――

A-1 Awful Mean (1959年2月3日録音)
 ミディアムテンポのハードバップ・ブルースですが、初っ端からポール・チェンバースのベースを要にした展開の設定が抜群の上手さです。ここでのドラムスはフィリー・ジョーですが、簡素なテーマを導くワザは流石に上手く、キャノンボールのテーマ吹奏に続くアドリブパートでのウイントン・ケリーは、最初から、もう真っ黒なノリです。あぁ、このタメと飛跳ねが、死ぬほどファンキーなんですねぇ~♪ クライマックスでのブロックコード弾きに応えてフィリー・ジョーが入れるリムショットが、またまた最高です♪
 そしていよいよ登場のキャノンボールは、最初のワンフレーズからファンキー節が全開です! もちろんその後は、猛烈なドライブ感で怖ろしいフレーズを吹きまくりですから、つい釣られてしまうリズム隊というわけで、倍テンポにツッコミそうになって自重する瞬間が妙に微笑ましくもあります。
 演奏はこの後、バンドが一体となって盛り上がった後、ポール・チェンバースが得意のアルコ弾きとなりますが、それは好みの問題として、フィリー・ジョーのドラムソロが意外な小技を披露するのでした。
 そして残念ながら、フレディ・ハバードは、お休みです。 

A-2 Just Friends (1959年2月2日録音)
 モダンジャズではお馴染みのスタンダードが烈しいアップテンポで演奏されます。
 これ以降の曲は全てジミー・コブがドラムスを担当しますが、そのクールで熱いビート感覚は素晴らしいですねっ! 各プレイヤーが本当に気持ち良くノセられているのが分かります。
 そのアドリブ先発はフレディ・ハバードが若さにまかせて突進し、ウイントン・ケリーにバトンタッチすれば、その瞬間に拍手が! どうやらスタジオに居た関係者が思わず、という展開でしょう。これがジャズですねっ♪
 そして続くキャノンボールは、ここでも怖ろしいばかりの勢いです。もう、どうにも止まらないという山本リンダ状態で周囲を躍らせてしまうのです。これには冷静なポール・チェンバースも浮かれ気味というか、自分のソロパートでのアルコ弾きにも軽さが感じられますが、それはジミー・コブの躍動的なドラムスゆえかもしれません。最高です。

A-3 Julie Ann (1959年2月3日録音)
 ウキウキするようなウイントン・ケリーのイントロが、まず最高という、ラテン調の楽しい曲です。書いたのはキャノンボールですが、ポール・チェンバースは最初からこの曲のツボを押さえて見事なソロを聴かせてくれます。
 もちろん背後で煽るジミー・コブとの息もぴったり♪
 そしてフレディ・ハバードは溌剌として温か味も感じられる抜群のトランペットを披露していますし、ウイントン・ケリーも歌心がいっぱいです。
 さらにキャノンボールはウネリとヒネリのダブルトリックで燃え上がり、途中には独特の痙攣フレーズまで繰り出して楽しませてくれるのでした。

B-1 There Is No Greater Love (1959年2月3日録音)
 これもモダンジャズでは定番曲ですが、このバージョンこそ同曲のベストテンに入れても差し支えない素晴らしい出来栄えになっています。
 その原動力はキャノンボールのテンションの高さ、歌心の豊かさ、グルーヴィなノリ等々に加えて、リズム隊の充実度にあります。
 とにかくそのテーマ解釈と美メロだらけのアドリブパートは、何度聴いても飽きません。もちろんファンキー度も満点ですし、ポール・チェンバースのブンブンベースが存分に楽しめるバッキングやビシッとキメを入れるジミー・コブも強烈な存在感です。
 そして、やっぱりこの人! というウイントン・ケリーは、地味~に出てジワジワと盛り上げ、山場で爆発するという王道路線の素晴らしさです。当然、中盤ではジミー・コブのリムショットが出ますから、このコンビネーションこそがハードパップそのものという楽しさです。
 またポール・チェンバースもじっくりとアドリブを聞かせますが、それを待ちきれずにラストテーマに突っ込んでしまうキャノンボールの血の滾りが、憎めません♪ つまりキャノンボールの名演ワンホーン物になっているのでした。

