Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ミルト・ジャクソンの命日

2020-10-13 09:37:53 | ジャズ
SNS で知ったのだが,去る 10月9日はビブラフォン奏者ミルト・ジャクソン 1923-1999 の命日だった.MJQ のコンサートの主催者の下っ端だったことがあり,お話ししたことがあるのを思い出した.

もう自分は彼の享年を超えて生きているのだな.
彼の1990年代の演奏は音符の数ばかり多く,マンネリである.
アドリブで周囲に反応する反射神経が歳をとると衰える.ステージで失敗しても,アマチュアならベロを出す程度で済むが (これ,自分のこと),プロではそうはいくまい.老プレイヤーに対する「燻し銀のような」演奏という形容もあるけれど,ジャズは若者の音楽! と感じることが多い.
ゲイリー・バートンは74歳でさっさと引退した.ひとつの見識だろう.でもぼく的評価では,ジャクソンは天才,バートンは秀才.

MJQ の制約を受けたジャクソンの演奏を買わないという人もいるが,そうは思わない.楽譜に強く,バロック風でも,現代音楽風でも,シンフォニー・オーケストラとの共演でも,何でもこなしてしまうところがすごい.
一時 MJQ が解散した時期のパプロなどに残された演奏は,のびのびとしてはいるが,反面ユルフン的だった.ご本人もこれはいかんと反省して,MJQ 再編に加わったのだろう.この時期 MJQ のベーシスト,パーシー・ヒースもヒース・ブラザースで活動した.バンド経営は楽じゃない・ジョン(ルイス)に任せるに限るというのが,彼の述懐だったが,ミルトも同様に感じたのかもしれない.
再編後の MJQ もマンネリだったと,言ってしまえばそれまでだけれど...

見出し画像は,安西水丸画伯によるミルト・ジャクソンと和田誠画伯による MJQ.後者は
 和田誠 村上春樹 "Portrait in Jazz" 新潮文庫(2004)
による.この村上の MJQ に関する文章は,世間の通説をなぞっただけだ.
ジョンのピアノはドンくさく,それに対してミルトのプレイは都会的.寡黙なピアノと饒舌なヴァイブ.重いベースと軽いドラムスの対比が MJQ の魅力と,ぼくは思う.

動画は,初めて買った LP (邦盤のタイトルは Milt Jackson Quartet ではなかった) より, Stonewall.32歳の演奏.

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