Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「木琴デイズ」という本

2013-11-07 08:13:48 | 読書
通崎 睦美「木琴デイズ 平岡養一 天衣無縫の音楽人生」講談社 (2013/09).

「BOOK」データベースより*****全米の少年少女は、「ヒラオカの木琴」で目を覚ます―単身アメリカに渡り、ラジオのレギュラー番組を持ち、日米開戦の日まで10年9ヵ月、毎朝演奏を続けた日本人がいた。世界一の木琴奏者・平岡養一、その一途な人生。二人の演奏家の魂の交感が生んだ、音楽ノンフィクション。*****

日本人の 16 トンも朝 7:15 から始まる「ペンギン・タイム」で目を覚ました...というより,既に目を覚まして,聞いていたと思う.1951 年に始まった番組で,木琴 (ときどきビブラフォン) を弾くのは朝吹英一だったが,途中から平岡養一に交代した,本書によれば,ふたりは終世のライヴァルだったそうだ.
平岡養一はときどきテレビにも出演していた.跳び跳ねる奏法と,鼻づまり的な喋り方を覚えている.

クラシックの小品や日本民謡を編曲して弾くヒトと思っていたが,むしろコンサートでオーケストラと大曲を共演するのが本来の活動だったようだ.開戦で帰国した頃は,アメリカで伴奏のピアニストにしごかれたため,楷書的な演奏だったが,しだいに個性的・行書的な演奏に変わったというあたり,演奏家が書いた本らしい記述だ.

本文 342 ページの大著.造本も行き届いている.平岡養一の評伝ばかりでなく「木琴事始め」の章は全部が木琴の歴史の記述に当てられている.著者はマリンバ奏者で,平岡養一の愛機を用いた木琴による演奏活動も行っておられるとのこと.

木琴とマリンバの音色のスベクトルの相違については,こちらをご覧下さい
でも,百見は一聞に如かず.通崎さんによる木琴演奏も CD 化されている.゛ボク的に残念なのは,CD に「山寺の和尚さん」が収録されていないこと.

もうひとつ残念なのは,同じ平岡一族で,日本で初めてビブラフォンでモダンジャズを演奏した平岡精二が,この本ではわずか 3 行で片付けられていること.
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