Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ご当地ミステリ? KAPPA

2009-03-13 09:28:48 | 読書
柴田 哲孝 KAPPA 徳間文庫 (2009/2).

舞台に土地勘がある小説は楽しい.牛久は茨城県で,土浦よりすこし東京より.つくばの南.牛久沼は小川芋銭の河童で有名.勤め先で,ここのブラックバスを話題にするグループがあった.国道から見るかぎりぱっとしない沼だが,奥に広がっているらしい.この小説に出てくる島は,地図にはないが,Google Earth ではちゃんと見える.

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
ブラックバスを釣りに来た男が、上半身を引きちぎられた死体で発見された。猟奇殺人なのか?地元署の捜査は混迷、難航。宿無しルポライターと、引退間際の老漁師、引き篭もりの少年、はみ出し者の田舎刑事が、事件の謎を解くため活躍する。少年と男たちのひと夏の冒険譚。名作『TENGU』に繋がる大藪春彦賞作家・柴田哲孝の記念碑的作品。
**********

TENGUという文庫本はしばらく前に書店でみかけたので,TENGUの次はKAPPAかよ...と思ったが,実際は順序が逆で,KAPPAは盗作騒動に巻き込まれて売れなかったらしい.これは1989年の作品だが,古さを感じさせない...というより,執筆当時は時代の前を行き過ぎていたと言える作品.

出版社が違うのに,TENGUもKAPPAも同じデザイナーでブックデザインが統一されている.なかなかやるなぁ..

帯には
「心温まる異色の長編サイエンスミステリー」
とあるが,冒険小説と言った方が当たっているかも.SFではなく,いかにもありそうな話.
女性はほとんど登場しない.
意外にヒューマンな結末といい,外来種に乗っ取られた日本の河川というテーマの社会性といい,不登校児の大活躍といい,中学生に推薦したいくらい.

以下はネタバレ.
ぼくは読みながらガメラを思い浮かべたが,KAPPAの正体はalligator snapper.アルファベットを入力してネットの画像を探索すると,アングルによっては河童に見えなくもない,おぞましい姿が続々と現れる.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg