現今、世界1のサッカー監督とも目されているイタリアはインター・ミラノのジョゼ・モウリーニョ。現在進行中であるヨーロッパ・チャンピオン杯決勝戦への進出も、確か4度目。この名監督はイタリアサッカー界に多くの批判発言を投げかけてきたが、それらは強烈を通り越して激烈である。その矛先は今や、イタリア首相にしてテレビ界をも牛耳る大権力者・ベルルスコーニに向かっている。間が悪いことに、ベルルスコーニがオーナーであるACミランと、モウリーニョのインター・ミラノは同じミラノ市を本拠とする仇敵同士であって、しかもベルルスコーニには過去にとかくの噂も多い。この新春のモウリーニョ発言は、こういう内容のもの。以下、論者は、ミラノのサッカージャーナリスト、フランコ・ロッシ氏。
『 イタリア首相でありACミランのオーナーであるシルヴィオ・ベルルスコーニが審判たちに対してカルチョーポリを行なっているのではないか、と、いまイタリアサッカー界で話題になっています。カルチョーポリ、それはサッカーにおける贈収賄疑惑のことです。2006年以来となるこの疑惑をめぐり、ことは、かなり大きくなりつつあります。(中略)
その疑問を最初に呈したのは、インテルのモウリーニョ監督とモラッティ会長でした。対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました。多くの人々がインテルの優勝を予想しているカンピオナート(リーグ戦に意味か・・・文科系)を、やりなおそうとしている審判たちがいる。それも、ACミランへの好意のためにである、と。カンピオナートの順位でも群を抜いて1位のインテルの監督が言うのですから、この発言はたいへん驚きをもって迎えられました。インテルのモラッティ会長も、「隠れた操作がなされている」と話し、モウリーニョの発言を煽りました。そして、問題となる、2月21日土曜日の、インテル対サンプドリア戦を迎えます。
前半戦で、タリアヴェント審判はサミュエルにレッドカードを示しました。それを見たコルドバとモウリーニョが、イタリアではどの監督も見せたことがないような「ショー」を展開します。そのショーは、まるで手錠をかけられたように腕を交差する動作から始まりました。このジェスチャーはテレビカメラの前で何回も行われ、まるで「監獄に行く人間が、ここにいる」と言っているかのようでした』
この名監督、去年新春には、有名な『イタリアのサッカージャーナリストたちは、売春婦である』旨の発言で大物議を醸している。ありそうなことなのである。『テレビ界の帝王ベルルスコーニの取り巻きジャーナリストたちが、ACミランを担ぎ上げ、インテルをこき下ろしてきた』構図。『政治とマスコミを握っている権力者、ベルルスコーニに「持ち上げて欲しい」とすり寄る売文業者や、サッカー審判、関係者たち』の構図。しかも、イタリアでは有名な話なのだが、不良中年で名高いベルルスコーニはACミランの動向を常に自らの選挙にも活用してきた。ところがこの帝王のACミランであるが、名監督モウリーニョがイタリア、インテルに来るちょっと前からずーっと、良い思いが一つもできないと来ている。今年の1月24日、この「ミラノダービー」はこんなに惨めな負け方をしている。その光景描写を、最新号のスポーツグラフィック・ナンバーから抜粋してみよう。
『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』
モウリーニョという人物が良く伝わってくる文章だと思う。このダービーマッチの直後の発言こそ、上でロッシ氏がこう伝えた贈収賄発言の出所。
『対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました』
ジョゼ・モウリーニョ。あの端正な容姿にマッチしたような知性的応対においても、つとに有名な人物だ。そういう人間が「イタリアのサッカー界は嫌いだ」と言いつつ、そこの(闇の)帝王と闘っている構図。しかも上記のような光景は、インテリスタでなくとも惹き付けられるに違いない。
『 イタリア首相でありACミランのオーナーであるシルヴィオ・ベルルスコーニが審判たちに対してカルチョーポリを行なっているのではないか、と、いまイタリアサッカー界で話題になっています。カルチョーポリ、それはサッカーにおける贈収賄疑惑のことです。2006年以来となるこの疑惑をめぐり、ことは、かなり大きくなりつつあります。(中略)
その疑問を最初に呈したのは、インテルのモウリーニョ監督とモラッティ会長でした。対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました。多くの人々がインテルの優勝を予想しているカンピオナート(リーグ戦に意味か・・・文科系)を、やりなおそうとしている審判たちがいる。それも、ACミランへの好意のためにである、と。カンピオナートの順位でも群を抜いて1位のインテルの監督が言うのですから、この発言はたいへん驚きをもって迎えられました。インテルのモラッティ会長も、「隠れた操作がなされている」と話し、モウリーニョの発言を煽りました。そして、問題となる、2月21日土曜日の、インテル対サンプドリア戦を迎えます。
前半戦で、タリアヴェント審判はサミュエルにレッドカードを示しました。それを見たコルドバとモウリーニョが、イタリアではどの監督も見せたことがないような「ショー」を展開します。そのショーは、まるで手錠をかけられたように腕を交差する動作から始まりました。このジェスチャーはテレビカメラの前で何回も行われ、まるで「監獄に行く人間が、ここにいる」と言っているかのようでした』
この名監督、去年新春には、有名な『イタリアのサッカージャーナリストたちは、売春婦である』旨の発言で大物議を醸している。ありそうなことなのである。『テレビ界の帝王ベルルスコーニの取り巻きジャーナリストたちが、ACミランを担ぎ上げ、インテルをこき下ろしてきた』構図。『政治とマスコミを握っている権力者、ベルルスコーニに「持ち上げて欲しい」とすり寄る売文業者や、サッカー審判、関係者たち』の構図。しかも、イタリアでは有名な話なのだが、不良中年で名高いベルルスコーニはACミランの動向を常に自らの選挙にも活用してきた。ところがこの帝王のACミランであるが、名監督モウリーニョがイタリア、インテルに来るちょっと前からずーっと、良い思いが一つもできないと来ている。今年の1月24日、この「ミラノダービー」はこんなに惨めな負け方をしている。その光景描写を、最新号のスポーツグラフィック・ナンバーから抜粋してみよう。
『この試合、前半の26分にしてインテルはスナイデル退場で10人になるも、内容でミランを圧倒。さらに終了間際にルシオをも退場で失いながら、2対0の完勝を収めている。(中略)そのダービーの終了間際、9人のインテルが猛攻を耐え忍ぶという展開の中で、ロスタイムは5分もあった。ミランはさらなる猛攻を仕掛けて来た。その時、モウリーニョはサンシーロ(ミランとインテルの本拠競技場です・・・文科系)を埋めた7万の観衆に向かって拳を突き上げ、物凄い形相で何かを叫んだ。これにインテリスタたちが一斉に呼応。モウリーニョの気迫が一瞬にしてスタジアムを覆い、あの巨大なサンシーロを怒濤のインテルコールで揺らした。当然、その振動はピッチ上の選手たちにも伝わっていた。
主将のサネッティがこう語っている。
「あの檄が、最後まで戦い抜く力をチームに与えてくれた。実に緻密な戦術を用意しながら、こんなにも堂々と、一貫して攻撃的な姿勢で指揮を執る監督は他にいないと思う」』
モウリーニョという人物が良く伝わってくる文章だと思う。このダービーマッチの直後の発言こそ、上でロッシ氏がこう伝えた贈収賄発言の出所。
『対ACミランのミラノ・ダービーの直後、圧倒的勝利を収めた議論好きのモウリーニョ監督は、こんな発言をしました』
ジョゼ・モウリーニョ。あの端正な容姿にマッチしたような知性的応対においても、つとに有名な人物だ。そういう人間が「イタリアのサッカー界は嫌いだ」と言いつつ、そこの(闇の)帝王と闘っている構図。しかも上記のような光景は、インテリスタでなくとも惹き付けられるに違いない。