
入院のつれづれに八犬伝現代語訳全8巻を読了.もちろん図書館から借用した.
画像は馬琴オリジナル版の表紙より.他の巻でも表紙は犬に統一されている.
里見氏は実在し,清和源氏・新田の流れを汲み,戦国時代には大名化した.しかし歴史の主流からは外れていて,16 トンなどは馬琴の創作した家系と思っていた.8犬士はこの里見家に忠君を誓っているわけだが,この地方大名である主君に この家来たちはもったいないという気もする.
八犬伝 本文には現代の小説と違い.上下関係と親戚関係の説明がやけに多い.そう言うことを重視する時代だったのだろう.
後半は現代ではほとんど出版されていないし読まれてもいない.はっきり言えば,おもしろくないのだ.ここで もっとも活躍するのは犬江親兵衛.彼は他の7犬士よりひと世代若いが、実は8犬士ではいちばん偉いらしい.仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 の筆頭「仁」の玉を持っているためかもしれない.終盤では里見軍対両管領連合軍との戦争になるが、8犬士の兵隊の位のようなものから、彼らの序列がわかる.
その戦争は里見軍が人数は劣勢だが,それでも双方万単位の兵が動く.ウクライナ戦など、われわれは地図によって戦況を理解することに慣れているが、地図がないのが辛い.
やたらと登場人物が多い.小物のワルには,横車押之助みたいな,適当な名前が付けられている.
戦後処理から大団円にかけては,8犬士が天皇の詔勅 (みことのり) を貰ったり,8つの城の城主となって里見家の8人の姫君と結婚したりで,全くつまらない.1842 年,75 歳の執筆だが,馬琴は病眼・筆硯不自由となり代筆もさせたと言うことだし,仕方ないかな.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます