九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆「新しい友の話」を「ギター遊びの会」の報告に代えて   文科系

2010年05月23日 19時36分53秒 | 文芸作品
 昨日予告した「ギター遊びの会」の報告に代えて、一昨年秋のその「番外編」を再掲します。こういうのは、いくらでも世に広めたいので。ここに掲載した僕の拙稿・随筆と、それへのコメント、参加者の方々の感想メール報告などを、このブログにあったままの姿で載せますね。


随筆 「新しい友の話」   文科系
2008年12月19日 | 小説・随筆・詩歌など  随筆 「新しい友の話」 

 出会って一年弱、できたてほやほやの親友二人とのあるエピソードを話そう。他人は「ただ、マニアック仲間というだけ」と評するかも知れない。が、僕ら三人にとっては、到底そんな話ではないのだと前置きしておいて。

 初冬の飛騨路。あらかたの落葉樹は丸坊主に近く、かろうじて残っている葉もつまんだ端からくしゃっとなりそうな季節。そんな山々をぬって、Nさん提供兼運転の車は、下呂駅に近いリゾートホテルに着いた。まずは温泉。その露天風呂もそこそこに部屋に戻って、Nさんと僕は持参のギターを交互に弾き始める。ギター持参のないAさんは、ほほえみながら二人の音を聴いている。そんな時間がかなり長く続いたあとにふっとAさんがこう申し出た。こんなありふれた言葉なのに、僕は、一瞬で我が身が固くなったのを感じた。
 「Nさん。ギターちょっと貸して。僕も弾いてみるわ」
 弾きだしたのは、何の変哲もないアルペジオ、分散和音である。単純な基礎練習というだけではなく、ことさらなようにゆっくりしたテンポだ。ぎこちない弾き方とさえ言えるが、これはとにかくAさんのような二十年選手が人に聴かせるような曲でも、感じでもない。あとの二人がまた、この単純なアルペジオを神妙に聴いている。時には、二人交互に演奏者の方に身を乗り出すようにまでして。

 この二人、あるギター教室の四捨五入すれば七十歳になる同門生で、Nさんとは同じ歳、Aさんは一つ上。この早春に発表会の打ち上げ会で知り合ってから、お付き合いが続いてきた方々である。そしてその「事件」は、打ち上げ会の十二日あとに我が家に三人が集まった「ギター遊び兼飲み会」以降しばらくして起こった。Aさんが教室を辞めてしまったのである。この事件の微妙さを部外の方々に分かってもらうのはとても難しいのだが、とにかくやってみよう。
 まず、Aさんが教室の先生に不満を持ち、抗議したらしい。「『アルハンブラ宮殿の思い出』で、必要な指摘をしてくれなかった」と。どうも、僕たち二人の批評がうすうす自覚し始めていた欠点と一致して、『先生が、この年寄りとしてはこんなもんだろうとだけ扱ってきた』と思い至ったようなのだ。ぼくらの関係もナーバスなものになってくる。特に、僕の古いアルペジオ楽譜二枚にショックを受けたとしきりに語られる。定年後先生につく以前、一人習いの昔から、ちっとも上手くならないのでいつも基礎に帰って弾き込んできてぼろぼろになった二枚であって、僕の常用練習ファイルの冒頭に張られたものだ。これのことも含めて、おおむねこんな思いを彼は語っていたかと思う。
〈習って二十年。アルハンブラをなんとか完成させようと、これだけでも三年。本当に三年!! ちっとも完成していかなかったのはタッチがいい加減だったからだ。練習時間と熱意とでは誰にも負けぬと自負してきたが、それもどうもあやしい。俺のこのギター、これから一体どうしたら良いのだ!〉
 以降の彼はギターのことを僕とは話したくないようだった。今分かるのだが、僕が何気なく口に出した言葉が、ずいぶん彼を傷つけてもいたようだ。「一人で基礎練習をしているらしい」とは、Nさんから聞いたことである。なおまた、この旅行参加を土壇場近くになってきっぱりと決意したのも、NさんとミセスAとの合作らしい。彼女はこの決意を喜んで二人へのおみやげを用意し、前日にへそくりの一部をさりげなく手渡して、持ち金を増やしてくれたとのことだった。Aさんはそんなことまでを話してくれたのである。

