池内紀編「小さな桃源郷」幻戯書房 (2003/8).
図書館で借りたが,
池内紀編「ちいさな桃源郷 - 山の雑誌アルプ傑作選」中央公論新社 (中公文庫 2018/3)
として文庫化されていた.
「BOOK」データベースより*****
串田孫一と仲間たちが一九五八年に創刊した、山の文芸誌「アルプ」。執筆陣の鋭い観察と深い省察は、いずれも強靱な思想に支えられたものだった。二十五年にわたり愛読された伝説の雑誌より、畦地梅太郎、上田哲農、尾崎喜八、辻まこと、西丸震哉、深田久弥ほか、傑作山エッセイ三十三編を精選。*****
巻末に,編者による「『アルプ』のこと」という文章.1958-1983 に刊行された「アルプ」について,「並はずれて美しく,並はずれて高価な雑誌だった」と書いているる.「山の雑誌だが,山の案内はしない.コース紹介,技術や用具をめぐる実用記事まるでなし.広告は一切のせない.」
確かに初めて手に取ったとき,「なにこれ」と思ったのを覚えている.
池内さん 1940-2019 とは同世代で「とりたてて愛読者というのではなかった.それでもときおり,懐をはたいて買った」ところはまったくおなじだった.
装丁 (緒方修一) も挿画 (谷山彩子) も気の利いた美しい本.「小さな桃源郷」は先祖代々地味に暮らしている山村を念頭につけたタイトルのようだ.どこかに「昭和でおわり」という意味の文があったと思う.今訪れたら,良くて ポツンと一軒家というところかな.
教科書に載っていそうな文章が多く,思ったほど没入できなかった.波長が合うのは辻まことだが,「小屋で暮らしたとき」には発表時 1962 に絵はなかったのだろうか... 1966 刊行の「山からの絵本」では「小屋ぐらし」というタイトルで画文になっている.下はそこから一枚.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます