Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ピッコロ・バイオリンのコンサート

2012-06-10 07:38:13 | 新音律


エリザベト音楽大学でパフォーマンス・フォーラム「グレゴリー・セドフ ピッコロ・ヴァイオリン・コンサート」.

この楽器についてはピッコロ・バイオリン研究会のホームページに詳しい.
バロック時代に弾かれたピッコロ・バイオリンとは関係なく,新しく創られた楽器で,ふつうのバイオリンより音域がオクターブ高い.E 線にはNASA の技術を応用して作られた0.178 ミリという髪の毛みたいな弦が使われている.

一緒に行ったジャズ研のTTくんが試奏させてもらったところによると,演奏には絶対に練習が必要とのこと.
バイオリンと言う楽器は最高音域を担当させられるが,それがこのピッコロ・バイオリンを使えば楽になるはず だそうだ.
音色はふつうのバイオリンより柔らかく,中国の弦楽器にすこし似ている.

曲目の 1/4 ほどはセドフ氏がご自分の作成になる DVD 映像をバックに演奏した.その他の伴奏は小林知世さん.
ピッコロ・バイオリン用のオリジナルはまだないので,オペラのアリアが重要なレパートリー.この日もチェイコフスキーとドニゼッティの,ソプラノ用の曲をピッコロで,テナー等用を普通のバイオリンで引き分けていた.高音の曲ばかり聴くと疲れるので,ふつうのバイオリンも登場するのだと思う.

打ち上げにも参加させていただいた.ジャズがお好きだとのことだったが,YouTube に,なんとRound Midnight の映像があった (このコンサートの記録ではありません).ご本人は何も言わなかったので,案外これの存在をご存じないのかも.
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横山裕道「3.11学 」

2012-06-09 08:44:05 | 読書
横山裕道「3.11学 - 地震と原発そして温暖化」古今書院( 2012/03)

著者とは大学時代に同じ「放射化学」という研究室に在籍した.修士課程修了後毎日新聞記者.現在は淑徳大学客員教授だそうだが,実は何十年もお会いしていない.

地震・原発・温暖化という科学よりのタイトルだが,科学者が狭い視野で書いた本と異なり,津波が日本社会に与えた影響から始まって,いろいろな話題が網羅的に,しかもバランスよく記述されている.スタンスは原発反対だが,声高という印象はない.
特に新しいことが書いてあるとは思わないが,3.11 に対する考えを整理するには良い本.

自分で本を書いて初めて関心が向いたらしいこと 2 点.
1 記述の順序がよく,文章がうまい.
2 でも,あまり売れそうもない,
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ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

2012-06-07 08:34:09 | 読書
水木 悦子 赤塚 りえ子 手塚 るみ子著 文春文庫 (2012/05/10)

マンガ家の娘たちの鼎談.単行本は朝ドラ「ゲゲゲの女房」放映当時に出版されたと思う.立ち読みしたとき面白かったので,文庫化を機に購入.

著者たちによる まえがき・あとがきに加え,なかがきもある構成.編集の3人の顔を立てる苦労がしのばれる.
いちばんよくしゃべるのがるみ子さんで,赤塚富士夫にホテルにナンパされそうになった話もばらしている.このなかでは手塚治虫がいちばん常識的に思えるが,それでも 倒産直後の 7 人の家族旅行のために大型バスをチャーターしたりして,かなり変である.赤塚家の日常は赤塚マンガそのものにはちゃめちゃで,りえ子さんはどこの家庭も同じようなものと思っていたらしい.水木家は,朝ドラで見ていたせいか,あまり違和感がない.でも水木しげる氏は3人の中ではいちばんつかみどころがない感じ.

家庭での父親像もさることながら,著者 3 人ともが経営者的な立場で携わっているらしい 父親関連企業の話に興味があった.水木プロだけが家内工業的で,水木しげる氏が人見知りをするためなんだそうだ.
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山本容子 本の話・絵の話

2012-06-05 08:26:50 | お絵かき
もう一週間経つが,日本橋・丸善に行ったら「山本容子 本の話絵の話」展というのをやっていた.

