Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

カササギ殺人事件

2019-02-13 11:58:48 | 読書
アンソニー・ホロヴィッツ, 山田 蘭 訳,創元推理文庫 (2018/9/28).

上下2巻.
毎年時期になると,だいたい過去1年に刊行されたミステリの4大ランキングが発表される.この本はそれらを全制覇して4冠達成 ! すなわち
『このミステリーがすごい! 2019年版』第1位
『週刊文春ミステリーベスト10 2018』第1位
『ミステリが読みたい! 2019年版』第1位
『2019本格ミステリ・ベスト10』第1位
である.

ストーリーは入れ子構造で,本の中に本があるようなページ建て.
文庫の上巻が作中作「カササギ殺人事件」で,あとは名探偵 (余命いくばくもないという前提) の絵解きとなるべき1章を残して残して終わる.この上巻はかってクィーン,カー,(何よりも) クリスティを読んだペースで,さくさくと読了した.

下巻はこの作中作作家のミステリ出版社の女性編集者の目線で語られる.作家も余命いくばくなく,自殺するのだが,彼女はその死に事件性を疑う.おまけに作中作の解決章は行方不明.現実の世界と作中作はパラレルワールドっぽいという趣向.作中作の人名・地名・章立てはアナグラムなどの言葉遊びでつけられたものであり,下巻は上巻の解説っぽくもある.文庫解説 (川出正樹は) ここをよく補っている.こういうことが好きなら堪えられないと思う.

しかし特に下巻の言葉遊びには,縦書き翻訳文の限界を感じることがある.作家の「遺書」は訳本では別なフォントで横書きに組んであるが,原著ではどうなんだろう.こんど丸善で立ち読みしよう.

とはいえ,ぼくの採点は☆☆☆☆★,

カットは原著ハードカバー版の Will Staehle によるカバーイラスト.同じイラストが文庫上下巻に色違いで使われている.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg