Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

どこからお話ししましょうか 柳家小三治自伝

2020-10-20 08:45:04 | 読書
柳家小三治,岩波書店(2019/12).

Amazon 上の CM ***** 円熟の古典落語,軽妙なマクラで,聴くものを魅了してやまない噺家・柳家小三治.本書では,生い立ち,初恋,入門,修業時代,落語論から,バイク,クラシック音楽,俳句,忘れじの人々まで,すべてをたっぷり語り下ろす.独特の語り口もそのままに,まさに読む独演会.芸と人生に対する真摯な姿勢が,初めて明らかに. *****

著者はぼくと同世代.
これは朝日新聞連載をふくらませたものだそうだ.もとのコラムは有名人が入れ替わり立ち替わり回想するもの.聞き書き相手がいつの間にか別人になっていたりで,印象が薄い.

「自伝」というほど系統だったものではない.
両親に対してはそこそこ批判的.カラヤンも談志も好きじゃないらしいところには共感.著者の師匠5代目小さんというひとを,若い時にはわりと寄席で聞いたが,正直どこが良いのかわからなかった.これを読んで,たぶんこちらが若過ぎたのだろうと思うに至った.
落語協会分裂騒動とか談志の反乱とかにはまるで触れていない.

人情噺と滑稽噺についての見解・芸の真髄についても他のことでも,教条主義を批判すれば,それが逆な意味の教条主義になってしまう.まじめな話題を語れば野暮になるのは免れない.具体的で良くわかるのは「客もよく知ってる.話し手もよく知ってる.だけど,噺の中に出てくる登場人物は,この先どうなるのか,なにも知らない」という小さんのことばである.このことばに著者も勇気をもらったのだそうだ.

著者のカミサンの本が面白そう.
図書館の本.
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