Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

豆大福と珈琲

2017-08-26 09:45:47 | 読書
片岡義男,朝日新聞出版 (2016/9).表題作は朝日新聞連載.図書館で借用.

内容(Amazon 経由「BOOK」データベースより)*****
子連れで地元に戻ってきた幼なじみと「結婚」をしないまま、新しい「家族」のかたちを示していく表題作「豆大福と珈琲」ほか、たしかな文体とスタイリッシュな世界観で読者を魅了してやまない、片岡義男の最新小説集。*****

片岡義男は 1939 年生まれ.彼の作品は同世代にとってはカッコいい.もっと下の世代にとってはどうだろうと思うが,十歳年下の村上春樹も似たようなものだ.
この「豆大福と珈琲」で,片岡さんは五十年一日だと思った.内容がなく,安心して読める肯定的な文章はいつの世でも歓迎される...と,客観的に書いたが,実はぼくも歓迎派のひとり.

珈琲小説集だが,珈琲そのものというより,美人のウェイトレスがいる喫茶店で,まるいテーブルで,仕事と関連するどういう TPO で,...というような舞台設定の主役としてコーヒーをもってきた5編の短編集.小説というのはこれに人物の環境を書き加えて,イメージを膨らませていくものなんだろう.

どの短編でも,登場する美男美女たちは中年だが,おさななじみとか同級生とか,とにかく古くからの知り合いという設定.どうせなら人物の年齢を著者と同じにまで引き上げて読ませてもらいたい.
最後の「桜の花びらひとつ」でそこまでの短編たちが一つにまとまるのだが,この趣向はあまり面白くない.

装画:南川史門/装幀:大島依提亜.

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