
どちらも最近映画とテレビで映像化された (あるいは,されている途中) なので,原作を読んでみようかという気になった.青空文庫から iPad に落として...という作戦.
「風立ちぬ」: 高校のとき国語教師が,堀辰雄なんかだめだ,もっと命がけで書く作家を読め! と言ったのを幸い,読まなかった.ただし,そのときは命がけの作家の作品も読まなかったけど...
でも,堀辰雄も戦時下でも作風を変えなかったあたり,命がけ立ったのかもしれない.
「夫婦善哉」は初体験だが,こんなに短いの !? というのが第一印象.「風立ちぬ」の半分よりちょっと長いくらい.ほとんど改行がなく,ストーリーだけを追う文体.しかし主役の夫婦がこれでもか,これでもかと,愚行を繰り返すのに辟易した.
iPAd で読んだせいか,「風立ちぬ」はとにかく,「夫婦善哉」は最後まで感情移入できなかった.
普通の紙の文庫本では,こうした中・短編は他のものと合わせて一冊になっている.たとえば「風立ちぬ」は「美しい村」とペアになっている.なかなか「風立ちぬ」だけを読んで,やーめたということにはならない.これは,CD 遡れば LP を一枚まるごと買うのと,一曲単位でダウンロードするのとの違いと同じである.
本のカバーは CD のジャケットに相当する.
解説はライナーノートに相当する.
カバーとか解説とかジャケットとかライナーとか,有用か無用かわからないものを楽しんだのが懐かしい.
というわけで,冒頭に文庫本のカバーを並べてみた.
ちなみに Kindle 版では堀辰雄の作品26編が500ページ余の電子書籍にまとめられていて,100 円.カバーイラストに相当するものもある.