九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

今、「戦争を無くしたい」に関わって   文科系

2017年07月22日 11時22分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
コメントに書いたことを、エントリーに再掲します。「書評 シリア情勢 4」でのSICAさんへのコメントです。地上から戦争を無くしていくことに関して、不可欠の知識と愚考しているからです。

【 sicaさん (文科系)2017-07-21 20:11:12
 精いっぱい20年先ぐらいは見て下さいと僕が語ってきたのは、こういう理由です。
 あなたが、歴史から観れば今のこの瞬間に等しいようなここ5年ほどの具体例をあげて、「戦争が無くならぬことに関わる大きな矛盾の一方の例」のように語ってきたからです。その具体例が20年増え続けて行くというような証明はいつも、どこにもありませんよね。だから僕はこう批判しました。形式論理的矛盾数例をを語っているだけだ、と。人類の未来は、このどっちかが引っ込んで反対側のどっちかを優勢になるよう、人間同士が振る舞いあっていって、「形式論理矛盾」に見えたものもやがて解消していくと、何度も述べてきました。アフガン、イラク戦争のように、僕らの「方向」への反対例へと歴史が進むことも当然あるのですけどね。

 対するに、以下のようなこれは、もっと長いスパンの歴史方向関連です。言葉にしか過ぎませんが、大統領の反省言辞だ。
『関与すべきでない外国政権の打倒に奔走することはやめる』
 これに加えて、本日エントリー。
『米 反アサド派支援中止』

 アメリカがアフガン、イラク、シリアをこう反省したということだから、現在世界の反戦論者にとってはとても大きな未来への政策言葉になります。ただ、言葉ですから、これをまた裏切ることも当然あり得る。でもまた、こういう反省の背後には70兆ドルの米国家累積赤字が、それによる「内向き国家」があることも、何度も指摘してきた重要な事実。つまり、イラク戦争、シリア内戦工作のようなことは当分できなくなった。アメリカでさえこうなら、他の大国はもう、同じようなことはなかなかできませんよ。

 アメリカがこうなったのは、兵器に金がかかるようになった今の歴史で極めて大きいですよ。20世紀前半までの戦争王国は、皆EUの仲間になったしね。
 アメリカがこうなったら、アフリカなど中小国の内戦、紛争にも、国連がもっと厳しく臨むようになるでしょう。
 
 さて、こういうこと一つ一つが重なって、ジグザグはありながら歴史は作られていくのでしょう。
 ただし何度も言いますが、未来は決定している訳ではありません。今と、これからの人間たちが決めていくもの。その点「(戦争はあるという)現実」(だけ)を語る人のほうが、討論としては有利に決まってます。だからこそ僕は貴男にこう要求してきた訳です。

①形式論理的反論のようなことを上げて反論になる訳ではない。その具体例がせめて20年増え続けると証明してみて下さい。対する僕の方は既に、戦争、人殺しは歴史上随分減ってきたと、ここで書評「サピエンス全史」(この5月1,3,7日など)で観てきたとおりです。

②また、「人の命は平等」などの形式民主主義が200年かかって一定世界史に定着したように、そういう人類史方向を語れない論議など、人類史の議論としては、お話にならないでしょう。

③人類実践の歴史論では、こんな法則もあります。
「世界の多くの人々が要望として持ったものは、やがて実現する」
「要望として持つということは、単なる夢ではなくなって、一定実現方向も見えてきたということなのだ」
「無くせるものなら、地球から戦争を無くしたい」というのは、多分人類100%が思っていることになっていると言えます。「サピエンス全史」にあるように、昔のような「戦争は善」などと言える人はもういませんよね。国際連盟と国際連合ができて、違法戦争基準が生まれたというのも、歴史的議論としてはそんな事を語っているわけです。】


【 改めて「戦争なくせる」論 (文科系)2017-07-21 21:41:07
 今後も以下への紆余曲折はあるでしょうが、「戦争なくす」は、人類史ここ150年ほどでここまで来ました。改めて・・・
① 第一次世界大戦後に国際連盟が、第二次大戦で国際連合が出来ました。戦争違法化が、人類史上初めて国際組織化されたわけです。イラク戦争開戦、パリ協定などを観ても分かるように、国連を無視してきたのはアメリカだけです。そんなことができたのも、以下の④に観るように、冷戦が終わって一強になった驕りからで、歴史から見たらほんの一時だと思いますね。

② 機関銃、飛行機、核兵器など兵器の一大発展から、①の二つの戦争は国の総力を挙げた「総力戦」となってしまった。そのことが、①を生み出したと言えます。被害が大きすぎて懲りたということでしょう。

③ 第二次大戦後などには特に、民主主義も人類史に定着してきて、先進国では特に、人の命(の価値)が高くなった。中後進国でも今後次第にそうなっていくでしょう。そういう意味でも、戦争は凄く高く付くように、さらにどんどんなっていくことでしょう。世界大戦も、核兵器使用も以降はなかったですね。

④ アメリカが「反乱軍育成は止める」とか「ある政権打倒に奔走するのは止める」と語ったのが、以上の歴史の現時点なのだと愚考します。米国家累積赤字70兆ドル! 米ネオコンを中心に、冷戦に勝ち残った国のおごりが国をすっかり疲弊させたという反省でもあるのでしょう。イラク戦争の超下手な後始末を見ると、一強超大国としてのアメリカは、それ故に「人類史的視野を持つ」人材も枯渇しているのか、それともヒラメなだけの無能な出世主義者しか登用されないのか、とにかくそんなふうに思われます。この反省が長く続く事を望みたいものです。】
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シリア情勢 アメリカ ロシア トルコ 1970

