《憂楽帳・01.04》:異国の歌
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.04》:異国の歌
台湾南部・屏東(へいとう)県の山中にある先住民パイワン族の集落を、日本や台湾の研究者らと訪れた時のことだ。
集まっていた20人ほどのお年寄りが私たちを見つけ、数人が日本の唱歌を歌い始めた。「桃太郎」に「靴が鳴る」。95歳のおばあさんが披露したのは旧日本軍の軍歌だった。
「荒波ほゆる赤道を にらみて立てる南(みんなみ)の 守りは我ら台湾軍」
1945年まで半世紀続いた日本統治時代に、先住民向けの学校で学んだ。名前を教えてもらえますかとペンを手渡すと、震えるような文字で「吉島春子」と記した。
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