山本さんが『本の話』(文藝春秋)の表紙絵として毎月描いていた小さな肖像画のシリーズが,昨年終了した記念らしい.
創刊から7年を経たとき、72名分を一冊の本として出版したという『本の話 絵の話』(文藝春秋)が置いてあった.オリジナルも本になった絵も同じような大きさ.油彩画とちがってどちらもたいして変わらない.
単行本の帯の著者の怖い顔を敬遠し,文庫化されたほう (文春文庫 2006/05) を購入.

会場には現在進行中の『嗜み』(文藝春秋)に絵と文章で連載している「ミュージカルレッスン」のシリーズも.ポスターは「王様と私」.

『本の話 絵の話』は,本の話・人の話・絵の話の三部構成で,まんなかの「人の話」に,展覧会にあった小さな肖像画 (漫画と言った方がいいかも) が 200 字ほどの短い文章とともに載っている.第一回目・菊池寛氏についての文章の最後の言葉をが,次の人物についての始めの言葉になる,という趣向は断続的.
銅版画にも文章にもいくつかのパターンがあるようだが,その組み合わせで無限のパターンが産まれている.

絵の話では,ラスコーの洞窟の,壁の上の方にまるで宙に浮かんだような巨大な (5m が 2 頭) バイソンの絵をどうやって描いたか,が印象に残った.暗闇で照明は? 5m もある絵の全体を見るには原始的ローソクはいくつ必要か? 足場は? そこまでして描かなければならなかったのはなぜ?
一万八千年後のわれわれは,テーマの力においては彼らにずっとおとっているのではないか...
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音楽的洗濯板

2012-06-03 08:32:01 | ジャズ


musical washboard の直訳のつもり.

この動画は,YouTube には"Washboard Serenaders performing In A Shanty In Old Shanty Town in 1933" とあったが,曲は違うようだ.
なにかの映画で,洗濯場から洗濯板を拾い上げて,これを掻き鳴らす場面があった.ここでは立派にドラムセットの役割を果たしている.すごい貧乏揺すりだが,バスドラもベースもないので,落ち着かないのかな.

ニューオリンズ,フレンチクオーターの四つ角で,ひとりでこれをやっているのがいた.
首からぶら下げて,胸の前で擦っていた.同じぶらさげるのでも,チンドン屋みたいに板面を胸と垂直にして,板の裏表を使う流儀もある.

初めて見たのは,もう 40 年近く前,外山喜雄さん・恵子さんのバンドで であった.おふたりは新婚早々移民船で渡米し,ニューオリンズで武者修行したという伝説の持主.まだまだご活躍のようで,ご同慶のいたりです.

おみやげ用 washboard を買ったが,小さすぎて物足りない.指貫がついてきたが, 琴爪でひっかくのがよさそうだ.
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それでも、日本人は「戦争」を選んだ

2012-06-01 09:48:52 | 読書
加藤陽子著 朝日出版社(2009/07).

かって話題になった本を図書館で見かけたので....

アマゾンの内容紹介
*****かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。
世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。
世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争はきまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。
その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。
だからいま、高校生と考える戦争史講座。
日清戦争から太平洋戦争まで。講義のなかで、戦争を生きる。
第9回(2010年) 小林秀雄賞受賞*****

講座のあいては中学 1 年生から高校 3 年生までの歴史オタクとおぼしき 17 人.最後に記念写真が載っていて,なかなかよい感じ.

内容は,と言えば日清・日露戦争あたりは理解出来たが,太平洋戦争となると,やはりわからない.回数が限られた講義だと最後の方はかけあしになるものだが,これも例外ではなかったのだろうか.
「日本人は..選んだ」,というタイトルだが,「日本の軍部は戦争を選んだ」というほうが正確じゃないの.普通のよき日本人は,蚊帳の外だった...今でも案外そうかもしれない.

「それでも」の部分については,史実を羅列されるので, (日本人だけではなく) いろんな人間が,それぞれの思惑で,右往左往したことは分かる.あげく,戦争を選ぶも地獄,選ばないのも地獄となったらしい.しかし,これは日本という国家のひとりよがりのようでもある.現在の北朝鮮内部も当時の日本と同じ状況かもしれない.

これが例えば平清盛の時代なら「面白い」で済むのだが,多少は戦争を体験しているので,身につまされる.
でも,つい 150 年前までは,日本人同士で戦争していたことを思えば,少しは進歩したのかもしれない.
コメント (5)
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reading

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