【社説①】:新型肺炎の影響 地域経済の支援、的確に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:新型肺炎の影響 地域経済の支援、的確に
新型肺炎の感染拡大が経済活動に大きな打撃となっている。
中でも感染者が多く「緊急事態宣言」を出した北海道は深刻だ。
外出自粛の要請を受け、宿泊施設や交通機関のキャンセルが相次ぐ。百貨店や飲食店の売り上げも落ち込んでいる。経営破綻した中小企業もある。
政府は第2弾となる緊急対策を近くまとめる。関係者の声をよく聞き、的確な対策を講じなければならない。必要ならば、2020年度補正予算も検討すべきだ。
全国のホテルや旅館の3~5月の予約人数は前年同期比45%減で、北海道の減少幅は全国的にも大きいとみられる。やむなく休館する施設も相次ぐ。
影響は観光業にとどまらない。
東京商工リサーチ北海道支社の調査によると、企業活動に「影響が出ている」あるいは「今後影響が出る可能性がある」と回答した道内企業は過半数に上る。
業種は卸売業、サービス業、製造業など幅広い。事態は急速に厳しさを増している。
自民党がまとめた提言には、中小・小規模事業者の資金繰りを助ける貸付制度の創設や、割引クーポンなどによる観光業向け支援が盛り込まれた。
小中高校の臨時休校による給食の取りやめで損失を被る生乳事業者向けの支援にも言及した。
影響はさまざまな形で表れており、きめ細かく柔軟な対策が求められている。
政府は、休校中の子どもの世話のために仕事を休んだ保護者の収入を日額8330円を上限に助成する。企業は従業員が安心して休めるよう制度を活用してほしい。
対象外の自営業者らに対しても同様の支援策を用意すべきだ。
経営難でも従業員を解雇せず、休業にとどめた企業に支給する「雇用調整助成金」は道内限定で上乗せする。
雇用の維持は最優先で取り組むべき課題だ。体力のない中小企業、非正規労働者にしわ寄せがいかないようにすべきである。
気がかりなのは北海道産の農林水産物に風評被害が出ていることだ。北海道物産展を中止、延期する道外の百貨店が続出している。道産品を避ける動きも広がっているという。
合理的な理由はなく、筋違いと言わざるを得ない。
政府や道は衛生管理が徹底されている食品から感染することはないという正しい情報を発信し、不安を払拭(ふっしょく)しなければならない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年03月05日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。