ウィンストン・グレアム,藤盛千夏 訳「小さな壁」論創社 (論創海外ミステリ 2023/6).
Amazon の「本の説明」*****
アムステルダム運河で謎の死を遂げた考古学者。その死に疑問を抱く青年は真実を求め、紺碧のティレニア海を渡って南イタリアへ向かう。様々な思惑が入り乱れるカプリ島に嵐警報発令。第一回 (1955) クロスド・レッド・ヘリング (CWA) 賞受賞作!*****
3人兄弟の次男が考古学者.三男がその死に疑問を抱く青年で,この小説の語り手.次男の自殺の原因となった謎の女性に,第四の男性が絡んでくる.
ミステリかと思ったら,恋愛小説みたいなラスト.
訳者あとがきによれば,「人の心の動きが焦点であり,信条・モラルや人間の本能・特性のようなものが主体となった物語」であり,「舞台となるアムステルダムとカプリの対照的な町の情景,「暗 (売春街)」の美しさと「明 (観光地)」の美しさ が描かれていることももうひとつの特徴」である.
読後に 多少の欲求不満感が残った.
訳者あとがきの他に,横井司による長尺な解説 :「『小さな壁』が CWA 最優秀長編賞受賞作に選ばれたわけを考えてみよう」を収録.
原題は The Little Walls.この由来は本文にあるが,邦題を決めるときに Walls が複数であることを考慮する必要があったと思う.
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