2017年07月21日 21時06分14秒 | Weblog
シリアはそもそもロシアとの関係が深い。40年来に渡る。
アメリカは全然シリアには関心無かったが、アサドの暴走と対ISで活躍するクルド族の支援の為シリアに介入した。
今回の反政府組織への支援撤退はまだ不透明な部分が多く先行きは不明だが、トランププーチン対談の前に決定が為されたとCNNが報じてるので、ロシアと停戦合意地域を決めた時からこのシナリオで進んでいたのだろう。
因みにロシアは既にアサド排除を念頭に動いてるので(停戦合意地域決定の条件のひとつだから当然だが)、今後もシリアに関してはロシア主導で日程が進んでいく。

さてそこで問題なのが、アメリカのクルド族への支援がどうなるかなんだよな。対ISの戦いはまだ終わらない。ラッカがあるので。当然クルド族が主力になる。
しかし、これに関してはトルコの反発は強硬。とうとうトルコは昨日、シリア国内にあるアメリカ軍の拠点をマスコミに公開した。
これには軍の安全を脅かすとアメリカが反発。トルコ、アメリカの溝は更に深まった。
但し、トルコ軍はNATO軍の主力。中々微妙な所。

サウジ始め湾岸6ヵ国とカタールの対立は予定通りサウジの腰砕けで終息しそうな流れなのでw、エルドアンとトランプの動向は注目される。
今の時点でどの方向に行くかはさっぱり分からない。
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シリア・イラクから、米が学んだこと  文科系

2017年07月21日 09時22分09秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 この間のここ「9条バトル」で、僕はシリア問題を最も多く取り上げてきた。日本も参戦したイラク戦争によって起こされたとも言えるシリア「内戦」。このシリア「内戦」にも、ホワイトヘルメットに資金を出すという形で、日本がやはり関わっている。そのシリア「内戦」が、とうとう終わる! これをここまで扇動してきたとも言えるアメリカが刀折れ、矢尽きて、とうとうギブアップ、諸手を上げた!

 このシリア内戦をアメリカが放棄したことによって、アメリカはもう戦争を、それなりの規模ではできなくなったと思う。9・11理由のアフガン戦争と、「大量破壊兵器がある」との嘘の理由で開戦したイラク戦争によって、アメリカがすっかり疲弊してしまったからだ。国家財政に70兆ドルの累積赤字!

 7月20日、中日新聞夕刊3面最下段の小さな記事だが、この記事が今後の世界史に向けて持つ意味は、もの凄く大きいと愚考する。
「米 反アサド派支援中止」

 アメリカが入れ込んできた、シリア反政府派支援。これがとうとう効果なし、取りやめと報道しているのである。
「天網恢々、粗にして漏らさず」
「正義は勝ち、悪は滅びる」
(この場合の「悪」とは、国連が認めたある独立国家に戦争をしかけるというのは、どういう理由でも悪であるということだ)

 シリア「内戦」。死者47万人、難民311万人、負傷者190万人。この犠牲が、以上のことをそれなりの国に教えたということになって欲しいものだ。
 ちなみにシリア内戦に関わって、アメリカ新大統領トランプはこう述べたと報道されている。
『「関与すべきでない外国政権の打倒に奔走することはやめる」』

 これで戦争勢力は、世界史的に、少少後景に退いていくだろう。アメリカが、世界史上70年続いた冷戦に勝ったということで、少少のぼせ上がった時代が終わったのだと思う。今や、中進国でも相当の兵器を持つことができるようになって、核兵器以外ではなかなか手に負えなくなってきたが、その核兵器は世界が使わせなくなったということなのだろうか。

 世界にかなり大きく平和が到来したということなのかな。だとしたら、9条にとってこんな嬉しいことはない。
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「よたよたランナーの手記」(199) 90分で13キロ   文科系

2017年07月20日 19時36分58秒 | スポーツ
 前回書いたのは7月2日で、30分2回を8・9キロまで行った。以降こう走った。以下、断りがない場合は全て、マシン30分2回の走行距離である。

 5日9キロ、8日には30分3回で12・5キロ、11日と15日が各8・2キロと8・6キロのLSDをやって、本日20日は30分3回、13キロジャスト。絶好調が続いている。今日などは、腰の違和感のせいで中4日置きと自重した後だから不安だったのだが、13キロ走って後の方1時間が8・8キロとあって、喜んで帰って来た。ちなみに僕は29歳の時、椎間板ヘルニアの手術をしていて、その後度々腰痛再発に悩んできた身。逆を言えば、こういう弱点があったから、腹筋背筋を鍛えねばならず、今なお走れる身体が出来たと言えるのである。つまり、76歳の僕が走れるのも、ほとんど偶然の賜物ということである。

 前立腺癌治療の女性ホルモン長期注入などで60キロ超まで増えた体重が、57キロほどに戻り、15%を越えた体脂肪率も、本日12・2%になった。なんせ今日13キロ走った事前事後で体重を1・5キロ減らせたのだから、何度も言うようにランナーは身体脂肪を御しやすいということである。これだけ体脂肪を減らせる手段は、他にはサイクリングぐらいだろう。サイクリングは疲れが少なく、ランニングよりも長くできるので脂肪を減らすのに最高のスポーツと言えるのだ。

 さて、これから徐々にスピードを上げてみよう。僕の持続出来る最高心拍数は160で、今日辺り時速10キロでもこの範囲に納まるようになったから、スピードアップが望めるのである。
ラン再開後の最好調、15年春の1時間10・3キロはもう無理だと思うが、どこまで回復できるか。こんな希望を持てるから、76歳でもランナーは幸せなのである。

 身体の若さを保つって、一般に考えられているよりは遙かに、可能性の大きいことなのである。先日の中日新聞に85歳でオーストラリア鉄人レースに出ている人のことが載っていたが、これからの時代にはレアなケースというわけでもないと思う。それにしても、自転車180キロ、プラス、フルマラソンに、水泳って、そんな85歳は確かに凄い。
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書評「シリア情勢」(4)  文科系

