この文章は、一昨日ここに書いた「モウリーニョ対ベルルスコーニ」の続きである。なおこの間のインテル、モウリーニョ関係の拙稿は他のブログでもかなり紹介されていて、嬉しかった。それ以上に、昨日のこの中身が持つ社会的意味は意外に大きいのである。それは、最近の日本の政治情勢の参考にもなる物だと分かるのであって、その次第を今日は描いてみたい。一種の「政経風俗日誌」というところだろうか。
「官報複合体」という造語がある。昨今の週刊朝日を読んでいる人ならば知らない人はいないだろう。官僚とマスコミとの連携による新政権・民主党引きずり下ろし作戦という局面を説明するために頻繁に使用されてきた。万年与党、自民党に替わって「現在日本最強の権力」と解説してのことである。
この意味で行くと、首相自らがマスコミの帝王兼大金持ちであるというイタリアは、ちょっと凄まじいことになる。シルビオ・ベルルスコーニ。テレビ局何社ものオーナーにして、大実業家の大金持ち。名門サッカーチーム・ACミランのオーナー。加えて、最大の出版社(モンダドーリ)までを保有している。そして、こういう立場の全てを選挙、極右の台頭などにもフルに活用してきた。彼が保有する総合メディア企業、フィニンベストのテレビはフォルツァ・イタリアのスポットCMを流し続け、そのテーマソングはイタリアの子どもたちにまで浸透している。ニュースでも、他のテレビ局の何倍もベルルスコーニ氏のことが扱われるのだそうだ。
この権力の強大さを日本人が想像するには、さしずめナベツネ氏が大金持ちの大実業家であって、かつ日本国の首相になったというような状況を想像されればよろしいのではないか。読売の主筆にして、政治とマスコミ界に強大な発言力を有し、かつ読売巨人軍の顔! そして、ナベツネ氏が今でもなお、直接間接に、週刊朝日が問題にする「官報複合体」の1主導者であるのも間違いないところだろうし。こう想像して初めて、シルビオ・ベルルスコーニの物凄い権力が僕にもやっと分かったのである。ポピュリズム「民主主義」による現代版独裁者だ、これは。
さてここまで来れば次は、モウリーニョの「顔」もご想像願えるだろう。徒手空拳、サッカー頭脳だけをひっさげて、この大権力者を赤子同然に扱ってみせた人物! 「収賄審判」に2名の退場を食らってさえ、2対0で闇の帝王を葬り去った人物。体制に対する反体制、極右に対する民主主義だ。巨人軍に対するアンチ巨人だ。金で専横を通す「スポーツ」に対する、スポーツそのものの守り手だ。金、浮き名などに流れる一切の「スノッブ」に対する「人生」自身とさえ見る人も多いのではないか。こう理解してこそ、サンシーロ競技場のこんな熱狂も初めて理解できるというもの。もう一度、長くなるが、モウリーニョの真骨頂なのだから。
『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』
(スポーツグラフィック・ナンバー753号37ページ)
日本の政治世界がベルルスコーニ・イタリアのような光景にさらに一層近づかなくても済むように。そんなことを願った。でもあのギリシャ、EUの状況! イタリア、スペインも後に続きそうだとの観測もしきり。お隣の韓国のこんな状況も伝えられて来る。
『韓国の株式市場では7日、外国人投資家の売り越し額が一日としては過去最大になった。投資家が一斉に、これまでの値上がりで得た利益をいったん確定させる動きに出たと見られる』(朝日新聞8日朝刊)
この全面株安。株が下がれば下がるほど儲かる連中もいるだけに、たちが悪い。「空売り」目的で何としてでも下げたい連中のことである。いったん確定した利益を、今度は空売りにつぎ込む? そして、さらに株安を画策する? そのために政治をも動かす? そして何よりも、彼らの所に世界の金が集まるほどに、もの作りの資本が減っていき、失業者が増える。
160億ドルの「入力ミス」? 本当にミスなのかな?
「官報複合体」という造語がある。昨今の週刊朝日を読んでいる人ならば知らない人はいないだろう。官僚とマスコミとの連携による新政権・民主党引きずり下ろし作戦という局面を説明するために頻繁に使用されてきた。万年与党、自民党に替わって「現在日本最強の権力」と解説してのことである。
この意味で行くと、首相自らがマスコミの帝王兼大金持ちであるというイタリアは、ちょっと凄まじいことになる。シルビオ・ベルルスコーニ。テレビ局何社ものオーナーにして、大実業家の大金持ち。名門サッカーチーム・ACミランのオーナー。加えて、最大の出版社(モンダドーリ)までを保有している。そして、こういう立場の全てを選挙、極右の台頭などにもフルに活用してきた。彼が保有する総合メディア企業、フィニンベストのテレビはフォルツァ・イタリアのスポットCMを流し続け、そのテーマソングはイタリアの子どもたちにまで浸透している。ニュースでも、他のテレビ局の何倍もベルルスコーニ氏のことが扱われるのだそうだ。
この権力の強大さを日本人が想像するには、さしずめナベツネ氏が大金持ちの大実業家であって、かつ日本国の首相になったというような状況を想像されればよろしいのではないか。読売の主筆にして、政治とマスコミ界に強大な発言力を有し、かつ読売巨人軍の顔! そして、ナベツネ氏が今でもなお、直接間接に、週刊朝日が問題にする「官報複合体」の1主導者であるのも間違いないところだろうし。こう想像して初めて、シルビオ・ベルルスコーニの物凄い権力が僕にもやっと分かったのである。ポピュリズム「民主主義」による現代版独裁者だ、これは。
さてここまで来れば次は、モウリーニョの「顔」もご想像願えるだろう。徒手空拳、サッカー頭脳だけをひっさげて、この大権力者を赤子同然に扱ってみせた人物! 「収賄審判」に2名の退場を食らってさえ、2対0で闇の帝王を葬り去った人物。体制に対する反体制、極右に対する民主主義だ。巨人軍に対するアンチ巨人だ。金で専横を通す「スポーツ」に対する、スポーツそのものの守り手だ。金、浮き名などに流れる一切の「スノッブ」に対する「人生」自身とさえ見る人も多いのではないか。こう理解してこそ、サンシーロ競技場のこんな熱狂も初めて理解できるというもの。もう一度、長くなるが、モウリーニョの真骨頂なのだから。
『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』
(スポーツグラフィック・ナンバー753号37ページ)
日本の政治世界がベルルスコーニ・イタリアのような光景にさらに一層近づかなくても済むように。そんなことを願った。でもあのギリシャ、EUの状況! イタリア、スペインも後に続きそうだとの観測もしきり。お隣の韓国のこんな状況も伝えられて来る。
『韓国の株式市場では7日、外国人投資家の売り越し額が一日としては過去最大になった。投資家が一斉に、これまでの値上がりで得た利益をいったん確定させる動きに出たと見られる』(朝日新聞8日朝刊)
この全面株安。株が下がれば下がるほど儲かる連中もいるだけに、たちが悪い。「空売り」目的で何としてでも下げたい連中のことである。いったん確定した利益を、今度は空売りにつぎ込む? そして、さらに株安を画策する? そのために政治をも動かす? そして何よりも、彼らの所に世界の金が集まるほどに、もの作りの資本が減っていき、失業者が増える。
160億ドルの「入力ミス」? 本当にミスなのかな?