Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

花森安治 とと姉ちゃんの上司? 部下?

2016-04-20 09:57:50 | 読書


酒井寛「花森安治の仕事」朝日新聞社(1988).1992朝日文庫版.2011暮らしの手帖社版.

古書店で朝日新聞社版の初版が 450 円だった.ブックデザイン 安野光雅.

花森安治は雑誌「暮らしの手帖」の編集長.「とと姉ちゃん」のモデル大橋鎭子は「暮しの手帖社」社長であった.この本はもちろん花森安治が中心だから,大橋鎭子はちょいちょい顔を出す程度.

読んでいて既読間があった.朝日新聞連載だったため?

以下断片的な連想.

「暮らしの手帖」は叔父が購読していた.戦後うちの一家は一時期叔父の家に間借りしていたので,多分創刊号から見た...と思う.小学校高学年くらいのとき,大判の本のくせになんで手帖なんだろうと思った.そもそも手帳と手帖はどう違うの? と思ったものだ.

母親は,花森が女装していると聞いて,丸山明宏の類と思っていた.自分もそういうヒトと思い込んでいた.

パピリオの字体のことが書いてあったが,佐野繁次郎1935年の作らしい.なぜ変えたのか知らないが,今の横文字のよりずっと良いデザインだ.花森は学生時代パピリオの会社でアルバイトしていた.

商品テスト.初期はメイド・イン・ジャパンは確かに粗悪品だったが,1972年のスチームアイロンのテストあたりからアメリカ製品が粗悪化する.現在われわれは日本製がベストと思い込み「中国製なんて...」などとバカにしているが,いつまで続くだろうか? それとも,もう韓国・台湾には追い越されている?

花森の「一銭五厘の旗」は1971年(第23回)読売文学賞随筆・紀行賞を受賞している.一銭五厘は召集令状の郵便代という (実際は召集令状は郵送されなかったらしい.とにかく) 一銭五厘は兵隊の軽い命を象徴的に表すということである.花森の反戦は,大政翼賛会という戦時内閣宣伝部で働くことで「国に騙されね国民を騙した」ことがバネになっている.
「このごろの若いジャーナリスト諸君は,はじめからペンが (剣に) 降参している」は読売文学賞受賞の席での花森の弁である(読売新聞1982/3/16).現在の読売新聞は内閣の御用新聞化しており,「降参している」という自覚さえないように見受けられる.

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