Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ネタばらし「屍人荘の殺人」

2019-08-13 08:39:18 | 読書

今村昌弘,東京創元社 (2017/10).

第27回鮎川哲也賞受賞作.デビュー作にして前代未聞の3冠!『このミステリーがすごい!2018年版』第1位,『週刊文春』ミステリーベスト第1位,『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位.

おそまきながら,図書館にあったので借り出した.☆☆☆★

バイオテロにより人里離れたロック会場の観衆がゾンビ化し,大学の映画研究サークルが合宿しているペンション紫湛荘 (しじんそう) を包囲する.冒頭に登場人物リストと,紫湛荘の間取り図.ペンション内部は階段や仕切りドアで区分されているが,その区分が次々とゾンビたちに制圧される.

ペンション内部でも連続殺人が起きるが,殺人犯は宿泊者のひとりで,この状況を利用しているらしい.

ペンションにはミステリ愛好会のふたりと,探偵少女が紛れ込むが,ミステリ愛好会の会長は早々にゾンビに噛まれ自らもゾンビ化する.事件解決後,屋上に描いた SOS の文字に救われる.

ゾンビのキャラクタ,生きている人間の気配に敏感; 噛まれるとソンビ化する; 脳を破壊しない限り活動を続ける; 知能と運動能力は極めて低い,などがゾンビ映画好きな学生のひとりの分析とぴったりだが,その理由も暗示される.映画サークルの会長がゾンビ化した彼女にキスしようとして,顔をかじられるのが傑作だ.

文章は下手だし瑕疵もあるが,本格ミステリとしておもしろい.ネタばらしと書いたが,あらすじがわかったところで,読む価値がなくなるとは思えない.密室,アリバイなどの細部が売りだからだ.

トンデモ状況下の本格ミステリとして評価できるが,SF ミステリとして先例がありそう.しかし,怪しげな研究機関に関する調査報告書から始まり,バイオテロの主体が暗示されるものの,それ以上のトンデモ状況の追求はない.巻末に鮎川賞選評があるが,この点を指摘したのは辻真先ひとりだった.


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