九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

モウリーニョ対「政報複合体」、サッカーの社会的力  文科系

2010年05月08日 06時38分31秒 | 文芸作品
 この文章は、一昨日ここに書いた「モウリーニョ対ベルルスコーニ」の続きである。なおこの間のインテル、モウリーニョ関係の拙稿は他のブログでもかなり紹介されていて、嬉しかった。それ以上に、昨日のこの中身が持つ社会的意味は意外に大きいのである。それは、最近の日本の政治情勢の参考にもなる物だと分かるのであって、その次第を今日は描いてみたい。一種の「政経風俗日誌」というところだろうか。

 「官報複合体」という造語がある。昨今の週刊朝日を読んでいる人ならば知らない人はいないだろう。官僚とマスコミとの連携による新政権・民主党引きずり下ろし作戦という局面を説明するために頻繁に使用されてきた。万年与党、自民党に替わって「現在日本最強の権力」と解説してのことである。

 この意味で行くと、首相自らがマスコミの帝王兼大金持ちであるというイタリアは、ちょっと凄まじいことになる。シルビオ・ベルルスコーニ。テレビ局何社ものオーナーにして、大実業家の大金持ち。名門サッカーチーム・ACミランのオーナー。加えて、最大の出版社(モンダドーリ)までを保有している。そして、こういう立場の全てを選挙、極右の台頭などにもフルに活用してきた。彼が保有する総合メディア企業、フィニンベストのテレビはフォルツァ・イタリアのスポットCMを流し続け、そのテーマソングはイタリアの子どもたちにまで浸透している。ニュースでも、他のテレビ局の何倍もベルルスコーニ氏のことが扱われるのだそうだ。

 この権力の強大さを日本人が想像するには、さしずめナベツネ氏が大金持ちの大実業家であって、かつ日本国の首相になったというような状況を想像されればよろしいのではないか。読売の主筆にして、政治とマスコミ界に強大な発言力を有し、かつ読売巨人軍の顔! そして、ナベツネ氏が今でもなお、直接間接に、週刊朝日が問題にする「官報複合体」の1主導者であるのも間違いないところだろうし。こう想像して初めて、シルビオ・ベルルスコーニの物凄い権力が僕にもやっと分かったのである。ポピュリズム「民主主義」による現代版独裁者だ、これは。

 さてここまで来れば次は、モウリーニョの「顔」もご想像願えるだろう。徒手空拳、サッカー頭脳だけをひっさげて、この大権力者を赤子同然に扱ってみせた人物! 「収賄審判」に2名の退場を食らってさえ、2対0で闇の帝王を葬り去った人物。体制に対する反体制、極右に対する民主主義だ。巨人軍に対するアンチ巨人だ。金で専横を通す「スポーツ」に対する、スポーツそのものの守り手だ。金、浮き名などに流れる一切の「スノッブ」に対する「人生」自身とさえ見る人も多いのではないか。こう理解してこそ、サンシーロ競技場のこんな熱狂も初めて理解できるというもの。もう一度、長くなるが、モウリーニョの真骨頂なのだから。
『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
 主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』
(スポーツグラフィック・ナンバー753号37ページ)

 日本の政治世界がベルルスコーニ・イタリアのような光景にさらに一層近づかなくても済むように。そんなことを願った。でもあのギリシャ、EUの状況! イタリア、スペインも後に続きそうだとの観測もしきり。お隣の韓国のこんな状況も伝えられて来る。
『韓国の株式市場では7日、外国人投資家の売り越し額が一日としては過去最大になった。投資家が一斉に、これまでの値上がりで得た利益をいったん確定させる動きに出たと見られる』(朝日新聞8日朝刊)
 この全面株安。株が下がれば下がるほど儲かる連中もいるだけに、たちが悪い。「空売り」目的で何としてでも下げたい連中のことである。いったん確定した利益を、今度は空売りにつぎ込む? そして、さらに株安を画策する? そのために政治をも動かす? そして何よりも、彼らの所に世界の金が集まるほどに、もの作りの資本が減っていき、失業者が増える。
 160億ドルの「入力ミス」? 本当にミスなのかな?
  
 
  
 
 
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憲法記念日に書いてみる       天木プログより

2010年05月07日 12時38分16秒 | Weblog
 憲法の日に決まって各紙が特集する改憲論議。それらに目を通しながら、改憲論議で忘れてはならない視点を順不同で思いつくままに述べてみる。

 
1.一口で憲法改正といっても改正点は多くある。私の関心はあくまでも憲法9条である。憲法9条改正とその他の改正をまとめて論じてはいけない。それぞれの条文にはそれぞれの問題がある。まとめて論議し、他の改正と抱き合わせで憲法9条改正が変えられるような事であってはならない。

2.私は憲法9条を一字一句変えてはならないと主張する一人だ。それは平和憲法を守るという観点からだけでそう言っているのではない。
  今の憲法9条には米国に翻弄され続けてきた戦後の日米政治史が凝縮されている。米国の圧力に屈し、踏みにじられようとしながら頑張ってきた憲法9条の姿がある。そこが重要なのだ。たとえ一字でも変えてしまえば、それはまったく別の憲法9条となってしまう。憲法9条は単なる字句の問題ではない。米国の日本占領史とともに後世に保存していかなければならない。

3.憲法9条が変えられてはすべておしまいだ。その意味で憲法9条を変えさせない事は決定的に重要である。しかし、それは必要条件ではあっても十分条件ではない。
 憲法9条が変えられなくても日米同盟の実態が憲法9条を否定しまっては何もならない。本当に憲法9条を守りたいと思うのなら、日米同盟を正面から否定しなければならないのだ。