B-2 Ease It (1959年2月2日録音)
 スタジオのザワメキが妙に気になる演奏です。
 フレディ・ハバードのミュートトランペットとキャノンボールのアルトサックスによるテーマ演奏が煮えきらず、続くポール・チェンバースのソロも迷いがあるという、ややトホホのスタートが、キャノンボールのアドリブパートで一転し、白熱のハードバップになるあたりが聞きどころでしょうか。それほどここでのキャノンボールは強烈です。
 そしてそれに刺激されたか、フレディ・ハバードも烈しく完全燃焼を目指します。なにしろミストーンも出してしまうツッコミぶりですから、よほど血が騒いだのでしょうねぇ~♪
 う~ん、それにしてもケリー、チェンバース、コブというリズム隊は素晴らしいですねっ! この演奏なんか、けっこうバラバラになる寸前なのに、これだけのグルーヴが溢れる展開に導いてしまうんですから、流石、当時のマイルス・デイビスが信頼しきっていたのが分かります。特にジミー・コブは、シンプルなシンバルでクールにリズムをキープし、ここぞっ! でビシッ、ドシ~ンっとキメるオカズの入れ方なんか、もう唯一無二の素晴らしさですね。

B-3 I Got Rhythm (1959年2月2日録音)
 オーラスは猛烈なスピードでハードバップの真髄が披露されます。
 テーマはモダンジャズでは必須のコード進行に基づくスタンダードですから、まずはキャノンボールがお手本というべき強烈なスイング感を発揮すれば、続くフレディ・ハバードも負けじと全力疾走です。
 バックで煽るリズム隊も仕掛けと瞬発力を存分に聞かせてくれますから、全くが油断ならない雰囲気です。しかしジャズという娯楽の和みもちゃ~んと含まれているのですから、ほんとうに大したもんだと思いますねぇ♪

ということで、これはキャンボール・アダレイの好調さ、そしてフレディ・ハバードの若さがたっぷり楽しめる作品ですが、実はそれ以上にリズム隊の素晴らしさに驚愕させられる1枚でもあります。

放埓なフィリー・ジョーにクールなジミー・コブというドラマーの比較も楽しく、個人的には後者に軍配を上げてしまいますが、それもここでのリーダーであるポール・チェンバースの若さに似合わない懐の深さゆえに、素直に両者の持ち味を楽しめるという仕掛けなのでした。

ちなみにこのリズム隊+キャノンボールでは「キャノンボール・テイクス・チャージ(Riveside)」という名盤も存在しています。

またマイルス抜きのフレディ入りということで、これは擬似VSOPかもしれませんねっ♪

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名盤日常篇

2006-08-14 19:49:07 | Weblog

何となく買って、聴いたら気に入ったというアルバムは、かなり嬉しいものがあります。

例えば本日の1枚も、そのひとつ――

Happy Bluesday / Gregory Fine (Boheme)

まずジャケットが、イケていませんね……。冴えない中年おやじ3人組が、工事現場で記念撮影したというか……。

ジャズのマイナーレーベルにはありがちな仕様ですし、まあ、ピアノトリオというのは分かりましたが、私の気を惹いたのが、演目の良さです。

リーダーのグレゴリー・フィンはロシア系でしょうか?

録音は1998年2月24日、ロンドンで行われ、メンバーはグレゴリー・フィン(p)、Len Skeat(b)、マーティン・ドリュー(ds) ですが、この中ではドラマーのマーティン・ドリューがオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラーでしたから、一番有名でしょう。実は私も、この人が入っていたので安心感がありました。そして内容が楽しく、素晴らしい――

01 There Is No Greater Love
 いきなりオスカー・ピーターソン派という本性を現したグレゴリー・フィンが物凄いテクニックを披露します。もちろん歌心も素晴らしく、この人気スタンダード曲をアップテンポで、何の躊躇いも無くアドリブしていくのです。
 もちろんマーティン・ドリューのドラムスは、オスカー・ピーターソンと共演している時と変わらぬ姿勢というか、変わりようも無いほどに、グレゴリー・フィンが抜群にグルーヴィです!
 すると Len Skeat のベースが、俺はレイ・ブラウンを尊敬していますというソロを♪ たまりませんね、初っ端から♪

