【金口木舌・11.20】:働く喜びとAIと
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.20】:働く喜びとAIと
地方公務員の友人の妻は職場で昇進の話があると、「拒否」するそうだ。「肩書を得るだけで、責任は重くなり業務は増える。割に合わない」が理由。仕事に誇りはあるが、業務に忙殺され疲労もたまるとくれば、昇進に二の足を踏む
▼責任はともかく、職歴を重ねるごとに仕事が増えるというのは体験的に分かる。少子高齢化で日本の生産年齢人口が減り続けている。業務の幅は広がり、仕事が減ることはない
▼どこもかしこも人手不足だ。「人工知能(AI)が仕事を奪う」と言われるようになって久しいが、少なくとも身の回りにそんな気配はない。この食い違いは一体何だろう
▼ことしのノーベル賞の物理学賞と同化学賞はAI関連が受賞した。昨年、「東京都同情塔」で芥川賞を受賞した九段理江さんは創作時に「生成AIを使った」と明かし、話題となった
▼AIは信用できないという人もいるだろう。ただ、労働力不足への対応では可能性を秘めている。「拒否」はしないし、疲弊もたまらない。要は人間が使いこなせるか。感情がないAIだが、人が働く喜びや誇りを取り戻してくれるかもしれない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月20日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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