講談社 (1985,文庫 1998,文庫新装版 2007).
著者は 1978 年「螢川」で芥川賞.同じような小説を期待して「避暑地...」の文庫本を買ったけれど 読みかけて全く違うことがわかり,四半世紀放り出してあったのを,今回通読.
Amazon の紹介*****
修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは? 人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。
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最初の文庫の,古谷健三の解説によれば「ドストエフスキーを思わせて熱っぽく異様な雰囲気に満ちた背徳のドラマ」.
別荘の奥さまが別荘番の妻をいじめる.このあたりで読むのを止めた覚えがある.その後,別荘の主人は,別荘番の妻とも,その中学生の娘とも性的関係を結んでいたことがわかる.こういう小説は苦手なのだ.今回も何度か放り出したくなった,
別荘番の息子が語り手で,彼による殺人へと発展する.文章はいいが,地下室への鍵が何個あるというような,ミステリ的味付けはあまり上手くない.プロローグは浮いている.
でも力作とは思う.
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