Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「文学全集を立ちあげる」

2021-06-11 08:26:13 | 読書
丸谷才一, 鹿島茂, 三浦雅士 文芸春秋(2006/9).
単行本を古書で購入.トップ画像は和田誠によるカバーだが,スッキリしている!! バーコードがないからだ.
バーコードは帯に印刷されている.惹句にいわく
*****「漱石,谷崎3巻,志賀直哉1/2巻,芥川は外してもいい」「まさか!」*****
2010/2 文春文庫に入った.

「いま読んで面白いもの」という大原則で,古典から現代までの世界・日本文学全集を編み直す壮大な試み.世界編は2005/11文芸春秋臨時増刊が原本.日本編は語りおろし.
日本編には明治期まで,三浦によるたたき台がある.ここでは もと文春スタッフ湯川豊さんが司会としていい仕事している.

自分的にこういうのが好き.三人三様 口から出まかせを言っているみたいだが,とにかく全集が成り立ってしまうのがすごい.皆さん何でも読んでいる,と思ったが,ひとり あるいは 二人がもっぱら聞き役になるページもないではない.
結果としてできた作品リストは「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」というプログの「長門有希も笑う「文学全集を立ちあげる」」というページにあった.ここには3人のメイ台詞も適宜引用されている.

ほとんど最後に近いあたりの丸谷発言
*****平野謙が昭和初年の日本文学を私小説・プロレタリア文学・芸術派の3派鼎立と言った.この図式は今も有効性を失わなくて,私小説・プロレタリア・モダニズムの3派となっている.モダニズムの代表が村上春樹,プロレタリアが井上ひさし,私小説が大江健三郎という図式が成立する*****
井上・村上が「全集の枠組みの外」とされているのはどうかと思う.「面白いもの」という原則によれば,マイ評価では3者のなかで いちばん面白くない大江だけが,この全集に入っている.

世界編にはブラッドベリ・ヴォネガット・ディック・バラードの巻があるのだから,星新一・小松左京・筒井康隆あたりも取り上げてしかるべき.
中国文学は金瓶梅,紅楼夢だけでいいのか,三人様は他に読んでいないんだな.
などと,いろいろ批判の余地があるところも,楽しい.

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