「復讐 三島由紀夫 x ミステリ」河出書房新社 (河出文庫 2022/5).
1998/8 刊行の河出文庫「文豪ミステリ傑作選 三島由紀夫集」の新装改題版.編集 井上明久.全 12 編.戦前 昭和 19 年の作がひとつ,他の多くは昭和 20 年代の作で,昭和 30 年代の作はなく,40 年の作品が3作 (自決は 45 年).やはり小説としてはこの3作が出来が良い.
戦前の「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜粋」昭和 24 年の「毒薬の社会的効用について」の2篇は,タイトルから読む気を萎えさせるが,果たして読みづらく途中で放り出した.終戦当時著者は 25 歳であったことを思えば,これらは文学青年の習作といったところだろう.
犯罪と殺人をテーマとするいろいろな作品が集まってはいるが,「ミステリ」らしい結末を持つものは皆無で,幻想・ホラー小説集というところ.
著者の長編小説はまともに読んだことがない.著者に特段の思い入れはない読者にとっては,まぁ悪くない一冊ではあった.
図書館で借用.
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