4.きょう(5月3日)の毎日新聞の社説はこう書いている。

 ・・・憲法と日米安保を車の両輪として「国のかたち」を形成してきた。両者は理念として矛盾するようだが、「軍事」の部分を安保条約が補完することで憲法9条が維持されたともいえる・・・と。

 実は同様の考えは日米安保改定50周年にあたる1月19日の朝日の社説にも述べられていた。すなわち、・・・「9条も安保も」という基本的な枠組みは、国際的にも有用であり続けるだろう・・・と。

 このような考えこそ憲法9条をもっともないがしろにする巧妙な考えである。

 矛盾を認めてどうする。

5.5月3日の各紙に各党の談話が載っていた。そのなかで日米同盟を否定しているのは日本共産党だけである。すなわち、日米安保条約をなくし、核も基地もない平和・独立の日本を築くため全力を尽くす、と。
  これこそが憲法9条の精神を体現すものである。しかし日本共産党だけがそう唱えても、一般国民にひろがらない。ここが問題なのだ。

6.村山社会党や福島社民党のように、護憲を叫びながら日米同盟は重要だなどと唱える事が一番悪い。まさしく日米同盟論者の思う壺だ。社会党、社民党の罪は重い。

7.そもそも憲法9条改正が近い将来行われる事はない。9条改正に反対する世論はきょうの朝日新聞でも67%に上る。今の弱体した政治状況ではどの政党が政権をとっても憲法を変えるなどという大事業を行える政党はない。
 米国も日本政府もいまさら9条を変える緊急な必要性はない。9条を変えなくても日米同盟でどんどんと好きなように出来るようになっている。

7.憲法9条を変えると主張する者も、憲法9条を守ればそれでよいとする者も、根は同じだ。自己主張である。

 本当に憲法9条を守りたければ日米軍事同盟からの決別を実現しなければならない。
その事を私は「さらば日米同盟」(講談社 6月刊行予定)で訴える。


 「天木直人メールマガジン」で配信しているテーマ

 1.孤軍奮闘する鈴木宗男とその限界

 2.独立法人仕分けと公務員制度改革は一体という産経社説の正しさ

 3.私は鳩山首相を見限った

 4.小沢起起訴相当を議決した検察審査会

 5.無人機爆撃で人間を虫けらのように殺し続ける米国

 6・米国との関係を再考し始めた英国

 7.ゴールドマン・サックス起訴とオバマ暗殺の噂

 8.普天間基地移設問題の論議で欠けているもの

 

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東京新聞の特報   らくせき

2010年05月07日 09時19分32秒 | Weblog
「国外、最低でも県外」から腹を割って見れば、
沖縄・辺野古沿岸部にくい打ち桟橋方式の代替施設の建設-。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で
“公約”違反のブーイングを浴びる鳩山由紀夫首相。

とはいえ基地集中は沖縄のこととして、
われわれも傍観してはいなかったのか。

こんなリードの記事が中日新聞に。

これまでの報道姿勢に批判的な声を紹介しています。

「国益を代表して交渉している首相をバッシングする
報道は理解できない。
反米意識の高まりより首相への批判が集中するのは
日本がアメリカの属国という意識から抜けられないから。」
と、神戸女学院の内田樹教授。

さらに「米軍が日本に駐留するのは思いやり予算のせい。
首相に責任を押し付ければ良いと考えているメデイアも
自分の腹案を示しておらず、
首相が退陣するなら、メデイアも退陣する必要がある。」

なるほど、と思ってしまう。

まあ、マットウな意見だと思いますが、
あんなに愛国心を声高にいう人たちは
なぜ無言なのか?

マスコミと鳩山さんと、どちらが愛国的なのか?

なお、愛国とは憲法を大切に思うこと。



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 モウリーニョとベルルスコーニ  文科系

2010年05月06日 17時46分07秒 | 文芸作品
 現今、世界1のサッカー監督とも目されているイタリアはインター・ミラノのジョゼ・モウリーニョ。現在進行中であるヨーロッパ・チャンピオン杯決勝戦への進出も、確か4度目。この名監督はイタリアサッカー界に多くの批判発言を投げかけてきたが、それらは強烈を通り越して激烈である。その矛先は今や、イタリア首相にしてテレビ界をも牛耳る大権力者・ベルルスコーニに向かっている。間が悪いことに、ベルルスコーニがオーナーであるACミランと、モウリーニョのインター・ミラノは同じミラノ市を本拠とする仇敵同士であって、しかもベルルスコーニには過去にとかくの噂も多い。この新春のモウリーニョ発言は、こういう内容のもの。以下、論者は、ミラノのサッカージャーナリスト、フランコ・ロッシ氏。 