2017年07月19日 15時09分22秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本は、2016年12月末に国連がイニシアを取ったシリア全土停戦にも言及して、この3月22日に第一刷発刊となったもの。イスラム国などの敗勢から、「シリア内戦の『終わりの始まり』」に触れている。この部分が今回紹介する「第6章 真の『ゲームチェンジャー』」と「おわりに」である。ついては、政権復活の下で、部外者らの誰が事態を複雑にし、どういう思惑でこの国の平和に抗ってきたのかが、鮮やかに示された箇所とも言えるのではないか。この本の結論を言えば以下のようになるだろう。

 15年9月末に始まったロシアの大々的爆撃が長年の戦乱を鎮めたのである。ロシアは、トルコがギュレン・クーデターの背後にアメリカを疑っている状況を生かしてトルコを懐柔し、合わせて欧米をも説得して、対アサド最強硬派とも言えたサウジ・カタールを疎外しつつ、その支援を受けた過激派反政府勢力にも「穏健派反政府勢力」にも、無差別に爆撃を加えて、鎮圧していった。ただし、この両派は戦闘員の流出入が激しく、団体同士も合従連衡を繰り返すなどと入り乱れて変化していて、どれがどういう性格なのかさえ、分からなくなっている。
 ロシアは、長距離大型爆撃機を派遣したし、カスピ海の潜水艦から巡航ミサイルを打ち出した。巡航ミサイル発射は、ロシアにとって史上初という出来事である。また、イランは、西部航空基地をロシアに提供し、16年4月、ファトフ軍に対して正規軍を派遣している。正規軍派遣も、共和制イラン国初の出来事だ。
 欧米諸国がこれらの攻撃に対してフリーハンドを認めたのは、「テロとの戦い」「難民問題」で、悩み抜いてきたからであると述べられている

 ロシア空爆開始の直後15年10月に、ジュネーブ三平和協議がウィーンに17か国が集まって開かれた。ここでは、イスラム国以外のアルカイダ勢力をどう処遇するかで最後まで紛糾した。結局、サウジが、支援してきたシャーム自由人イスラム運動、イスラーム軍(イスラム国ではない)等とともに、この協議内容に反対して協議そのものから脱退していく。なお、このシャーム自由人イスラム運動には、人道的救命救急団体と称してきたホワイト・ヘルメット(この団体には日本の資金も出ているとは、前々回に述べた)が行動を共にしている。
 また、これらの「解決」方向に関わっては、国連シリア問題担当特別代表デミストラの仲介も大きかった述べられてあった。

 なお、米国が支援し、トルコが長年の敵としてきたシリア内クルド人勢力は、極めて複雑な立場に置かれることになった。例えば、こんな混乱した諸状況も起こったのである。イスラム国の拠点・ラッカ陥落を目指したクルドには米国は支援し、バーブ市におけるクルドはトルコばかりではなくアメリカからも攻められたのだった。
 かくて就任直前の米大統領トランプはシリアについてこんなことを語ることになる。
「関与すべきでない外国政権の打倒に奔走することはやめる」

 今回のまとめの最後を、この本の帯にも付けられた「おわりに」の中の言葉で締めくくりたい。この言葉は、この本全体のまとめでもあり、世界の今後への教訓ともなるものだろう。
「シリア内戦における混乱を再生産しているのは、シリアにとって異質な部外者であり、シリアの人々は彼らが繰り広げるゲームの駒になりさがってしまった」


 今回でもってこの書評、要約を終わります。ここまでお読み下さった方々、有り難うございました。
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ハリルジャパン(102) 柴崎岳、ヘタフェと4年契約!  文科系

2017年07月18日 21時04分50秒 | Weblog
 柴﨑岳の1部チーム行く先が、ついに決まった。前所属テネリフェが1部昇格プレーオフ決勝を戦って敗れた相手、ヘタフェに行くことになった。3対2で生死をかけた激闘に生き残ったばかりのチームだからこそ、相手チームのエース柴﨑の実力が分かり、良い条件を出したということだろう。その契約年数も4年とあって、期待の大きさが分かる。

 柴﨑の青森山田高校時代の名監督は、この移籍の感想をこう語っていた。
「あれだけの天才肌選手はなかなかいない。出来るだけ早く世界最高レベルで戦って欲しかったし、そこからすぐに日本代表に戻って欲しい。あーいう天才肌こそ、今の代表に必要と思う」

 日本スポーツマスコミが、プレーするチームも決まっていないような若手ばかりをもてはやしてきたのはなぜなのか。何か作為的意図があってのこととさえ、僕は推察してきた。森本、宮市そして久保建英。逆に、若い頃はダメだった選手の方がサッカーでは大成すると言えるほどなのである。中村俊輔、中村憲剛、本田圭佑、長友佑都、そして僕が大贔屓の岡崎慎司とライオネル・メッシ。高校高学年代になるまでは年代代表の身体がないと言われた選手たちばかりである。大人の身体になるのが遅ければ遅いほど技術を高く延ばせる期間が長くなって、筋力などは高校時代以降でもいくらでも付いてくるものだという、そんな身体発達生理学原理を踏まえていると言って良い選手たちである。
 この柴﨑は今評判の大迫と同様に、高校時代に名が轟いて、鹿島に入って1年目にレギュラーになったというコースも同じ。

 柴﨑岳。代表に定着させれば、日本をしょって立つ選手になるだろう。とにかく視野が広いから、プレーに幅が生まれる選手なのだ。自ボールにアタックしてくる選手をいち早く全て見えているような、のらりくらりのボールキープ。危険を察知した走りや、遠くからでも相手の穴が見えて、それを踏まえた凄まじいパス力。テネリフェの監督はこれが全て見えていて、柴﨑をこう評したのである。
「攻撃の最後に力を発揮する、ラストパスをこそ期待できる名手である」
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書評「シリア情勢」(3)   文科系

