Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ジミー・ヒースの自叙伝

2010-06-28 16:01:19 | ジャズ
Jimmy Heath: I Walked With Giants: The Autobiography of Jimmy Heath, Temple Univ Press (2010/1/28).

ジャズサックス奏者ジミー・ヒースはヒース三兄弟のまんなかで,兄はベースのパーシー,弟はドラムのアルバート.他のふたりに比べると背が低く,Shorty と呼ばれている.彼が作曲した曲,Big P はパーシー兄ちゃんのこと,好んで演奏する Prince Albert (ケニー・ドーハム,All the Things You Are と同じコード進行) はアルバート坊やというところか.
息子はマイルスのバンドにいたムトゥーメ.

現在はCUNY ニューヨーク市立大学? クイーンズカレッジの教授.この本もハードカバーの学術書と見まがうような装幀で,大学出版会から出ている.

自叙伝のタイトル I walked with giants は,パーカー,マイルス,コルトレーン等と同時代を生きて来たという意味.
ジミー自身の文章と,彼と交流があったジャズメンなどからの聞き書き?で構成されていて,どこから読んでもおもしろい.

たとえば,リー・モーガンが女の子に撃たれた場面とか.

たとえば,若かりしミルト・ジャクソンはヒースの家に遊びに行くと,「餓鬼とも静かに聴け」といってパーシーSr すなわちジミー達の父親がチャーリー・パーカーのレコードをかけてくれた...とか.

50 年代後半は麻薬でほとんど人生を棒にふっている.麻薬を止めた後も監視されていて,マイルスに誘われてもツァーに参加できなかったり,である.この経験が活かされたのか,それとも麻薬にはまらなかったらもっと順風満帆だったのか,それはわからない.

外からみれば,そろっておとなしく,出しゃばらないヒース 3 兄弟で,ジャズメンのなかの評判はとても良い.
でも兄弟でバンドを作ったとなると話はべつ.この当時の兄弟の確執については,ドラマー アキラ・タナがわりとあけすけに語っている.結局パーシーは面倒なことは全部ジョン・ルイスに任せるのがいちばん楽 (ギャラも4等分だし?) と考え,やはりバンド経営が面倒くさくなったミルト・ジャクソンと MJQ に復帰,Heath Brothers は終わってしまう.

彼のテナーは音は派手だがフレーズは正統的.ビッグコンボくらいの規模のアレンジが得意.On the trail, Really big など,彼の CD はメンバーも曲もその並べ方も,どれもよく考えられている.
巻末にディスコグラフィなどのデータがそろっている.作曲では組曲構成のものも多いが,Gingerbread Boy, Cloak and Dagger, Bop again などの短い曲がぼくは好き.
コメント (1)
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