『 イタリア首相でありACミランのオーナーであるシルヴィオ・ベルルスコーニが審判たちに対してカルチョーポリを行なっているのではないか、と、いまイタリアサッカー界で話題になっています。カルチョーポリ、それはサッカーにおける贈収賄疑惑のことです。2006年以来となるこの疑惑をめぐり、ことは、かなり大きくなりつつあります。(中略)
 その疑問を最初に呈したのは、インテルのモウリーニョ監督とモラッティ会長でした。対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました。多くの人々がインテルの優勝を予想しているカンピオナート(リーグ戦に意味か・・・文科系)を、やりなおそうとしている審判たちがいる。それも、ACミランへの好意のためにである、と。カンピオナートの順位でも群を抜いて1位のインテルの監督が言うのですから、この発言はたいへん驚きをもって迎えられました。インテルのモラッティ会長も、「隠れた操作がなされている」と話し、モウリーニョの発言を煽りました。そして、問題となる、2月21日土曜日の、インテル対サンプドリア戦を迎えます。
 前半戦で、タリアヴェント審判はサミュエルにレッドカードを示しました。それを見たコルドバとモウリーニョが、イタリアではどの監督も見せたことがないような「ショー」を展開します。そのショーは、まるで手錠をかけられたように腕を交差する動作から始まりました。このジェスチャーはテレビカメラの前で何回も行われ、まるで「監獄に行く人間が、ここにいる」と言っているかのようでした』

 この名監督、去年新春には、有名な『イタリアのサッカージャーナリストたちは、売春婦である』旨の発言で大物議を醸している。ありそうなことなのである。『テレビ界の帝王ベルルスコーニの取り巻きジャーナリストたちが、ACミランを担ぎ上げ、インテルをこき下ろしてきた』構図。『政治とマスコミを握っている権力者、ベルルスコーニに「持ち上げて欲しい」とすり寄る売文業者や、サッカー審判、関係者たち』の構図。しかも、イタリアでは有名な話なのだが、不良中年で名高いベルルスコーニはACミランの動向を常に自らの選挙にも活用してきた。ところがこの帝王のACミランであるが、名監督モウリーニョがイタリア、インテルに来るちょっと前からずーっと、良い思いが一つもできないと来ている。今年の1月24日、この「ミラノダービー」はこんなに惨めな負け方をしている。その光景描写を、最新号のスポーツグラフィック・ナンバーから抜粋してみよう。

『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
 主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』

 モウリーニョという人物が良く伝わってくる文章だと思う。このダービーマッチの直後の発言こそ、上でロッシ氏がこう伝えた贈収賄発言の出所。
『対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました』

 ジョゼ・モウリーニョ。あの端正な容姿にマッチしたような知性的応対においても、つとに有名な人物だ。そういう人間が「イタリアのサッカー界は嫌いだ」と言いつつ、そこの(闇の)帝王と闘っている構図。しかも上記のような光景は、インテリスタでなくとも惹き付けられるに違いない。
 
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中国が北朝鮮にもとめていること   らくせき

2010年05月06日 13時32分10秒 | Weblog
北朝鮮の金さんが中国を訪問。
韓国は軍艦が北に攻撃された可能性が
高まっているなかでの訪問に
神経をピリピリ・・・・

一体、北と中国は、どんな話をしているのか?
よく分かりません。

そんななかで朝鮮日報が
北から脱出した元幹部の話を載せていました。

今日、内容を再確認しようとしたら
もう記事はありませんでした。
デリケートなので削除されたのかな?

記憶に残っているので興味深かったのは
中国が北の世襲制に強く反対しているとの情報。

あまり日本の報道機関では紹介されない
話なので、投稿しておきます。

おそらく経済的発展の道を歩むうえで
世襲制がネックとなっていると、
中国が認識しているのではないでしょうか?
これって案外、現代中国の発展の基礎かも。

あるいは、脱北者の希望的な観測かな?

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腹案は徳之島だったのか。     森永卓郎の戦争と平和講座

2010年05月05日 20時57分23秒 | Weblog
★久しぶりにマガジン九条にアクセスしてみました。森永卓郎の戦争と平和講座に納得できる記事がありました。(ネット虫)

 鳩山総理の「腹案」が徳之島だったということを知ったのは4月19日のことだった。毎日新聞の岸井成格さんが、周辺を取材した結果、そう確信したと言うのだ。「そんなバカな話はないでしょう」と私が言うと、岸井さんも徳之島ではないと思っていたそうだ。ところが取材を進めるうちに、そうとしか考えられないことが分かったと言うのだ。最近の状況をみると、どうやら、岸井さんの判断は正しかったようだ。
 徳之島であれば沖縄県外という扱いになるし、沖縄との距離も近いから、嘉手納基地との連携も取り得る。それでアメリカを説得しようという腹づもりだったらしい。しかし、鳩山総理は、徳之島の島民の過半数が反対集会に参加するとは思っていなかったようだ。島民との事前調整をまったくせずに、いきなり基地移転だと言われたら、住民が反発するのは当然だが、私が落胆したのは、鳩山総理に日本の安全保障に関する理念がないことが明確になってしまったことだ。
 正直言って、私は鳩山総理の腹案は「グアム」だと思っていた。「常駐なき日米同盟」を主張してきた総理だから、新しい時代へのビジョンを持っていると信じていたのだ。しかし、総理の腹案が徳之島だったということで、総理が新しい日米関係を築こうと考えているわけではないことが、明確になってしまったのだ。