02 Waltz For Natalie
 グレゴリー・フィンの作った魅惑の幻想ワルツですが、どっかで聴いたことのあるようなメロディが上手いところです。バックではマーティン・ドリューのブラシが、最高に気持ち良くサクサクと蠢いています。
 そしてアドリブパートでは倍テンポも交えたグレゴリー・フィンのピアノが、王道のアドリブを展開、それをサポートするドラムスとベースも嫌味がありません。

03 How Deep The Ocean
 これまた気持ちの良いボサノバ風のアレンジが効いた名演です。多分原曲は「How Deep Is The Ocean」でしょうか? なんとも言えない魅力溢れるテーマメロディに変奏してありますね♪
 そしてアドリブパートに入っては、テンポアップしてのボサロックのノリがグルーヴィです。このあたりはどうやらオスカー・ピータソンのアクが抜け、逆にラムゼイ・ルイスを白っぽくしたようなフレーズとリズム感が、気持ち良さの極致です。

04 Georgia On My Mind
 説明不要の名曲を、全くこちらが望んでいるように、ファンキー&グルーヴィンに演奏してくれるこのトリオは、分かっているとしか言えません。
 黒っぽさも、ほどほどなのがセンスの表れでしょうか、原曲の「泣き」を嫌味なく拡大解釈していく様は、酒もワインも珈琲も合う仕上がりです。

05 Reunion Blues
 今度はオスカー・ピーターソン&ミルト・ジャクソンの十八番に挑戦とあって、最初からブルース魂が全開、バックはもちろん擬似ジャズロックですから、もう楽しさは保証付きです。
 グレゴリー・フィンのピアノからはオスカー・ピーターソン流儀のフレーズが連続放出されていきますが、あくまでも自己のフィルターを通そうとする意思が潔いと思います。

06 I've Never Been In Love Before
 これもオスカー・ピーターソンの決定的な名演が残されているスタンダードの名曲に挑戦した趣があります。なにせテーマの解釈やオカズの入れ方、リズムアレンジまでも、敬意を払いつつ、完コピの世界になっているのですから!
 これは相当のテクニックと自信がなければ出来ませんし、やってはならない事なんですが、ここでもグレゴリー・フィンは潔さの極北というか、堂々とオスカー・ピーターソンの物真似をやっているのですから、聴いている私は感心する以前に笑ってしまう楽しさがあるのでした。

07 Just Friends
 モダンジャズでは定番のスタンダードをアップテンポの擬似ハードバップにしていますが、ここでもオスカー・ピーターソンに果敢に挑戦する姿勢を貫いています。
 しかし結果はイマイチというか、やはり本家オスカー・ピーターソンの物凄さが実感されてしまうのでした。つまり敢闘賞候補止まりということですね……。

08 How Long Has This Been Going On
 このアルバムでは初めてのスロー物演奏です。
 なかなかしっかとしたタメが素晴らしく、テーマ解釈とその変奏がダレるギリギリで踏みとどまっているあたりに、グッときます。
 サポートのマーティン・ドリューのブラシも粘っこく、素敵な小技を効かせているところが、キモでしょうか。ただし Len Skeat のベースに毒気が足りないのが減点です……。

09 Happy Bluesday
 オーラスはグルーヴィな大ブルース大会♪
 この全くジャズの王道を行く楽しさは最高ですねっ♪ こういう何の衒いも無い演奏こそが、ジャズ者の琴線にふれるのではないでしょうか?
 前曲でヘタレ気味だった Len Skeat のベースも強烈に蠢いていますし、何よりも主役のピアノが豪快なグルーヴの塊です!
 もちろんマーティン・ドリューのドラムスもゴスペル味を漂わせながら、エド・シグペン風のオカズを大切に入れてきますので、演奏は否が応でも盛り上がるのでした。
 実は私は、朝一番にこれを聴くことが、しょっちゅうです♪ そしてCDならではの特性を活かし、冒頭トラックにプログラムして景気をつけるのです♪

ということで、一聴気に入った私は、こういう生活の必需品的なアルバムこそが、本当の名盤じゃなかろうか? なんてことを思います。

ということは、名盤の基準なんて十人十色!

あぁ、名盤、ですねっ♪ だいぶ前に入手したものですから、今は売っているか不明ですが、見つけたらゲットして間違い無しのブツだと、断言しておきます。

コメント (4)
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名盤地獄篇

2006-08-13 19:19:55 | Miles Davis

Miles Davis In Berlin (Columbia / CBSソニー)

私がジャズを本気で聴きはじめた頃は、まだフリージャズが大手を振っていましたので、例えジャズ喫茶でも知らないレコードを聴く時には緊張しましたし、ましてLPを買うとなれば、相当な覚悟が必要でした。

それはもちろん、乏しい小遣いの中から2千円前後の出費をするわけですからねぇ……。しかし純粋に聴きたいという欲求からは逃れることが出来ません。

実は私はウェイン・ショーターというサックス奏者が大好きなんですが、ご存知のようにこの人はハードバップ、モード、フリーからフュージョンまで、何でもござれの天才なので、その変幻自在なスタイルゆえに、危険度も大きいのです。

例えば、参加メンバーのほとんどがマイルス・デイビスのバンドレギュラーという「スプリング / トニー・ウィリアムス(Blue Note)」という作品なんか、大いに期待して買った結果として、亜空間を彷徨うような、自分としては愕然とするような内容に失意のどん底に落とされた記憶が、今も鮮明です。

尤もこの作品とて、今では愛すべき1枚になってはいるのですが、実は当時、ガールフレンドとの付き合いを天秤にかけて買ったブツだったんで、その落胆ぶりを察していただければ……。

あ~ぁ、レコード集めには全てを犠牲にしなければならないのか?

なんていう自虐的自問自答を繰り返しつつも、結局止められないのが、この奥の細道! そんな中で堂々の自身を持って買ったのが、本日の1枚です。

録音は1964年9月25日、ベルリンでのライブで、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds) という、所謂黄金のカルテットですが、お目当ては完全にウェイン・ショーターで、マイルス・デイビスが入っているのなら、メチャクチャは無いだろうという、つまりこの時の私にとってマイルス・デイビスとは、安心感のお守りのような存在でした。

あぁ、これ読んで激怒する人が必ずいらっしゃるでしょうねぇ……。しかしこれが本音のその内容は――

A-1 Milestones
 モードジャズに先鞭をつけた演奏として歴史の一部になっているオリジナル演奏は、キャノンボール・アダレイ(as) やジョン・コルトレーン(ts) を含む豪華メンバーによって1958年にスタジオ録音されていますが、リアルタイムのステージでは、ほとんど演奏されていなかったと思われます。
 つまりそれほどに突出した演目だったわけですが、1963年頃からのハービー・ハンコックやトニー・ウィリアムス、ロン・カーターのリズム隊を得てからは、堂々と演奏されるようになり、ここに烈しく燃えたバージョンが残されました。
 それは神経質に突っ走るトニー・ウィリアムスのシンバルに煽られ、焦りを漂わせながらも、お約束のフレーズばかり吹くマイルス・デイビスのカッコ良さ! この当時のライブで特徴的な変幻自在のテンポ設定も時折入れながら、バトンを受けるのが、私にとっては真打のウェイン・ショーターです。
 あぁ、やっぱり最高! 当時はバンドに参加したばかりなのに、全くリズム隊に遠慮することなく、自分勝手にテンポを変えたり好き放題に吹きまくるフレーズには、フリーもロックも内包した恐ろしさが感じられます。
 もちろんリズム隊は、そんな自己中心的な奴を許しておくはずもなく、烈しいツッコミを入れてくるんですが、悉くはね返されている様が痛快です♪
 ですから続いてリズム隊だけの演奏になると、この3人は完全に憂さ晴らし走るというわけですが、それが全体のテンションを高める結果なんですから、ジャズって本当に素敵だと思います。

A-2 Autumin Leaves / 枯葉
 これこそマイルス・デイビスには欠かせない切り札的なスタンダード曲♪ もちろんミュート・トランペットの妙技を聴かせてくれますが、録音状態の所為か否か、音の強弱が烈しく、消え入りそうになった次の瞬間に爆裂的に大きな音が鳴り出すのですから、リスナーは必要以上の緊張感に苛まれると思います。
 もっともそれがマイルス・デイビスの狙いかも知れません。確かにこの緊張感があってこそ、泣いている音色に酔える部分がありますから……。
 トニー・ウィリアムスのブラシやツボを外さないロン・カーターのベースも秀逸で、マイルス・デイビスと一緒になっての締め括りの大盛り上がりは、本当に強烈です。
 そしていよいよ登場するウェイン・ショーターも驚愕の名演です! それは強烈な変態フレーズの連発と脱力寸前の思い入れ、フリーに見せかけたメロディフェイク、さらに全体の構成がショーター好きな者には、ますます好きにさせてくれるもので、全てが8分2秒目からのキメのフレーズに集約されている物凄さです。
 またここで全体がかなり元曲から離れてしまった演奏を、見事に皆が知っている「枯葉」に引き戻すハービー・ハンコックも流石です♪ 多分メンバー中で一番の保守派であろうこのピアニストの存在ゆえに、マイルス・デイビスも安心して危険分子のウェイン・ショーターを入れることが出来たのではないでしょうか。

