中井英夫,雪華社(1985/3).
著者について,2005 年のこのブログに書いた初めの5行がまだ生きている.
だめ押しで Wikipedia からミステリ以外に関する記述を引用すると
*****(中井は) 薔薇や黒鳥を基調とした人工的な幻想小説,虚実を取り混ぜた私小説的な幻想譚を数多く発表した.現実的かつ微細なディテールを偏執的に積み重ねて明晰な幻想や頽廃を構築しつつ,独特のニヒリズムと厭世観によってその世界観が崩壊する様そのものを耽美的に描く独特の作風で評価を受ける.*****
この本は10ページほどの短編 3,30 ページほどの短編 1,100 ページほどの中編 1 という構成.目次を見た時に寄せ集めと思ったが,そのとおりだった.あとがきによれば最初の3編は雑誌「話の特集」連載.1年続く約束だったが何かの事情で中絶した.そこに既出の2編を加え,星を主題にした作品集ということで編み直した,そうである.
ぼく的ベストは,ふたつの時代がごちゃごちゃになる「星の砕片」.
挿画 建石修志.
古書店で 800円.ネットでは帯付き 3000 円以上の店もあった.でもネットが一般化してからは古書の価格は平均化したようだ.800 円は安いが,広島ではこの本は売れないと判断されたのだろう.
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