 戦後65年が経ったのだから、いくら何でも、すべて戦勝国の言いなりで居続ける必要は、もうないだろう。それでも、「日本は米軍に守ってもらわないと、国民の安全を確保できない」と多くの「有識者」が言う。私は、そう思わないが、仮にそうだとしても、普天間基地の機能が、日本のために本当に必要なのだろうか。
 アメリカは、アジアの部隊を再編し、グアムに集結させようとしている。それは何を意味するのか。米軍はアジア方面に二つの防衛ラインを持っていると言われる。第一のラインは、日本から沖縄、フィリピンを結ぶラインで、第二のラインはグアムを中心とするミクロネシアのラインだ。アメリカが部隊をグアムに集結させるのは、防衛ラインを第二のラインまで後退させるという意味なのだ。
 では、なぜ普天間基地の機能はグアム移転されないのか。それは普天間基地が海兵隊の前線基地だからだ。海兵隊というのは、海戦を担う海軍と異なり、上陸作戦を担当する部隊だ。つまり、敵国に上陸し、敵地で戦うのが、海兵隊の本来業務なのだ。アメリカの立場からすれば、中国や台湾への上陸を早期に果たすためには、海兵隊の戦闘機をその近くに置いておく方が有利だ。だから、沖縄に普天間基地が、そして同じく航空団が配備されている、嘉手納基地が必要になっているのだ。
 しかし、そのことを考えれば、海兵隊の前線基地を日本に置くことが、日本の安全を確保することにつながる可能性がほとんどないことは明らかだろう。上陸作戦をする部隊が日本を守るはずがないのだ。
 つまり、普天間基地はアメリカのためにあるのであって、日本のためにあるのではない。その前提を踏まえれば、自ずと答えは明らかだろう。沖縄県民も、徳之島の住人も、そして日本のすべての地域の国民が、新たな米軍基地の建設は嫌だと言っているのだから、普天間も嘉手納もグアムに引き取ってもらえばよいのだ。
 そうした理念の下で、普天間の問題をアメリカと毅然たる姿勢で交渉すれば、当面の結果がどうなるかは別にして、国民は納得するのではないだろうか。
 理念を持たずに場当たり的な対応を繰り返していたら、政府はあらゆる層から見捨てられてしまうだろう。
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グラの対浦和戦  文科系

2010年05月05日 16時21分22秒 | スポーツ
 ワールドカップ前の3連戦が今期のグラの試金石。浦和、仙台、鹿島だ。本日は浦和戦、1対2で逆転負け。押し詰めて言えば、「前半頑張った分、結局走り負け」
 
 出だしの名古屋は正直、これがあの名古屋かと思った。攻めては、球離れよくぽんぽんと行く。よく見るとみんながダッシュを繰り返していたから、ボールを受ける動きが良かったのだと思う。守ってもよく走り、球際にも強いこと! 「闘ってるなー!」の感。「先取点!」で余程強い意思一致をしていたのだろう。
 ただ、ケネディめがけて放り込む戦法だけしか効果的な攻め手がなく、後半が心配になってきた。前半も半ばを過ぎると、浦和の攻勢がはっきりしてきた。

 後半は、初めから一気に浦和の攻勢だ。10分ほどの内に2点取られる。中盤で競り負けていたし、お互い敵陣営に入り込んでからの攻め方に差が出てきた。浦和はポンテを中心に縦に行けるが、グラは例によってなかなか行けず、放り込み以外では横に回すのが目立った。ボールがサイドに行ってからのクロスにも、精度を欠く。守ってもゴール前のラインがどこか甘い。ポンテやエジミウソンなどに2人で行っても交わされることも目立ったし、攻める敵のボール保持者にも、誰も密着マークに出て行かないという光景も普通に見られた。あれでは、良いパスを出されてしまうから、ダイレクトに攻め込まれる。グラもハユマ、中村などはよく闘っていたのだが、チームとしての球際がしだいに劣勢になってきたと言える。やはり浦和に比べて、走力に問題があるのだろう。
 結論、ケネディ以外には特徴がない、攻守とも弱点が多いチームになっていると思う。トゥーリオと玉田がいれば、もう少し違うのかな? ピクシーの1年目は、この浦和戦の出だしのようなゲームがもっと出来ていたはずなのだが。
 
 次の仙台、意外に強くて要注意だろう。失点が多いが得点力がある。鹿島に勝っているのに、下位に負けるのだ。J1の戦い方をあれこれと模索真っ最中なのかも知れず、不気味だ。そして次が、鹿島戦になる。勝てば希望はあるが、鹿島はこういう大事なゲームに強いからこその、王者なのだ。結果はまだ見ていないが、清水は取りこぼしをしないだろう。 
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鳩山さんの正念場    らくせき

2010年05月05日 08時33分27秒 | Weblog
沖縄にも基地を残すという案をもって
現地にいった鳩山さん。

案の定、現地の猛反対にであって、
前門の虎、後門の狼、といった状態に。

でも、これは予想された事態。
想定内のこと。

ここから突破口はあるのか?
それは鳩山さんの決断にかかっている。

鳩山さんは自ら見込みを誤まったと述べていた。
この見込みが、どのように違ったのか?

軍事機密に触れても国民のまえに明らかにする。
この一手しかないかも。

そこからがホントウの問題への取り組み。
ここがスタートライン。
なぜ、マスコミは、そういう観点が取れないのか?

各党は批判していたが、どこがやっても同じこと。
いうだけなら、誰でもいえる。
マスコミも。私も。





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沖縄経済、そこが知りたい   らくせき

2010年05月04日 14時13分10秒 | Weblog
基地か?脱基地か?経済はどうなる?
こんな疑問に答えるタイムリーな記事を
中日新聞が載せていました。

   

これまで、政府は多額な税金を米軍だけでなく
沖縄の地主と自治体に投入してきました。
しかし、この税金は沖縄の経済を自立させることなく
ある意味の死に金だったというもの。

まず、地代をもらった地主さんたちは、投機に走って失敗したり
地主の息子さんたちも高級車に乗って遊ぶだけ、
と厳しい評価。
(でも、もらったお金を投資する対象がなかったかも。
この点に記事はツメがやや甘い。)