B-1 So What
 マイルス・デイビスの演目では定番の盛り上がり曲ですから、全員が忌憚の無い爆裂ぶりを堪能させてくれます。
 中でもトニー・ウィリアムスの張り切りは、何時だって最高です! ヤケクソのバスドラ、神経質なシンバル、合の手を超越したタムとスネアのコンビネーション! この時、弱冠18歳なんですよねぇ~♪ あまりの事にマイルス・デイビスの怒りの一撃も、虚しく空を切るばかりです。
 そしてそれが一層激烈になるのが、ウェイン・ショーターが登場してからのパートです。ここでは相当にジョン・コルトレーン風のフレーズが繰り出されますが、トニー・ウィリアムスにとっては馬耳東風! ならばと、ウェイン・ショーターは十八番の変態フレーズを連発して対抗するのですから、これにはハービー・ハンコックも成す術無しのアドリブ地獄です。
 その中でクールにビートを刻むロン・カーターが一番印象的な演奏でもありますが、これがジャズ最高! と叫ぶ瞬間なのでした。7分5秒目あたりからの一体感なんて、最初からの仕込みでしょうねっ♪

B-2 Walkin'
 これも人気演目の中の大名演です。最初っから激烈なアップテンポがお約束ながら、ここでの荒っぽいトニー・ウィリアムスは完全に演奏をぶち壊す寸前ですから、マイルス・デイビスもキメのフレーズだけで、得意の思わせぶりを聞かせることが出来ません。完全に若造に煽られているマイルス・デイビス、いつまでも若くは無いことを自覚させられたはずですが……。
 そのトニー・ウィリアムスがますます増長するのが、次のパートでのドラムソロです。何時もよりは空間を切り詰めた感があるものの、リスナーには至福の一時でしょうか。
 しかし不幸の種は幸福の絶頂で蒔かれるというか、続くウェイン・ショーターはそんなトニー・ウィリアムスに冷や水を浴びせるような意地の悪いフレーズばかりを吹きまくりです。そう、もはやこれはフリー寸前! ロン・カーターがルートの音をしっかり出しているので、辛うじて踏み止まっていますが、ハービー・ハンコックまでもが、それに同調してメチャクチャに走りそうで、恐いものが漂います。
 しかし流石、自分のパートでは変幻自在の物分りの良さを発揮し、ビル・エバンスでは無い新感覚のピアノトリオ演奏を披露してくれます。あぁ、ここでの3人は、もう最高です。

B-3 Theme
 前曲に続いて演奏されるバンドテーマで、ロン・カーターが短く一人舞台を演じ、アッという間に終わる物足りなさが逆に素敵です。トニー・ウィリアムスなんか、叩き足りない欲求不満がアリアリですからねぇ~♪

ということで、これはウェイン・ショーターのワンホーン盤にマイルス・デイビスがゲスト参加というのが、私の聴き方です。実際、異議ありとは思いますが、この頃のマイルス・デイビスって、常に同じようなフレーズしか吹いていませんし、特にアップテンポ物では完全な金太郎飴状態……。あれっ、モードって自由にアドリブ出来るはずだよねぇ~? なんか自分からワナに陥ったマイルス・デイビス?

私は何故、マイルス・デイビスが相方にもうひとりのホーン奏者を入れるのか、不思議でした。だってお客さんはマイルス・デイビスを観に来るわけだし、レコード会社だってマイルス・デイビスが良いソロを演じたテイクを使っているわけですからねぇ……。マイルス・デイビス四重奏団でOKでは?

