散発的な記述ですが,昨日書き忘れたことなど.
滝沢馬琴 / 山田野理夫訳,全8巻,太平出版社(1985/5) には,どの巻にもこの地図が挿入されている.テキストには房総半島だけでなく関東一円,特に江戸とその周辺の地名が出でくる.池袋,大塚,阿佐ヶ谷,湯島,芝浜,....虚構の世界に現実味を与える.江戸市民へのサービスでもあるのだろう.
八犬士たちが彷徨するための路銀の金額とその出処は,いちいち ちゃんと示されている.
足利幕府義政・義尚の時代という設定で,里見氏以下,実在した大名たちの歴史をもっともらしく脚色したらしい.ネットに八犬伝の年表をその第2部とともに発見した.すごい労作だ !! 欲を言えば,実際の歴史上の出来事も併記していただければ...
犬士たちは玉のおかげで皆スーパーマンだが、病気にはなる.信乃の破傷風、小文吾の眼病などは江戸時代の医療を反映しているのだろうか.
個々の犬士の得意技は描かれるものの,あわてものだとか,のんびりしているとかの性格付けはない.
犬士たちは折に触れ儒教的倫理観について長広舌を古い,複数で互いに褒めちぎりあったりする.
相談はたいてい盗聴される.当事者は盗聴されることを学習しないのがおかしい.しかし盗聴しているのが敵とは限らず,味方の場合もある.
犬をはじめ,猫,狐,狸などの化け物が登場.絵の中から虎が現れたり.ラスト近くには猪も.なぜか熊は現れずじまい.
神仙化した伏姫が善玉たちのピンチを救うところは,西遊記における観音様を思わせる.
口語訳について : 訳者は「死」という文字がお嫌いらしく,「しぬ」「しんだ」などに統一している.
会話で事情を説明するところを「しかじかで」で済ませるが,これは原典に従ったのだろうか.
家の書棚に欲しいが全8巻は場所をとりすぎる,と思ったら,Kindle 版がグーテンベルク21という出版社?から 2015 年に全4巻で刊行されていた.買い かな !?
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