自治体もハコモノ行政で、いまでは、維持費などが
お荷物になっているという。
これなど、本土と同じ構造。自民党政権が行ってきた
コンクリート政策のツケ。よく分かります。
(これも沖縄の自治体だけのせいにしたら可哀相。
こうするように、いわば強制されていなかったとは言えない。
他の道を選ぶ自由がなかった可能性が高い。)

しかし、日本経済と自民党政治の衰退がじわじわと影響を。
基地を撤去してイモと裸足の生活に戻りたいか!という脅しが
通用しなくなってきている。

その根拠のひとつは、比較的基地経済に依存していない
自治体のほうが経済的に自立してきているという事実。

人件費が高く、消費地から遠いために工業立地はむつかしいが、
観光・伝統産業・農業・漁業の地道な成果があがっているという。

結論。
基地返還がバラ色の未来を運んでくることはないが
地道なマトモな生活は出来る。

さて、基地か?脱基地か?どちらを選ぶかは、沖縄の人々の選択。
その選択を支援するような政治が行われるように願わずにはいられない。

そうした意味で、今度の参院選の一票を使おうと思う。

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こういうことだったのか。   らくせき

2010年05月03日 20時50分07秒 | Weblog
中国のヘリが日本の自衛隊の艦船に急接近したという
事件がNHKで報じられていましたが、背景はこういうことだったんですね。

中央日報が朝日の記事を引用して解説していました。

  

東シナ海をめぐる両国の対立は最近になって一層水位が上がっている。
日本は3月、沖縄陸上自衛隊第1混成団(約1800人)を
第15旅団に格上げして兵力300人を追加配置した。

これに対立して中国は先月3~23日潜水艦・駆逐艦など
10隻で構成された海軍艦隊を日本領海周辺と太平洋で出した。

中国艦隊は沖縄本土と南部宮古島間の公海を通過して
太平洋の沖ノ鳥島まで進出して訓練を実施した。
その後、日中両国が領土紛争をしている尖閣(中国名魚釣島)列島が
属している東シナ海を経て中国に帰った。
この過程で日本は護衛する2隻と超音速機P3Cを出動させて密着監視に出た。
これに対立して中国海軍もヘリを2度も出動させて
自衛隊護衛艦50メートルの距離まで近接飛行し、両国間に緊張が高まった。

日本は単に受身だと思っていましたが・・・



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恒例の九条の存非を問うシール投票をしました。    まもる

2010年05月03日 17時51分13秒 | Weblog
只今さんではないのですが、鶴舞公園では右翼街宣車が「憲法カイセイーーー」と絶叫していました。警察も警備車両を動員し公園を囲むように警備していました。

十時から始めたシール投票 九条を 「守る」「変える」「わからない」のどれかに丸いシールをボートに貼ってもらうイベントです。

全国投票の会が数年前から始めた全国的な行事です。全国60か所で実施しています。

昭和区九条の会も参加していて毎年、憲法記念日には鶴舞公園で市民の皆さんにご意見を伺っています。今年も公園の花まつりに参加された家族の人々が、シールを貼っていただけました。

今年の結果ですが。

 9条を  「守る」125人  「変える」14人 「わからない」7人

 でした。全国的には以下のようです。
===============================================================================

投票実施予定都市(60箇所 5月3日現在)       投票日        憲法9条を
   4月17日~5月3日  守る  変える  わからない

北海道札幌市 29日     52    1    2
    江別市 30日    112    5    5
千葉県千葉市  1日    240   26   48
           2日   188   18   36
    市川市  28日   115   16   13
    浦安市  17日   163   19   18
埼玉県さいたま市 2日   50    8    5 
    蕨市    2日    60    8   14  
東京都板橋区  29日    91   11   10
    足立区  29日    68   27   11
    町田市  30日   155   27   20
    国立市  25日    27    5    1
神奈川県
   横浜市泉区 1日   106    9    3
      栄区 29日   290   24   16
      青葉区30日   168   20    9 
      西区  3日   358   45   38
      都筑区30日   180    8   16 
    大和市  24日   103   19    8
    鎌倉市   2日   240   36   12
    逗子市  27日   138    4   16
    藤沢市   2日   282   33   38
    茅ヶ崎市  2日   395   35   22
山梨県甲府市  27日    45    3   4 
    忍野村  27日    46    6   6
    韮崎市  28日    63    6   3  
    北杜市  28日   106    8  12  
静岡県沼津市  29日   294   14  39

愛知県
  名古屋市中区 2日   274   39  36
  名古屋市中区 3日   129   25  18
  名古屋市昭和区3日   125   14   7 (鶴舞公園)

    西尾市   29日    6   2    0

岐阜県多治見市  1日  123   13   18
     池田町  29日  105   18   27
     関ヶ原町 30日  111   10   20
     揖斐川町 30日  101    5   28 
     大野町  30日   71   14   16
     大垣市   1日  177   34   45
富山県富山市   2日  188   23   43
石川県金沢市   2日   56    3   19
            3日   71   19    5 
京都府京都市  27日   114   7   30 
   亀岡市    3日   216  27   35
大阪府大阪市   3日   209  48   13
           4日
    吹田市  30日   131  27   22
    堺市    29日  190  30   10
兵庫県神戸市   3日   166  25  20 
岡山県岡山市   1日   157  24  15
    倉敷市   2日   228  39   9
広島県福山市   3日   365  60  37
     広島市  3日  1047 115  120
     広島市  3日   525   65  73
     廿日市市29日   304  25   22
鳥取県鳥取市   3日    112  40  37
山口県防府市   27日   133   8   8
    山口市    3日    70   6   2
長崎県長崎市   28日   662  63  58
    諫早市   29日   132   6  16
    佐世保市  29日   431  19  31
    島原市    3日    28   7   12
熊本県熊本市    3日    86   7   20
   60箇所計       10978 1308 1297合計13583
                (81%) (10%)(9%)by qzten | 2010-03-15 22:24
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映画監督との懇談会のご案内       昭和区九条の会のまもる

