井戸川 射子「共に明るい」講談社 (2023/11).
出版社による紹介*****
早朝のバス、公園の端の野鳥園、つきあってまもない恋人の家、島への修学旅行、バイト先の工場の作業部屋──。
誰もが抱える痛みや不満、不安、葛藤。
目に見えない心の内に触れたとき、「他人」という存在が、つながりたい「他者」に変容する。
待望の芥川賞受賞後第1作、心ふるわす傑作小説集。
誰もが抱える痛みや不満、不安、葛藤。
目に見えない心の内に触れたとき、「他人」という存在が、つながりたい「他者」に変容する。
待望の芥川賞受賞後第1作、心ふるわす傑作小説集。
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全5編.上記紹介文 冒頭の5つの語句がそれぞれ5編に対応している.すべて初出は講談社の文芸誌「群像」で,「素晴らしく幸福で豊かな 」(つきあってまもない恋人の家)は 2021 年だが,あとは 2023 年,すなわち今年に入ってからの作品.
芥川賞受賞作は読んでいない.じつは芥川賞を意識せずに図書館で借りた.あっさり美しい装丁 (六月) に惹かれてのジャケ借り.装画 新井 碧,撮影 岡はるか とある.撮影者の名があるのは,もとの新井作品が立体的だから ?
著者は中原中也賞を受賞したこともあるそうだ.ここの小説群もこれといった筋はなく,長い詩のようでもある.でも,「素晴らしく幸福で豊かな 」と「風雨 」(島への修学旅行) の2編は長すぎてもたれた.
題材はまったく共通しないが,この前読んだ「私の彼女と女友達」と似ていると思った...と言ったら著者がふたりとも怒るかもしれない.でも,共通する時代が国境を超えているということかな.