F・ホイルのSF「暗黒星雲」では,ジョーこと暗黒星雲=人間より遥かに高い知性を持つ生命体が,人間の芸術に興味を持つ.星雲では音が存在しないとしても,音楽は信号の時間変化を楽しむものに過ぎない,というわけで,こちらからはたまたま手許にあったベートーベンの作品106ピアノソナタ・ ハンマークラビアの録音を符号化して送る.
ジョーの感想「たいへんおもしろい.どうかはじめの部分を30%だけ速さを上げて繰り返していただきたい」
再度の送信に対する応答「前よりよい.たいへんよかった....」
この曲の第1楽章にベートーベンがつけたメトロノーム記号は速過ぎて,普通のピアニストには演奏できない.エドウィン・フィッシャーがこれは間違いと断じたとかで,ふつう指定より遅いテンポで演奏される.録音の3割増が作曲者が思ったテンポだったのだろう.
もしかしたら,ベートーベンは宇宙人?
印税も入るし,こんなことで遊べるのだから,ホイル にとっては小説を書くほうが論文を書くよりずっと楽しかっただろう.
この Youtube はクラウディオ・アラウ1963年の,2分音符138のテンポによるスタジオ録音.同じ奏者によるテンポ105の演奏も Youtube にある. https://youtu.be/WeeR7MzePzQ.
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