2010年05月03日 16時33分16秒 | Weblog
急な計画で大変恐縮ですが、アメリカの海兵隊を長期間取材し、撮影し
てきた藤本監督(アメリカ万歳)に海兵隊の真実を語ってもらう機会ができ
ました。
 普天間基地など日本の基地を利用して世界で戦う海兵隊の実像を知る
よい機会だと思い、皆さまにご案内をする次第です。
                     記
★ 藤本監督との懇談会(昭和区九条の会主催)

 「日時」 5月6日(木) 午後6時~8時30分
 「会場」 鶴舞総合法律事務所・会議室
 *名古屋市昭和区御器所通り4ー5 (御器所・西友から西へ100m)
 *市バス御器所車庫のビルの東隣の建物4階(1階にカレー店や豊証券)。
 *駐車場はありません。スーパー西友で買い物をする手はあります。

 「内容」 
  ★ 普通の若者がどのように海兵隊員に変身するのか。
    (お話し) 森の映画社 藤本 幸久 監督
  ★ 質問と懇談コーナー
    
 「参加費」  300円(会場費など)
 「主 催」  昭和区九条の会 連絡先:052-731-2749(舟橋)
                   携帯:090-8153-4590(〃)
  
(少し説明をさせて戴きます)
 藤本監督(映画アメリカ万歳)が新しい映画をつくりました。アメリカの普通
の若者たちが僅かの期間で海兵隊員の仕立て上げられる訓練の模様をド
キュメントしたもの(題名は、ONESHOT・ONEKILL)です。
 映画は、海兵隊の新兵訓練の様子を300時間も撮影し、2時間ほどに圧
縮した映画ですが、軍隊訓練の恐ろしさが伝わる内容です。
 上映館は、名古屋シネマテーク(千種区今池1-6 今池スタービル2階)
 上映期間は、5月8日~21日(上映時間は10:30~ 1回です)
         5月22日~28日(上映時間は18:30~ 1回です)

追伸 アメリカ200日の取材(アメリカの反戦活動家、高校生、イラクやベト
  ナム帰還兵、基地被害に苦しむ住民などの証言)をドキュメントにした上
  映時間8時間の「AMERICA」もワンショット・ワンキルの後に上映もあり
  ます。
    *上映期間は、5月29日~6月4日 
    *上映時間は、Aプログラムは、12:30~  Bプログラムは、15:15~ 
              Cプログラムは、18:30~
    *通し券は、3000円(8時間)  1プロでは、1500円です。

--
舟橋 勝
funahashi-masaru@lagoon.ocn.ne.jp
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5月3日       只今

2010年05月03日 16時18分37秒 | Weblog
 地下鉄「鶴舞駅」を地上に出ようとしたら、階段を降りてくる人が耳を塞いでいるので何事かと思ったら、十数台の街宣車が「カイセーせよー」とただそれだけを大音響で叫ぶ。そうか、公会堂で開かれている「憲法記念行事」に対抗してのことか、と思いあたり、音量測定器らしきものがあるので、それをを覗き込もうとしたら「警察」腕章の人にジロリと睨まれたので、慌ててシガナイ市民を装おいましたが、それにしてもこの音量は明らかに違法の大音量! そしてこの立派な大型街宣車は高価であっただろうな、と余計なことを考えながら、今日の新聞各紙を駅で求めました。

 街宣車が叫んでいた「カイセーせよー」とは、憲法九条のことと思うのですが新聞の社説は以下のようでした。

      『中日』の見出しは、【初心をいまに生かす】
 その冒頭は、「長い戦争から解放され、人々は新しい憲法を歓迎しました。その“初心”実現に向けて積極的理念を世界に発信できるか、日本の英知が試されます」。
  
      『朝日』は、【失われた民意を求めて】
 このタイトルだけではよく判りませんが、どうも三鷹市などで試みられている市民討議会を広めようということのよう。

      『毎日』は、【「安保」の将来含め論憲を】
 憲法と共に、これまで避けてきたきらいがある日米安保について考えよう、という趣旨のよう。

      『読売』は、【改正論議を危機打開の一助に】
 気がかりなのは、外国人への地方参政権付与などの民主党の憲法解釈。だから憲法審査会を早急に動かすことが大事である、というのが趣旨。
 社説人のいらつきがみられますが、この新聞の読者に語りかけようと、恒例の「九条実現」の意見広告。その今年の掲載紙は『読売新聞』。数年前にも読売に掲載されましたが、その時には、「九条こそ悪」といった反論が多数寄せられ、それらの一つひとつに事務局は返事を出したそうです。
 それはさておき、いま虫眼鏡で見ているのですが、おケイさん、おリョウさん、おチエさんの名もあって嬉しい。皆々元気、何より。

       『産経』は、何も触れず。お見事!

