阿津川 辰海,講談社タイガ (2019/9).
「2020本格ミステリ・ベスト10」(原書房)国内ランキング 第3位
「ミステリが読みたい! 2020年度版」(ハヤカワミステリマガジン)国内篇 第5位
「このミステリーがすごい! 2020年度版」(宝島社)国内編 第6位
これらのベスト10の中で定価1000円以下の文庫本はこれだけだった.
吹雪の山荘とか絶海の孤島とかの代わりに,前は山火事後ろは絶壁という山荘が舞台.「館焼失まで何時間何分」が章の見出しに添えられる.山荘には仕掛けがいっぱいで,麓までの抜け穴があるらしい.
釣り天井で殺人が起きる.探偵役がふたりで,2人いる意味はある.ひとりは高校生で,語りはそのワトソン役の高校生.もうひとりは女性で,10年前の連続殺人をひきずっている.
火が迫るなかで全員集合し,高校生探偵が悠長に謎を暴く場面が非現実的...とはいうものの,いかにも・らしいミステリを満喫できた.間取り図はあるが人物リストがないのは不満.
この作家ははじめて.文章には味がないが,すなお.第1・2・3部の冒頭に,海外作家の文章の一節が引用されている.ミステリにはよくあることだが,どういう意味があるのだろうか.
2015年創刊の「講談社タイガ」も初体験.タイガは講談社ノベルズの「兄弟レーベル」だそうだが,文庫版ノベルズっていうことだろうか.ノベルズもとんと買わなくなった.
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