Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「わが青春に悔いなし」

2006-09-25 15:33:25 | エトセト等
と,胸を張っておっしゃるのは原節子扮するヒロイン.黒澤明監督 1946 年の作品.キネマ旬報年間ベストテン2位.

広島市映像文化ライブラリー.午後2時からの上映で3分の入り.7割おばあさん.2割おじいさん.1割その他.終わった後ふたりのおばあさんが「つまらなかったねぇ」と言いあっていたが,ぼくもそう思いました.ある種の熱気があり,眠くなるということはないのだが,終わった後ではしらけた.

ぼくが知っているこの後の黒沢映画とはずいぶん違うように思ったが,いまは「赤ひげ」「生きものの記録」などと同系列かもと思い直している.黒沢天皇が好きなお説教くさいテーマだが,この時点ではそのテーマを面白く見せる技術を会得していなかったのだろう.

京大事件で学生運動に限界を感じ,ゾルゲ事件みたいな事件の首謀者となって獄死するのが藤田進.そのカノジョで,彼の死後,周囲の迫害に耐えて彼の郷里で彼の両親につくすのが,教授令嬢の原節子.義理の母親は杉村春子で,そんなに原節子と歳が離れているはずはないのに,役にはまっていた.

うちの母親は原節子は日本一の美人だと言っていたが,邦画にハリウッド女優が紛れ込んだような違和感.でも後半のよごれ役では存在感があった.彼女が五本指をそろえて両手をついた画面が,次の画面では二本の熊手に変わるところが印象に残った.

令嬢原節子を追いかけて学生たちが走る画面で,個々の人物と一緒にカメラが移動するのも良い.かって学生は学生服を着ていたなぁ,白黒の画面だと,みんな夢のなかのようだ.


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2 コメント

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Unknown (映画通人)
2006-09-30 13:28:53
つまらないのも道理、この映画はGHQの後押しで作られたものと思います。
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GHQ (16トン)
2006-10-05 13:04:09
この映画はゾルゲ事件からヒントを得ているようですね.そんなことを勘ぐらなくても映画は鑑賞できますが.

ソビエト共産党と関係がなくもないストーリーを,アメリカが後押しする時代もあったのか...



ゾルゲ事件はよく分からない.「デザートは死」という本があったのですが,紛失しました.
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