  
 

 
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裏表の顔・・・綺麗なばかりではありません        坂井貴司氏のメールより

2010年05月03日 16時16分45秒 | Weblog
★坂井貴司さんから次のようなメールを受け取りました。考えさせられることも多かったので紹介します。 (まもる)

 
 熊田さん[CML:003806]は、先日死去した劇作家・小説家の井上ひさしが、前妻
に対して凄まじい暴力を振るっていたことを伝えました。
 
「右であれ、左であれ、バタラー」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20100413

 そのことについては、私も知っていました。
 
 私は「吉里吉里人」や「コメの話」を読んで熱烈な井上ファンになりました。
また、憲法九条改正反対運動に積極的に取り組む姿には尊敬の念を抱いていまし
た。
 
 それを崩したのが、『修羅の棲む家』(はまの出版)でした。「ボクサーのよ
うにリズムをとって私の顔にパンチを浴びせ続けた」という描写には驚きました。
博識とユーモアにあふれた小説を書く人が、このような恐ろしい暴力を妻に振る
うとは想像を絶することでした。彼にはこのような裏の顔があることを知った私
は、「熱烈な」ファンであることをやめました。
 
 井上ひさしは、劇作家・小説家としては間違いなく超一流でしたけれど、人間
としてや「失格」の面を持っていました
 
 「進歩的知識人の仮面をはいだら最低の人間だ」という高笑いが聞こえてきそ
うです。
 
 人間は誰でも裏表の顔があると言いますけれど、多くの人々から尊敬されてい
る人物の多くは、裏の顔を持っています。
 
 井上ひさしと同じ時期に活躍し、死後も「国民的作家」として人気がますます
上がっている小説家、司馬遼太郎(1923年~1996年)もそうでした。
 
 司馬はアニメ映画監督の宮崎駿や物理学者湯川秀樹など多くの人々と交友関係
を持ちました。誰もが司馬を、誠実で穏やかで鋭い洞察力のある人物と絶賛しま
した。一つの歴史小説を書くのに、古書店を空っぽにしてしまったと言われるほ
ど資料収集に熱心でした。
 
 彼を讃える本やテレビ番組はたくさんあります。
 
 しかし、彼が最初に結婚した妻を守らなかったこと、その妻との間に生まれた
子どもを養育放棄したことは誰も語りません。
 
 司馬は最初の妻と結婚した時、自分の父親の家に同居しました。なかなか子ど
もを産まないことに腹を立てた司馬の父親は、「3年孕まずは猿と一緒」と彼女
を罵り、いじめました。嫁いびりに苦しむ先妻を司馬は「仕事が忙しいから」と
守りませんでした。長男が生まれたあとも義父のいじめが続いたために、先妻は
司馬と離婚しました。ところが司馬の父は「長男はウチの跡取りだ」と自分の手
元に置き、母と引き裂いてしまいました。これにも司馬は黙っていました。そし
て司馬は自分の息子には全く関心を払いませんでした。司馬は長男の養育を両親
に任せて、ひたすら執筆に専念しました。自分を見捨てた長男は「司馬の息子」
と呼ばれることを嫌ったそうです。その話を聞いた司馬は「なぜ、長男は俺の息
子と呼ばれるのを嫌うのだろう?」と不思議がったそうです。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B8%E9%A6%AC%E9%81%BC%E5%A4%AA%E9%83%8E#.E4.BA.BA.E6.9F.84

 「鋭い洞察力と確かな目を持った」と賛美される司馬は、家庭に関してはそれ
が全くありませんでした。
 
 私はCMLなどの市民運動のMLにメールを送り、ほんの少しだけですが、平和運動
や労働運動にかかわっています。それは、ジャーナリスト、本多勝一がいたから
です。
 
 高校生の頃、高校の図書室で本多の代表作「殺される側の論理」(朝日文庫)
を読みました。暖房を切った底冷えのする薄暗い冬の図書室の片隅で、足が冷え
るのも忘れて「殺される側の論理」を一心不乱に読みました。バットで頭を思い
切り殴られたような衝撃を受けました。「ノーベル文学賞は文化抹殺の賞だ」い
う文は、私の価値観をたたき壊しました。
 
 これが私の出発点でした。以後、私は本多の著作を読みまくりました。
 「殺す側の論理」・「中国の旅」・「アメリカ合州国」・「戦場の村」・「そ
して我が祖国日本」・「天皇の軍隊」・「職業としてのジャーナリスト」・「貧
困なる精神」シリーズ・・・。権力に対する怒りに満ちたこれらの著作は、私が
世界を見る目の基盤となりました。
 
 私は大学で文化人類学を学びました。これは本多の「極限の民族」、「カナダ
・エスキモー」、「ニューギニア高地人」を読んだからです。本多の人類学シリー
ズは、大学関係者の間で高く評価されていました。
 
 本多にあこがれて、大学卒業後はジャーナリストになりたいと思いました。こ
れは実現しませんでした。 
 
 「週刊金曜日」が創刊されたとき、私は一も二もなく定期購読を申し込みまし
た。高い購読料ですけれど、尊敬する本多が編集委員ということでそれは気にし
ませんでした。「金曜日」の記事は期待通りの充実したものでした。「さすがは
本多勝一」と思いました。
 
 それが変わったのが、廃刊になった「朝日ジャーナル」で本多が書いたコラム
でした。イギリスではエスカレーターは皆左側に並んで立つ、だから急ぐ者は右
側を駆け上がる事が出来る、それに対して日本は両側を塞ぐように立つものだか
ら急ぐときはかき分けなければならない、こんな日本は野蛮だ、最低だ、といつ
もの調子で「メダカ民族」日本人をこき下ろす文でした。これに対して、「私は
左手に障害があるため、エスカレーターの左側に立つことができません。どうす
ればいいのでしょう」と投書がありました。本多は納得できる反論を書きません
でした。
 身体障害者の娘を持ち、身体障害者に対する偏見と福祉政策の貧困に怒りの文
章を書き続けてきた本多が、なぜこのような配慮のないコラムを書くのかと思い
ました。
 