2017年07月18日 16時13分43秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今回は「第5章シリアの友グループの多重基準」を要約する。2011年3月にシリアにも波及した「アラブの春」が、「軍事化」、「国際問題化」を経て、「アル=カーイダ化」からさらには「テロとの戦い」へと進展していく様が描かれる。この展開は、シリア内の反政府軍勢力と、このそれぞれを支えてきた「シリアの友」諸国の離合集散、合従連衡の過程と言って良い。

 化学兵器問題によってアメリカ開戦寸前まで行った動向が英仏の消極姿勢によって回避されたのが、2013年夏。2014年6月までには、国連の努力でシリアの化学兵器も国外に撤去された。これはシリア政権の後ろに付いていたロシアがアメリカに持ちかけて実現したものであった。
 これらの動きから、シリア政権は言わば、国連、その他関係諸国によって国の代表と認められたに等しくなっていった。この時点から、米国の戦争介入を期待しつつアサド政権を認めないと言い続けたシリア国民連合は、急速に力を無くしていく。2014年1月に国連主催の下にジュネーブに40か国が参加した第2回シリア和平会議では、こんなことも起こっている。アメリカに支えられたシリア国民連合は反政府側の唯一の代表と認めさせることには成功したが、シリア政権の出席を認めないとあくまでも言い張って破れたのである。このことによってシリア国民連合の幹部半分が一時脱会するという大事件にまで発展している。

 さてこれ以降は言わば三つ巴の戦争となる。政権軍、イスラム国、後にファトフ軍となるその他無数の勢力と。ただし、イスラム国とその他勢力との間にさえいつも流出入があるし、その他勢力にもヌスラ戦線などアルカーイダ系過激派が大勢力であったから、反政府軍と言ってもいわゆる「穏健派」などとは言えない。アメリカなどが訓練までして何度も育成を繰り返した、シリア国民連合と関わりが深い自由シリア軍などはむしろ弱小勢力と言って良かった。百戦錬磨のイスラム国、アル=カーイダ系列軍に比べれば現に弱かったし、他軍への集団逃亡も絶えなかったからである。

 さて、2012年夏頃から激しくなっ戦いには、サウジ、トルコ、カタールが金も人も武器も出してきた。ただ、彼等が頑張るほどに、ロシア、イラン、レバノンのヒズブッラーの政権側支援も膨らんでいった。諸外国の経済制裁によって政権支配地域を縮小せざるを得なくなっていたから、余計にそうなって行った。が、イスラム国の台頭により、事態はさらに変化していく。

 シリアのイスラム国が他との違いをはっきりさせ始めたのは、シリア最大のアル=カーイダ・ヌスラ戦線と決裂した2013年ごろからで、アメリカはこのイラク・シャーム・イスラム国をイラク・アルカーイダの別名と見ていた。特にイラク・モスルでバクダーティーが、2014年6月にカリフ制イスラム国を建国宣言した後にはアメリカは、これを「
最大の脅威」と観て「テロとの戦い」の真っ正面に据えることになった。この8月にはイラクで、9月にはシリアで、イスラム国への米軍による爆撃が始っている。
 なお米軍によるシリア人軍事訓練キャンプは、以下のものが有名である。一つは、2013年3月の英米仏によるヨルダンキャンプ。2015年1月にはトルコで15000人の長期訓練を行っている。同じ年11月には、またヨルダンにおいて「新シリア軍」なるものの育成、編成に務めた。このようにして訓練した兵士が過激派部隊へ武器諸共に逃亡していくことが多かったとは、前にも述べたとおりである。なお、CIAが独自に行う反政府軍兵士育成キャンプも存在した。

 イスラム国の台頭の結果、サウジとトルコが手を結ぶようになる。2015年1月にサウジに新国王が生まれると、その3月には両国支援のシリア反政府軍の統一が行われて、これがファトフ軍と名付けられた。対シリアで最も強硬姿勢を取っていたカタールもこのファトフ軍を支え始めて、以降しばらくファトフ軍とイスラム国との相互支援的挟撃によって、政権軍はまたまた後退を続けて行くことになった。

(続く)
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イスラム革命総本家   文科系

2017年07月17日 16時31分36秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 シリア情勢を学んでいて、サウジアラビアのことで驚いている。別エントリーで書いて、名著『「対テロ戦争」とイスラム世界』からの抜粋を冒頭に掲げたコメントをここに再掲して、若干の言葉を付け加えたい。

【 こんな国でも・・・ (文科系)2017-07-16 16:52:32
『そもそも犯罪者の公開処刑、女性の外出禁止、女性教育の制限、異教徒の宗教活動の禁止など、・・・・・・サウジアラビアの首都リアドでは、中央モスクの前の広場で金曜集合礼拝の後に公開処刑が実行されており、女性には運転免許証は発行されず、親族の同行なしには旅行も許されず、男女共学の中等・高等教育機関は存在せず、国内には一軒の教会、シナゴーグ、仏教・ヒンドゥー教寺院の存在も認められず、聖書や十字架を持ち込んだだけでも国外退去処分になる』

 知ってはいたが、こういうサウジアラビアは、現代世界の化石国に見える。アメリカが唱える「自由と民主主義の抑圧」の典型国もかくやと、こんな国でもと言ってはなんだが、国家主権は保証されているのである。国家主権は侵害されてはならないのだ。例え北でも、これを侵害したら国民が塗炭の苦しみを舐めるのである。イラクを見よ、シリアを見よ! 
 ただし、こういう国が大金持ちとして存在し、その金とアメリカの支援とを受けて有形無形周囲各国に干渉するのでは、まるで「憎まれっ子、世にはばかる」ではないか。イスラム原理主義騒動が止まないわけである。アルカイーダの創始者ビンラディン自身がサウジの王族で、彼には多大なサウジ資金も流れていたらしいのだが。

 とこう考えてさえ、こんな国の主権も守られねばならないのである。ただし、ある国の防衛問題にサウジが公然と触れた時には、集団安保体制ということで、国連公認の対サウジ自衛権発動はありうるのだろうか。】


 サウジ王族出身のビン・ラディンを匿ったとしてもたらされたアフガニスタン現在の惨状も、連載中のシリアの人道危機も、上記のような今のサウジが無かったら起こらなかったと思う。それほどに、この国の原理主義は強烈である。それでもって、有形無形の革命の輸出にも励んでいるんじゃないかと思われるほどに。この国が王制であって、世界第2位の原油埋蔵量を誇って英米資本と結びついているのだから、シリアやイラン、過去のエジプトなど周辺共和制国などは目の敵にされるはずなのだ。「自由と民主主義の輸出」に励んでいるはずのアメリカは、この国をこそ開放しなければならないのではないか。こんなことは僕は反対だが、アメリカの日頃の主張からすればということである。
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書評 「シリア情勢」(2)  文科系   

2017年07月17日 14時39分47秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今回は「第2章『独裁政権』の素顔」、「第3章『人権』からの逸脱」、「第4章『反体制派』のスペクトラ」の要約をする。

 アサドの父ハーフィズはバース党の若手士官として政権を掌握し、長く共和制首長として君臨してきた。その次男がこれを世襲したから、シリア政体は世襲共和制と呼ばれる。アサドはイギリスで学んだ眼科医で、その妻も英国生まれの元JPモルガン銀行幹部行員である。父の時代のいわば強権安定政権に対して、37歳で世襲後は一定の政治自由化に努めた。政治犯を認めて恩赦をなし、メディア規制を緩和したなどである。
 政体を支える組織は強力で、このようなものがある。政権の蔭の金庫役「ビジネスマン」。数万人の武装部隊にも成り代わることが出来る「シャッビーア」と呼ばれる裏組織。及び、国防隊などの予備軍事組織である。つまり、血族を中心に大きな参加型独裁ともいうべき政体ということだ。

 これに対する「人権派」諸組織はシリアの友グループと呼ばれる外国勢力によって支えられていた。米英、サウジ、カタール、トルコである。彼らは、アサド政権の背後にいたイラン、ロシア、レバノン・ヒズブッラーをも、人権抑圧派として当然批判した。

 シリアの友グループのデモなどが過剰弾圧されたというのは事実である。樽爆弾やクラスター爆弾などが、解放区などにも使用されているからだ。ただし、両勢力のどちらがこれを使ったかは、判明していないものが多い。シリア人権ネットワークの発表は解放区のみの映像などであって明らかに偏向があるし、シリア人権監視団も「民間人」というのはまやかしの側面がある。
 また、アサド政権が難民を作ったというのも、おかしい。難民が急増した時期がイスラム国やヌスラ戦線などの台頭によってアルカーイダ化が進み、国民の命が脅かされる事態が進んだ時期と重なるからである。

 初め、英米はシリアに経済制裁をしようとしたが、国連ではすべてロ中の拒否権にあって有志国としてやっている。ただし、欧米は初め「政権崩壊」を楽観視していて、アルカーイダ化が進み、テロが激化して国際問題になるにつれて、アサド政権の「化学兵器使用」を強調し始め、オバマによる制裁戦争寸前の地点まで行った。が、政権側の化学兵器全廃、引き渡しがロシア・国連の努力で成功すると、戦争は遠のいた。シリア国民連合はこれに反対したが、他二つの反体制派政治団体はこれを歓迎した。
 なお、2014年のマスタードガス使用がイスラム国によってなされたことは、はっきりと分かっている。

 いわゆる「反体制派」「自由・民主派」がいかにも強大なように語るのは、実力で政権を挫いたイスラム国やヌスラ戦線の拡大、残酷な仕業を隠すやり方でもある。それこそ無数の「穏健派」武装勢力が、イスラム国やアルカーイダと、外国人も含めた戦闘員の相互流出入を絶えず繰り返していたことでもあるし。欧米などシリアの友グループは、シリアのアルカーイダなら、政権抵抗勢力として支持していたと言って良い。現に、イラクで14年6月にカリフを名乗ったバグダーティーと、シリア・イスラーム国のジャウラーニーとは、仲違いをしている。イラクとシリアのイスラム国は別組織になったとも言えるのである。米英サウジなどシリアの友グループは当初、シリアのイスラム国を「民主化闘争勢力」と扱っていたことさえとも言える。

 ホワイト・ヘルメットとよばれ、ノーベル賞候補にも上がった「中立、不偏、人道」の救助・救命・治療団体が存在した。2016年には8県にまたがる114のセンターを有し、2850人を擁する大きな組織だ。が、これが不偏というのは偽りであろう。「解放区」でしか活動していないから、イスラム国、アルカーイダ、その他諸団体のいずれからも認められてきた一方で、政府軍地区ではなにもやっていないのだから。この組織を作ったのは、英国人ジェームズ・ルムジュリアー、元NATOの諜報員であり、国連英国代表部にも在籍し、2000年代半ばからはUAEの危機管理会社に移っている。このルムジュリアーが、2013年にトルコのイスタンブールでシリア人の教練を始めたのがホワイト・ヘルメットの発足であった。この組織には、米英独日の資金が流れ込んでいる。アメリカは13年に2300万ドル、イギリスも12~15年で1500万ポンドをここに支出している。


(もう一回は、続きます)

 
 
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ハリルジャパン(101) 祝! 本田、パチューカ行!  文科系