しかし、こう毎度、同工異曲のフレーズしか吹かないのでは、その理由も肯けます。つまりお客さんが飽きてしまうから……。とにかくこの当時のマイルス・デイビスに必要だったのは、変幻自在の極北というホーン奏者だったのでしょう。それにはウェイン・ショーターがうってつけ! もちろん、その根底に潜む広範な音楽性にも目をつけたに違いありません。

もちろん結果は、庇を貸して母屋を取られる寸前だったわけですが♪ まだまだここでは猫を被ったウェイン・ショーター、そして腹の探り合いをしていないマイルス・デイビスということで、素直に激烈な演奏を楽しむことが出来るのでした。

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ブライアン……

2006-08-12 18:20:56 | Weblog

映画「ブライアン・ジョーンズ / ストーンズから消えた男」を観ました。

つらいなぁ……。それが感想です、生き方としてブライアン・ジョーンズに共感する者としては……。

作品そのものは1960年代テイストも良く、映像・演出もまずまずだったんですが、この世にいない者をどうこう言ってもねぇ……。

ちょっと重いものが、今頃になって効いてきました……。

本日はここまでで、ご勘弁下さい。

 

 

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名盤天国part-3

2006-08-11 19:52:19 | Weblog

暑い、暑い、暑~い!

こう叫んで、なお暑い本日ですが、そういえば遥か昔の十代の頃、私はこんな暑い日にこのアルバムに邂逅していたのです――

Selflessness / John Coltrane (Impulse!)

ジョン・コルトレーンの諸作中、一番の人気盤が、これでしょう。

もちろん「バラード」とか「ヴィレッジ・ヴァンガード」あるいは「ジョニー・ハートマン」という切り札がありますが、ジャズ喫茶での使用頻度やリスナーへのインパクト、そしてジョン・コルトレーンという。ジャズが本当に力を持っていた時代の神様ぶりを知ろうとすれば、この作品しかありません。

それは代名詞ともいえるライブでの長時間演奏が、それゆえに十八番となった「My Favorite Things」の快演によって完全証明されているからです。

等と暑苦しい見解を述べたところで、それは結果論でしかありません。

正直言うと、私が最初に聴いたジョン・コルトレーンが、このアルバムの「My Favorite Things」だったのです。それはLP片面いっぱいを使った演奏でしたが、実はここには2つのセッションが収められています。

まず最初は1963年7月7日に出演したニューポート・ジャズ祭からのライブで、メンバーはジョン・コルトレーン(ss,ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(ds)、ロイ・ヘインズ(ds) の4人組です。もちろん本来のレギュラーはエルビン・ジョーンズ(ds) なのですが、諸事情からここではロイ・ヘインズというのが、キモになっているのでした――

A-1 My Favorite Things
 ジョン・コルトレーンと言えば、これっ♪ というほど演目の決定版になっているスタンダード曲です。しかもソプラノサックスという、どちらかと言えばモダンジャズではあまり用いられなかった楽器を、サックス奏者の必須科目にしてしまった功罪まで生み出した歴史付きです。
 レコーディング上の初出は1960年10月に製作されたアルバム「My Favorite Things」で、それ以降ライブでは必ず演奏していたと思われる十八番でしたが、いささか生硬なそのスタジオ録音バージョンに比べて、ここではより奔放な情念の噴出に圧倒されるのです。
 ちなみにこのアルバムはジョン・コルトレーンの死後に発掘されたもので、リアルタイムでの演奏は前述のスタジオバージョンの他にもうひとつ、よりフリーに接近した時期のライブバージョンが公式発表されていただけです。
 もちろん夥しいプライベート録音は存在していましたが、堂々と聴いてシビレる演奏は、これっきりというのが1970年代前半までの状況でした。
 で、肝心の演奏は、いきなり衝撃的なキメのフレーズからマッコイ・タイナーの津波のような煽りが始まりますが、ここはどうやらテナーサックスでしょうか? そして瞬時にソプラノサックスに持ち替えたジョン・コルトレーンが、変形ワルツのポリリズムに対峙するように、お馴染みのメロディを変奏していくのですが、ここが非常にメロディアスというか、闇雲に音の羅列をせず、またスケール練習に陥らずにシーツ・オブ・サウンドを駆使しているあたりが、まず最高です。
 さらにマッコイ・タイナーに受け渡す直前の痙攣フレーズにもシビレます♪
 そのマッコイ・タイナーは、もうコルトレーンの魂を譲り受けたかのような音の洪水をピアノから発散させ、俺以外にこのバンドのピアニストは居ないぜっ! と強烈な自己主張をするのです。しかし本当はやや冗漫な部分があって、現代ではジョークと受け取られかねない危険を孕んでいます。ただしそのギリギリのところが、1970年代では快感の極みだったんですねぇ~♪ ロイ・ヘインズとの相性もバッチリです。
 こうして露払いが終わった後、いよいよ再登場するジョン・コルトレーンは、もう情熱の嵐です! 得意の痙攣フレーズから自虐的なテーマ変奏、さらにヒステリックな叫びと音符のギュウギュウ詰め、おまけに止まらないリズム隊との対決!
 当時、名前だけは知っていたジョン・コルトレーンの凄さに、初めて聴いた私は陶然なった記憶が、今も鮮やかです。
 このあたりはサイケ~ニューロックでさんざん馴染んでいた長時間演奏の下地があればこそ、ついて行けた世界なんですが、それを遥かに凌駕する密度の濃さには悶絶させられました。
 また結果論ですが、ロイ・ヘインズのドラムスの凄さにも震えがきました。本来のレギュラーであるエルビン・ジョーンズが、どちらかと言えばジョン・コルトレーンと対峙してバンドを引張るスタイルであるとすれば、ロイ・ヘインズは、より仲間意識が強く、その残された空間を埋め尽くしていくようなパルスピートの亜空間ドラミングは、実際の演奏を何処までも高みに持っていこうとする意思が強固です。
 この演奏が名演・人気バージョンになったのも、実はこの人の参加があればこそ、と断言しておきます。演奏終了後に入るメンバー紹介のアナウンスで、最後に名前をコールされる「ロイ、ヘインズ」という、ワンテンポ置きが、たまらなく現実を物語っているようです♪

B-1 I Want To Talk About You
 これも前曲と同じ、ニューポートでのライブ録音で、もちろんジョン・コルトレーンのステージでは定番のバラード演奏♪ とは言っても、徹底的に甘さを排除するように見せかけたハードさがウリになっています。
 しかしここでは、その定石を逆手にとったメロディ追求主義が顕著! 通常はポリリズムも同時進行で激しさを増すのですが、ここでは定型4ビートが暗黙の了解として根底にしっかりありますので、なおさら安心感があります。
 実はこの演奏は、このアルバムを買って自宅で聴いてシビレたのが真相で、何故ならはジャズ喫茶ではA面しか鳴らないからです。
 まさかそのあたりの事情まで配慮してのコンピレーションということは無いんでしょうが、あまりにも素晴らしいです! 私は決定版とされる「バードランド」でのバージョンよりも、こっちをとります! テナーサックスによる最後の無伴奏ソロも、集中力が感じられますねっ♪

さて、ここでもうひとつ入っているセッションが、1965年10月14日に録音されたもので、メンバーはジョン・コルトレーン(ts)以下、ファラオ・サンダース(ts)、ドナルド・ギャレット(bcl)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds)、フランク・バトラー(per)、ジュノ・ルイス(per) が参加しています――

B-2 Selflessness
 アルバムタイトル曲は参加メンバーからして、どうやらアルバム「クルセ・ママ」の頃の未発表演奏と思われます。
 ですから、まだ闇雲にフリーに突進する直前の混濁した秩序が健在ですから、聴いていても疲れません。もちろんジョン・コルトレーンとファラオ・サンダースの無意味な対立はあるのですが、中盤でマッコイ・タイナーが十八番のピアノの乱れ弾きを聴かせ、その背後ではエルビン・ジョーンズが怒濤のシンバルを響かせてくれますので、素直に楽しむことが出来るのです。
 アフリカ色のパーカッションも、どこかしら楽しく、これなら許せるっ! という雰囲気が広がっていくのでした。

ということで、これは圧倒的なA面に対して隠れ名演のB面という、所謂ひとつの名盤の条件を満たしたアルバムです。ジャズ喫茶で普通にB面なんかリクエストしたら顰蹙ですが、意地の悪い皿回しなってこのB面を鳴らし、お客さんの反応を見てみたいというのが、私の願望でもあります。

まあ、それによって店が潰れても、関与することではありませんが……。

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