 そして私がホンカツ教の信者であることを辞めた決定的な事件が起こりました。
 
 1987年、本多は同じ朝日新聞社の同僚である疋田桂一郎らとリクルート社
が経営する安比高原のスキーリゾートへ旅行しました。リクルート社がホテル代
やリフト券代を負担する接待旅行でした。
 
 この接待を1996年、フリージャーナリストの岩瀬達哉が、講談社の雑誌
「Views」で報じました。すると本多は、岩瀬を「講談社の番犬」「狂犬」「売春
婦よりも本質的に下等」と汚い言葉で罵りました。この記事は名誉毀損で裁判に
なりました。2004年9月の東京高裁判決で接待は事実と認定されました。
 
 素直にリクルート社から接待を受けたと言えば良かったのに、受けていないと
言い張り、一人のフリージャーナリストを聞くに堪えない汚い言葉で罵ったあげ
く、裁判で事実上負けた本多勝一の無残な姿に私は失望しました。この程度の人
間だったのです。この接待疑惑で醜い姿をさらけ出した本多の本を読む気は無く
なりました。「週刊金曜日」の定期購読も止めました。
 
 とは言え、小説家とした超一流だった井上ひさしや司馬遼太郎と同様、本多は
「読ませる文章」の達人であることには変わりありません。私は本多の著作のほ
とんどを処分しましたけれど、「日本語の作文技術」(朝日文庫)だけはいつも
脇に置いています。MLに送る文章や機関誌への投稿記事を書くのに、大変役に立
ちます。好き嫌いは別にして、「日本語の作文技術」は必読の書です。
 
 他にも裏の顔を持つ著名人はいます。
 
 理想のために家族は犠牲になって当然だと考え、息子を野垂れ死にに追いやっ
たマハトマ・ガンジー、日本への原爆投下を実は反省していなかったアルバート
・アインシュタイン、反戦反核平和運動を嘲笑し、原爆は神があたえたもうた試
練と述べた永井隆、「敵は殺せ」とテロル戦術や、裁判なしでニコライ二世一家
皆殺しを命令したレーニンなどです。
 
 これらのことから私は、人は一歩距離を置いて見るべきだと思います。

坂井貴司
福岡県
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 随筆 不整脈ランナーの手記(17) 順調だけど要注意が 文科系

2010年05月03日 08時44分01秒 | 文芸作品
 心臓カテーテル手術後初の執刀医診断が27日にあった。掛かり付け医送付の「心電図計1日装着結果」や当日の心臓エコー検査結果などを元にして話されたことは、掛かり付け医の診断と同じ結論で、こんな会話になっていった。

医師「期外収縮は残りましたが、心房細動はありませんね」
僕「細動がなければ、走れますから、まず嬉しいです。期外収縮と心房細動の関係はどういうことですか?」
医師「期外収縮が進むと細動になるということですね」
僕「では、走っている時に期外収縮が起こったら、止めた方がよいということですか?」
医師「それはまた、別の話です。苦しくなければ走ったほうが良いのです」
僕「僕が走る場合、普通の心拍が150とか、多い時は160とかになりますが、それでも走っていてよいのですか?」
医師「やはり、苦しくなければ走っていて宜しい。まだお若い身体なんですから、頑張って走ってください」
僕「ランナーにはこの手術をする人が多いと前に言ってらっしゃいましたが、今後の見通しはどうなるのでしょう?」
医師「この手術の今のやり方をここで確立してから4年になりますが、その4年の経験から判断しますと、まず4年は異常は起こらないでしょう。その先は分かりません。もし起こったら、また手術ができます」

 さて、それから晴れ晴れと順調に努めている。28日は、我が家の13段の階段をゆっくりと110往復で、心拍は120~130。29日には、ちょっときつめの往復を30ばかりやったが、心拍は120ほどと落ち着いてきた。でも、事後にちょっと長く乱れた。そして本日、術後2回目のジム・ランニング。前回手記の報告と同じようなやり方で、結果はこうだ。カッコ内が前回である。
 ウオームアップ歩行も含めて5キロ走るのに要した時間39分(41分)、最高持続速度8.5キロ時(8キロ時)、通常心拍140(135)。クールダウン歩行も入れて、およそ50分トレッドミルに乗っていた。

 こういう体験を通して自分に分かってきたことが以下である。
①ウオームアップが非常に大切。これをしっかりやらないで急に運動をすると「上室性心室期外収縮」が増えてしばらく納まらない時があるらしい。これが最大の要注意点だ。
②左心室の収縮率が64%と高いのはよいが、それに悪慣れしていて①を起こす傾向があるので特に注意すること。
「急な運動は厳禁。暖めて、暖めて! そうすれば大丈夫」と、こういうことなのだろう。

 運動を再開してからもう2キロ痩せ、ジーパンのウエストが緩いなと今朝感じた。体脂肪も19%台になっている。運動が出来ない分ギターを弾きすぎて痛めていた左掌の痛みも取れ、長くブログをやる目も疲れず、どこも快調である。酸素の周りがよいとは、本当に良いことばかりなのだ。こうして毎日かなりの運動をしても、肩こりや腰痛はもちろん出ないし、膝もふくらはぎも痛めていない。酸素様々なのである。
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