2017年07月16日 17時49分25秒 | スポーツ
 本田がメキシコのクラブ・パチューカに行く。意外な選択をしたが、熱烈祝意を呈したい。

 ミランの時は「全く馬鹿な選択だ。高く売りたいだけの契約金無し詐欺戦略にひっかかって、あたら残り選手生命を犠牲にするのか?!」とさんざんな批判をここでしたが、今回は心から祝福したい。このチームだと、クラブワールドカップに出られる可能性が高いし、北中米代表で最強クラブの一つ、過去にも何度も出ているチームだからである。

 メキシコ出身の名監督アギーレの仲介もあって生まれた契約のようだが、どこに行っても希望してきたトップ下が今回は叶うようだし、つくづく良かったと思う。メキシコはチーム戦術もしっかりしているけど先ずブラジルのような個人技の国。オランダ、イタリアで西欧流を仕入れた本田にチームを引き締めるフィールド上の監督のような役割も求めているのだろう。つまり、打って付けなのである。

 今までの苦労、苦しみを解放するように、最後の励みで光って欲しいものである。
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書評 「シリア情勢」(1)  文科系

2017年07月16日 13時44分13秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 青山弘之著「シリア情勢  終わらない人道危機」の要約第一回目である。東京外大アラビア語科と一橋大学院社会学研究科を出て、日本貿易振興会付属アジア経済研究所などを経られた、シリア研究30年という研究者である。
 この本全6章と「はじめに」「おわりに」の8つのうち、今日は「はじめに」と1章を要約する。ここはこの本の概要が最もよく分かる箇所だ。世界を騒がせているが日本政府は冷淡な難民問題の最大震源地。かつ、イラクと並ぶ21世紀の悲惨極まりない世界史的大事件。こういう地点には、現代世界史が集約されていると言うことも可能と愚考した。


 はじめに

 ダマスカスという世界最古都市の一つを有し、かつては中東随一の安定、強国を誇ったシリア。その面影は、2011年3月「アラブの春」(この作者が括弧付きで使う言葉は全て、「そう呼んでよいのか?」という疑問符付きと、ご理解頂きたい)の失敗以来すっかり消えてしまった。47万人が亡くなり、190万人が傷を負った。636万人の国内難民と、311万人の国外難民とを合わせると、全国民の46%が家を追われたことになる。
 この悲劇の根本的な原因の一つは確かに、このこと。シリア・アサド政権の初動の誤りである。過剰防衛弾圧と述べても良い。ただし、通常言われる所の「内戦」とか「自由と人権を求めた反政府派」などという通常解釈も頂けない。内乱の最大主役、イスラーム国とかヌスラ戦線とかはシリア内部の反乱などとは言えないからである。シリアへの米軍空爆は、2014年8月にイラクで起こった翌9月にシリアでも始まったものであるし、2015年9月にロシアが大々的に始めた空爆が、結局この「内乱」を終わらせる雲行きになっている。2015年はまた、シリア内乱がイスラム国による世界的テロ事件として広がった年でもある。

 シリア研究30年の筆者として、この「内戦」をば、可能な限り「冷静」、「冷淡」に記述してみたいと、述べていた。


 第1章 シリアをめぐる地政学

 シリアの「内戦」は、以下のような5段階を辿った。「民主化」「政治化」「軍事化」「国際問題化」「アル=カイーダ化」である。そのそれぞれを記述していこう。

 まず当初の「民主化」は、以下のようにハイジャックされた。
 シリアの「民主化」勢力は強い政権に対して小さかったが、2011年8月の「血のラマダーン」で1000人ほどの国民が虐殺されると、一挙に急進化した。「アラブの春」のどこでも軍の離反が起こり、シリアも例外ではなかったが、2~6万とも推計される「自由シリア軍」では、すぐに海外亡命が始まっている。以降、反政権政治勢力3派による「政治闘争化」していくのだが、これらのうちクルド民族関連を除いては通常の社会生活とはほとんど接点を持たず、海外在住でお金持ちの「ホテル革命家」など夢想家たちの団体ともいえる。
 シリア国民連合は、カタールはドーハでアメリカの金と支援により結成されたものだし、国民調整委員会はダマスカスで結成されたが、古くからのアラブ主義者、マルクス主義者などから成っていた。民主統一党だけが、5万人の人民防衛隊や女性防衛隊を持つなど社会との接点を持っているが、これはクルド民族主義政党なのである

 この政治化混乱は2011年後半から内乱に発展していき、政府支配地がどんどん縮小されていく。諸外国の猛烈な「援助」があったからだ。①欧米とサウジ、カタール、トルコなど「シリアの友グループ」は、政権を一方的に否定し、「国民を保護する」と介入したし、②ロシア、イラン、中国は、「国家主権は尊重されねばならぬ」という立場だった。③インド、ブラジル、南アフリカ(今で言うBRICS諸国の一角である)は、アサドの過剰防衛を批判はしたが、国家主権尊重という立場であった。
 世界史的に見てシリアの地政学的位置が極めて大きいから、こういう事態になったという側面がある。まず、東アラブ地区というのは、反米・反イスラエルのアラブ最前線基地であった。冷戦終結後に米の強大化から、親イラン・ロシアの性格を強めた。レバノンのヒズボラ、パレスティナ諸派とも結びついていく。ロシアは、地中海唯一の海軍基地をシリア内に有しているし、2015年以降にはラタキア県フマイミール航空基地に空軍部隊を常駐させている。イランとは、1979年王制打倒革命以降フセイン・イラクを共通の敵とした味方同士である。
 つまり、各国がせめぎ合う地点における前線基地として、「それぞれの正義」が飛び交って来た国なのである。「自由と人権」「国家主権」そうして残ったのが「テロとの戦い」。

