
日高敏隆,青土社 (2013/05).
カバーの絵が気になって,図書館で借用した.よく探したら折り返しに小さく「絵・日高喜久子」とあった.この方は著者の奥様らしい.
二部構成で,I は日本経済新聞等,あちこちに書いたコラムをまとめたもの.ブログのノリで読める.II はそれぞれが数ページのエッセイ 4 篇.解説「動物行動学と精神分析」岸田 秀.
けっこう内容が重複している.繰り返し語られるのは,小 4 の担任の言.昆虫学社になりたいと言って父親に馬鹿にされるが,担任の先生が口をきいてくれる.そのときの児童へのお説教を要約すると
「お許しがでたのだからしっかり昆虫学をやれ.だけど,虫ばかり見ていたのじゃだめだ.まず本を読まなければいけない.それには国語が要る.その虫は世界でどこにいるのか.それには地理が要る.いつごろから日本にいるのか。それには歴史が要る.日本語の本だけじゃだめだ.それには中学に入って英語の勉強をしなくては...」
II の最後の「動物行動学から見た二十一世紀」は,1997 年に書かれたもの.いかにも「動物たちは資本主義」など「経営者夏期セミナー」のテキストらしい部分もあるが,面白くてためになる.