 訥々とはしているが、見違えるようにしっかりとしたタッチと思った。僕はなにか目頭が熱くなった。Nさんが激賞しているのが聞こえる。僕も言葉に注意しつつ何かを言ったと思う。この前後、彼自身の心境はどうだったか。帰宅翌日のメールにこうあった。
 「正直言ってお二人の前でギターを弾いた時は、清水の舞台から・・・の心境。緊張感を凌駕した恐怖感。結果、弾き終わって『汗びっしょり』でした。お二人に対する敬意のつもりで弾きました」
 潔いというかなんというか、竹を割ったように見事な人格にうめいてしまった。そして、ギター生活を育んできたその思いの根深さが、僕をも掻き立てたようだった。

「俺もその思いなら負けんぞ。ぼけても弾き続けてやる」


コメント (5) | トラックバック (0) | | | goo
5 コメント
コメント日が 古い順 | 新しい順

趣味は生き甲斐! (のぶりん)
2008-12-19 03:50:13
文科系さんと初冬飛騨路を旅したNさんは私。一生想い出に残る楽しい有意義な貴重な経験をした、でも初めて読まれる方には分かりにくいかも……。
ギター歴もギターに対する考え方も違う文科系さんとAさん、溢れる情熱は半端じゃない! これが生き甲斐となり、何時までも若々しさを保たれている秘訣だと納得した。
知り合って一年も経たないこの三人、微妙な関係の時もあったがそれを乗り越え今では真の友人になりつつある。
人間の絆って、付き合いの長さには比例しないことを今回は痛感させられた。

柔らかな感性を (まもる)
2008-12-19 09:45:48
文科系さんの随筆と当事者であるNさんの投稿を読み何十年かぶりに「友情」というものを考えさせられました。
 広く取れば友情というよりNさんの言われる「人間の絆」というべきかもしれませんが。
 老人になるにつれて、何かにつけて頑なになりがちで、絆の煩わしさが先にたちやすく、敬意とか真の友などというのには縁遠くなっていたで、羨ましく拝読しました。 
 同好の趣味の中でそこまで深い絆ができるのですね。私も市民運動に参加し嫌でも人間関係の中に置かれているですが、仲間から信頼とか敬意とか向上心とかを受け止める柔らかで素直な感性を失いたくないなあと感じた次第です。
 残り少ない人生ですものね。
 
3人にエールを送ります (ワイス17)
2008-12-19 17:35:59
良い旅のようで良かったですね。3人のおじさんがほろ酔い加減でギターを弾いているなんて想像すると なんかとても微笑ましくなります。
お互いに得ることも多く それぞれが一つ二つ宿題を見つけて 又コツコツと練習を重ね 次に合った時お互いの上達を喜び合える。なんて素晴らしいことでしょう。この会がいつまでも続きますように!

ご応答、ありがとう (文科系)
2008-12-21 01:09:43
短い文、随筆などのできは材料、モチーフしだい。今回は正直言って、材料がよかった。これをうまく書けなければ、もう腕がないということ。この作品は、同人誌例会にも出しますが、良い批評がいただけると確信しています。
さて、初めにのぶりんさん
作品内容の当事者からこのような批評がいただけることは、文章に大きな彩を与えてくださること。嬉しかったです。
なお、「分かりにくい」ということは僭越ながら、心配ご無用。Aさんの真摯さ、心理状態、二人との関係、これだけ伝われば残りはディテールです。

まもるさん
言外にきつい事を僕に言われているような気がしました。気のせいかしら? でも、僕の「そこ」は変わりません。「文化が手段になっているような世界」はノーサンキュウということで。あなたでもそういう「認識」はあるでしょう? 違います?

ワイスさん
この会は、続きます。文化はそれを求めているものにとっては「絶対善」ですから、プラスばかり。つまり「人間の絆になるばかり」。まず誰でも、あなたのように「感じが良い」と評してくれますから。 

これ以降のこと (文科系)
2008-12-24 23:17:00
16日以降、お二人との間に何度メールのやりとりがあったろう。各5往復というくらいじゃ到底済まない。試みに数えてみた。
Aさんと14往復、Nさんと10往復だ。随筆への質疑応答、批評、ギターの質疑応答などである。
驚いた。


 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

市場教室での日本の成績    こぴぺ

2010年05月23日 15時50分54秒 | Weblog
韓国・中央日報の記事です。

スイス国際経営開発院(IMD)の「2010年世界競争力年鑑」を
中央SUNDAYが分析した結果が発表された。

日本は昨年マイナス成長(-5.2%)を記録して国家競争力順位で、
10ランクダウンした27位にとどまった。
それでも製造業輸出競争力などを掲げた日本の底力は強い。

IMDが評価した日本の科学技術インフラは米国に続いて世界2位だ。
日本は輸出(4位)で貯めたお金で研究開発(R&D)に
莫大な投資(2位)を浴びせている。
(これは私が読んだ別の本では、まったく逆の評価でした。)

特許保有件数では世界1位だ。

平均寿命が世界で最も長いこと(83歳)を含め、
保健・環境(11位)の競争力が高い方だ。
企業の環境にやさしい経営(1位)とグリーン技術(2位)でも世界的な優位を占めている。

一方、生活費(56位)が高く、人口高齢化(55位)が深刻なのは
日本の代表的な弱点に挙げられた。
日本の主要都市の生活物価水準は米国で物価が高いことで
有名なニューヨークに比べても30%も高いものと調査された。

最高40%に達する法人税率(58位)は企業活動の意欲をなくし、
外国企業の進出を阻害する要因として指摘された。
外国人観光客誘致(GDP対比観光収入)は調査対象58カ国の中で
最下位(58位)だった。

IMDは日本の国家負債(57位)が多すぎて2084年まで
莫大な借金に喘ぐものと見通した。

  
    
中央日報の見出しは、こうです。

韓国、日本、中国(香港含む)など
東アジア3カ国の実質経済規模が初めて米国を超えた。

こちらのほうが明るいかな?
東アジア諸国が、協力できれば、未来は明るいということでしょうね。

日本のマスコミは、こうした視点で報道していますか?





コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

逆襲が始りました。   只今

2010年05月23日 12時08分43秒 | Weblog
  
 鳩山首相のお詫び会見。見終って感じた、自分も道化役者になったようなこの思いは何なのだろう。そんな思いをもちかねていたら、まだ見ぬ畏友(「ほぼ足り」さん)のこんな呟きに出会い、「それ、それ!」と思わず合点しました。
 
 =どうも鳩山首相のやり方を見ていると中学生時代の自分、若しくは仕事で追いつめられていた頃の現役時代の自分を見ているような気がする。起死回生の逆転満塁ホーマーを打ち込んで、それまでに失ったきた親のあるいは上司の信頼を一気に取り返そうとしていた。
 そんなことは、宝籤が当たってある日突然、超優雅な篤志家になれるんじゃないかと思いこんでいる老人の妄想にしかすぎない、ことになかなか気が付かない。(中略)しかし、こんなことで放り出していいだろうか。=
 
 以上の「ほぼ足り」さんに全面同意する小生は、日曜の報道番組でこのところ息を吹き返したような御用評論家の大言を聞きたくないので、サッカーの本田クンを追ったドキュメントを見ていたのですが、終わってダイアルを回したチャンネルでぶっかったのが、鳩山クンのお詫び会見。
 これに対して岡本行男氏は、「これまでの経験者を外して素人の意見ばかり聞いてきた当然の結果」と言い、森本敏氏は、「負担軽減という言葉はよくない。これからは、沖縄は重要な地域であることをトータルなパッケージの中で考えることがダイジなんです」と言い、いずれも、鳩山内閣の稚拙なやり方につけ込んでの得意満面のコメント。
 彼等の逆襲が始りました。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コピー記事について         管理人

2010年05月23日 10時59分25秒 | Weblog
 投稿者諸氏の間で「コピー記事の是非について」議論されています。

 本来望ましい投稿は投稿者の考えが主体になっている投稿であることは論を待ちません。
 しかし 投稿者すべてがこのような力量が有るとは限りません。
 その場合、プログに参加しようとしたら、共感できる情報をコピーして貼り付けるという方法なと色々な参加の仕方もあり許されることと思います。
 さて、コピー記事もその内容、レベルにちがいがありますね。一番安易なのはただペタペタ貼り付け、ソース元も、投稿者の名前もないものです。相手が空気人間では共感も反論も伝えられないし、期待できないのですから。
 私は、コピー記事が全ていけないとは思いませんし、ネットのやり取りはまさに情報の紹介やぶつけ合いですからやむおえないと思っています。
 ただし 情報源と投稿者の明示は最低してほしいものだと思います。できれば、其の情報をコピー投稿した理由を書いてもらえるとプログも活気づくと思います。

 ただ 非難中傷やプログ炎上を目的とした投稿以外はコピーだけの投稿でも、このプログへの関心の表現と理解して無断消去すべきではないと思います。

 皆さまは如何お考えでしょうか。         
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする