「許すな!憲法改悪・市民連絡会」は政府による改憲手続き法の強行施行に対して以下の抗議文を発表しました。なお、この抗議文は内閣を構成する連立与党の社民、国民新党両党の党首にも届けられました。(まもる)
内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
総務大臣 原口一博様
許すな!憲法改悪・市民連絡会
改憲手続き法の凍結解除に抗議し、ひきつづき憲法審査会の始動に反対する
2010年5月18日、政府は改憲手続き法施行令を強行し、従来実行されてきた同法の凍結を解除した。これによって、今後、法的には国会で改憲原案の議論や改憲案の作成ができることになった。憲法第9条をはじめとする平和憲法など、憲法3原則の擁護と実現のために活動してきた私たちはこれに厳重に抗議する。
3年前に強行採決された改憲手続き法は、安倍内閣が憲法改正を焦って、強行採決を繰り返して成立させたものである。それはいくつもの重要問題を「附則」にし、18項目もの「附帯決議」 を付けた欠陥法だった。この時に憲法改正案の審議や国民投票の実施可能な時期も3年間凍結した。その3年目が本日、5月18日であった。しかし、この間に選挙で与党は大敗し、「政権交代」 が起きた。この3年、憲法審査会は国会に設置されず、附則や附帯決議などの議論も全く進まなかった。当時、附帯決議などで指摘された改憲手続き法の問題点は(1) 投票権者問題(18歳投票権の公職選挙法や民法との整合性)、(2) 国民投票の対象(憲法だけでなく、国政の重要問題についての国民投票の可否)、(3) 広報や広告など、メディアの在り方(議席数で広報の分量を決めてよいか、有料広告を認めると資金能力で宣伝に差ができる)、(4) 国民投票運動の自由に関する問題(公務員や教育関係者の政治活動の制限などによって、自由な活動が制限される)、(5) 投票成立の要件問題(「過半数」の分母問題や成立に必要な最低投票率規定の有無)などなど数多くあった。
また施行のための準備が全くできていないもとで、強行するということは、同法制定当時に憲法調査特別委員会で議論された立法趣旨からしてもあってはならないことである。憲法審査会の設置など、法施行のための条件整備がほとんどされていないのだから、今後、同法を執行することも事実上不可能である。今回、これらの問題を全く無視して政府が施行を強行したことは、従来の民主党など与党各党の見解や立場からも完全に逸脱し、自民党など、明文改憲をめざす勢力を喜ばせ、その策動の場を与えるだけである。
この間、改憲手続き法の条件整備ができなかったことには理由がある。その最大の原因は国民世論がいま改憲を望んでいないからである。今回の施行強行はこの国民の意思に逆行するものであり、悔いを千載に残すものとなる可能性がある。
今回の事態を受けて、私たちはあらためて憲法審査会の始動に反対し、改憲手続き法の廃法を強く要求して闘う決意を新たにするものである。
2010年5月18日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
総務大臣 原口一博様
許すな!憲法改悪・市民連絡会
改憲手続き法の凍結解除に抗議し、ひきつづき憲法審査会の始動に反対する
2010年5月18日、政府は改憲手続き法施行令を強行し、従来実行されてきた同法の凍結を解除した。これによって、今後、法的には国会で改憲原案の議論や改憲案の作成ができることになった。憲法第9条をはじめとする平和憲法など、憲法3原則の擁護と実現のために活動してきた私たちはこれに厳重に抗議する。
3年前に強行採決された改憲手続き法は、安倍内閣が憲法改正を焦って、強行採決を繰り返して成立させたものである。それはいくつもの重要問題を「附則」にし、18項目もの「附帯決議」 を付けた欠陥法だった。この時に憲法改正案の審議や国民投票の実施可能な時期も3年間凍結した。その3年目が本日、5月18日であった。しかし、この間に選挙で与党は大敗し、「政権交代」 が起きた。この3年、憲法審査会は国会に設置されず、附則や附帯決議などの議論も全く進まなかった。当時、附帯決議などで指摘された改憲手続き法の問題点は(1) 投票権者問題(18歳投票権の公職選挙法や民法との整合性)、(2) 国民投票の対象(憲法だけでなく、国政の重要問題についての国民投票の可否)、(3) 広報や広告など、メディアの在り方(議席数で広報の分量を決めてよいか、有料広告を認めると資金能力で宣伝に差ができる)、(4) 国民投票運動の自由に関する問題(公務員や教育関係者の政治活動の制限などによって、自由な活動が制限される)、(5) 投票成立の要件問題(「過半数」の分母問題や成立に必要な最低投票率規定の有無)などなど数多くあった。
また施行のための準備が全くできていないもとで、強行するということは、同法制定当時に憲法調査特別委員会で議論された立法趣旨からしてもあってはならないことである。憲法審査会の設置など、法施行のための条件整備がほとんどされていないのだから、今後、同法を執行することも事実上不可能である。今回、これらの問題を全く無視して政府が施行を強行したことは、従来の民主党など与党各党の見解や立場からも完全に逸脱し、自民党など、明文改憲をめざす勢力を喜ばせ、その策動の場を与えるだけである。
この間、改憲手続き法の条件整備ができなかったことには理由がある。その最大の原因は国民世論がいま改憲を望んでいないからである。今回の施行強行はこの国民の意思に逆行するものであり、悔いを千載に残すものとなる可能性がある。
今回の事態を受けて、私たちはあらためて憲法審査会の始動に反対し、改憲手続き法の廃法を強く要求して闘う決意を新たにするものである。
2010年5月18日