 この混乱の中でそもそも一体、誰が「悪」なのだろう。
 アル=カーイダとは総司令部という意味だが、イスラム原理主義に基づくこの組織はアフガンにおいてビンラディンが創始し、ザワーヒリーを現指導者としている。この性格は以下の通りである。
 ① 既存社会を全否定し、イスラム化を図る。
 ② ①の前衛部隊として武装化を進め、ジハードを行う。
 ③ 目標はイスラム法に基づくカリフ制度の復興である。
 なお、著者はこの勢力は他の反政府派とは全く違うとして、こう断定している。この点は極めて興味深い。
『懐古趣味や「神意」を引き合いに出して展開される利己主義がそれを下支えしている点で異彩を放っていた』

 シリアのアル=カイダはヌスラ戦線とイスラーム国が主だが、これ以外にもいわゆる過激派は多く、また、無数の反政権派軍事勢力からこの二つへの流入流出も多いのである。なお、「自由」「人権」よりも、「イスラーム」を提唱した方が義援金や武器取得で有利という特徴が存在し続けてきたのも大きな特徴だ。
 外国人戦闘員の数は、2015年末の推計で約100カ国から3万人。多い国はこんな所である。チュニジア6000人、サウジ2500人、ロシア2400人、トルコ2100人、ヨルダン2000人などだ。なお、これらの外国人戦闘員はサウジ、カタール、トルコなどに潜入支援をされて、トルコ、ヨルダン経由などでやってくる。


(あと数回続きます。途切れ途切れになるとは思いますが、頑張ります。なんせ21世紀世界史の最大悲劇の一つですから)
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さて、安倍政権の終わりも見えてきたので 1970

2017年07月15日 11時51分54秒 | Weblog
時事通信の最新調査で支持率が30%を切り、ここから先は内閣改造をやろうが何をしようが坂を転がり落ちるだけでしょう。
秋には解散かね?
で、問題は次が誰になるか。
今春までの安倍政権は極めて高い支持率を基盤に安定した政権運営を行っていた。逆に言うと安定してると思われてたからこそ支持率は高かったわけだ。
パーフェクトな政権なんて無いのは大多数は分かってるからね。多少の失敗は目を瞑っていたが、あまりにもそれに胡座をかいた 笑
弛みが強引に繋がり傲慢に見えるようになった処での学園ドラマスキャンダル。
実際中身はそこまで大々的に責任を問われるような話ではないが、政権の対応全てが反感を買った。
そしてトドメは都議選。
保守系新党都民ファーストが絶妙なタイミングで誕生し、自民党都議連の息の根を止めた。

ということで、次なんだよな。
一応、石破、麻生、岸田と候補は居るが。あまりパッとしないんだよね。
継続で考えると麻生、岸田。石破は致命的に人望無いから難しいだろうな。
とりあえず遅くても年末までには交代だろうね。

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中東学んで、最も驚いたこと   文科系

2017年07月15日 09時27分32秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 かなり前から中東情勢を学んできて、最も驚いてきたことを改めて書いてみる。こういう国が存在して、しかもここがイスラム過激派支援を含めてイスラム原理主義運動に最も大きい影響力を行使してきたとすれば、イスラムテロは無くならぬわけだと、改めて考え込んできた次第だ。世界第2位の原油埋蔵量を誇る王制国家サウジアラビアのことである。以下の抜粋は、『「対テロ戦争」とイスラム世界』(板垣雄三編 岩波新書)から。この抜粋をみただけでも、現在の対テロ戦争に至るまでの重要な歴史的背景の一つが理解できると感じた所である。

『  閉鎖空間サウジアラビア
 サウジアラビアは総人口約二〇〇〇万人の約三分の一は、外国人である。・・・・
 サウジ人は世界でも最も閉鎖的な「国民」であり、サウジアラビアは現代の「秘境」のひとつでさえある。サウジ国内に住む外国人は、サウジ人の家に住み込む外国人の召使たちでさえ、必要最小限の仕事上のコミュニケーションを除いて、サウジ人とのプライベートな交流はほとんど無い。サウジ政府が用意したお仕着せのプログラムに従う場合を除けば、テレビは言うに及ばず、新聞ですら、外国人記者に報道ビザがおりることはなく、民間人向けの観光ビザも存在しない。サウジ社会、サウジ人の実態は、闇の中である』(156ページ)

『  イスラム原理主義運動のスポンサー
 一九八〇年代以降、イスラム主義運動の最大のスポンサーは、サウジアラビアをはじめとする、クウェート、カタル、アラブ首長国連邦などの湾岸産油国であった。非王制アラブ諸国および欧米の治安関係者、イスラム運動家の間では周知の事実であり、公然の秘密であった。中でもサウジアラビアの役割は質量ともに他を圧していた。
 しかし冷戦構造下では、西欧諸国において、こうした湾岸産油諸国のイスラム主義武装闘争派支援は黙認された。というのは保守的な王制の湾岸産油国は、西側世界への石油の供給源であり、ソ連の影響を強く受けたエジプト、シリア、イラク、リビアなどのアラブ社会主義諸国に対抗して同地域におけるアメリカとイスラエルの利権を護るための「敵の敵」、すなわち「友好国」だったからである。また非王制アラブ諸国にとっても、湾岸産油国は総計一〇〇〇万人近くの大量の出稼ぎ労働者の受け入れ先であり、経済支援国でもあるので、公然たる名指しの非難は避けねばならなかった。結果として湾岸諸国のイスラム主義支援を口にすることはタブーとなった。
 こうして八〇年代を通じて、「イスラム原理主義テロ支援国家」の悪名は、おりしも現れた共通の敵、「反米、反王制、反アラブ国家」であるイラン・イスラム共和国に全て押し付けることが、湾岸諸国ー西欧ーその他アラブ諸国の共謀によるイメージ/情報操作戦略となったのである。』(同書156~157ページ)

『  同時多発テロ事件の余波
 アメリカはこれまでも再三、「テロリスト」の支援の中止を求めてきたが、サウジアラビアは言を左右して、アメリカの要求を拒否してきた。その対応にかねてより苛立っていたアメリカは、事件直後に、これまでのタブーを破り、実行犯たちの大半の国籍がサウジアラビアであるとの情報をリークし、あまつさえサウジ王族がビン・ラーディンを支援しているとまで明言した。・・・「親米国・サウジアラビア」という幻想は雲散霧消した。』(159ページ)

『  サウジアラビアと人権
 そもそも犯罪者の公開処刑、女性の外出禁止、女性教育の制限、異教徒の宗教活動の禁止など、アメリカがタリバーン政権打倒のための武力行使の口実としてあげた「人権侵害」はそのまま文字通り、サウジアラビアにも当てはまる。サウジアラビアの首都リアドでは、中央モスクの前の広場で金曜集合礼拝の後に公開処刑が実行されており、女性には運転免許証は発行されず、親族の同行なしには旅行も許されず、男女共学の中等・高等教育機関は存在せず、国内には一軒の教会、シナゴーグ、仏教・ヒンドゥー教寺院の存在も認められず、聖書や十字架を持ち込んだだけでも国外退去処分になる。
 武力によるタリバーン政権打倒に込められたアメリカのメッセージは、サウジ王家にとっては、火を見るよりも明らかであろう』(160ページ)


 死刑制度が存在し、女性の社会進出が著しく遅れていて、かつ、国のアイデンティティー固守に拘るせいか移民許可を極端に嫌っているなどの特徴だけを取れば、わが国と似ていると思うのは僕だけだろうか。それが、宗教原理主義と島国性という全く別の淵源によるものであると見てさえも。世界の近代史を見れば分かるように、このいずれもがお上が強かった封建時代の特徴なのである。
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ドイツが、日本の死刑執行を非難   文科系

2017年07月14日 14時25分55秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 日本という国は、独裁国家や後進国にやや近いとも言える死刑制度を持っている。日本の死刑制度と移民許可の厳しさとは必ず世界的な問題になると、ここでも何回か書いてきた。移りゆく人間社会の中で、その都度の時代に姿を表してくる人間の真実や正義、真理とかいうものは紆余曲折はあってもやがては実現して行くと、まさにそういうものなのだと言いたい。何となれば国民一人一人が国家の主人公であり、世界の国民や国家は同じように大切だとは、20世紀にどんどん姿を現してきた、人間世界の正義、真理だからである。

 さて、国家が、主人公である人々の安心と幸せとのために、その真実とか正義を示し、実現していく術として、近代国家には裁判制度というものが存在する。社会正義を代表する検察側と国の主人公である国民一人一人の人権を守る弁護側とが争って、裁判所という国家三権の一つである司法が厳しく「事実認定」をした上で「刑罰」を決める。だから、日本のこの裁判制度や法律そのものが、現行の死刑制度や厳しい移民制度を認めている訳だ。まさにこの点が、今ドイツから昨日13日に非難された。その報道記事を掲載したい。

【 ドイツ外務省「非人間的で残酷」 日本の死刑執行非難 2017/7/14 11:14

「ベルリン共同」ドイツ外務省は13日、1991年に兵庫県姫路市などでスナックの女性経営者4人を殺害した西川正勝死刑囚(61)=大阪拘置所=と、2011年に岡山市で元同僚の女性を殺害した住田紘一死刑囚(34)=広島拘置所=の死刑執行を「非人間的で残酷」と非難した。

 ドイツ外務省は、これで2012年12月以降、19人の死刑が執行されたと指摘し「ドイツ政府はいかなる状況であろうと容認できない」と強調。日独両国は緊密なパートナーだとして「死刑制度を再考することを願う」と訴えた。

 欧州連合(EU)では死刑が廃止されている。】


 この報道に関わってこんな問題提起をしてみたい。
 世界旅行を何回かすれば誰でも分かるとおりに、日本は世界でも最も安心できる国だ。これは何も、先進大国としては極めて珍しい死刑制度があって極悪犯罪が抑えられているからではない。世界一の国鉄ダイアルのように時間などの約束、信用を重んじるとか、公衆道徳を守るとかの優れた国民性を誇ってきたからだ。これはおそらく、徳川300年の平和な生活の中で町人文化など人を対等に尊重するという民主主義の習慣などを、先人達が営々と育成してきたお陰だろう。さて、問題はここ。

「世界一安心できる民族に、先進国で珍しい『非人間的で残酷』な死刑制度があるって、おかしくないか?」

 これを、換言すればこういうことになるはずだ。国家の主である国民(一人一人の命)に対して、これを国家が奪う権限がもはや徒に強すぎるのだ、と。こんなだからこそ立憲主義も理解できない「旧社会主義国」のような全体主義的政権が生まれるのだとも。こういう言い分は間違いなく真実であろう。こういう政権が最近作った法律のいくつかと、辺野古・山城議長の裁判もない5か月の長期拘留とが、最近、国連人権委員会特別報告者から重大批判を投げかけられたばかりである。
 
 
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ふ~ん、シリアをやるのね 1970

2017年07月13日 07時22分57秒 | Weblog
先に一応書いとくと、青山教授はバース党寄りのアサド支持派。私がここにシリア情勢なんてトピで書くときに参考にするのは、同志社大学の内藤教授。ちなみに内藤教授は左翼で安倍批判も厳しいが 笑、中東情勢の情報量と分析は確か。
勿論、青山教授の情報も参考にはする。アサドの代弁者と批判されるだけあって政府軍の動向に関してはかなり詳しいので。但し、ホワイトヘルメットに関してはいただけなかった。
その辺りはアサド支持なので反政府勢力には厳しい立ち位置になる。
逆に思い切り反アサドの研究者も居るがそれはそれで極端になるのであまり参考にはならない。丁度真ん中辺りに居てアサドにもロシアにもアメリカにもトルコにも苦言するのが、内藤教授ということなんで、しばしば下敷きにさせてもらっている。
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