《社説①・11.20》:規正法の再改正 企業団体献金禁じる時だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.20》:規正法の再改正 企業団体献金禁じる時だ
衆院選での与党過半数割れを受け、自民党が政治資金規正法の再改正にようやく重い腰を上げた。
検討しているのは、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開と残金の国庫返納、政党から議員に支出される政策活動費の廃止、政治資金を監視する第三者機関の設置――などだ。
自民党の政治改革本部の初会合であいさつする石破茂首相(中央)=東京都千代田区の党本部で2024年11月12日午前10時7分、長谷川直亮撮影
先の通常国会で成立した改正政治資金規正法は、「抜け穴」だらけだった。自民党派閥の裏金問題に対する国民の批判は収まらず、衆院選大敗の一因になった。
政策活動費は、使途公開の義務がなく、ブラックボックス化している。党内の反対意見への配慮もあり、石破茂首相は「廃止を含めて議論」と煮え切らない。廃止は待ったなしだ。
第三者機関は、強力な権限を持った組織として出発できるよう、制度設計を急ぐ必要がある。
再改正の本丸は、企業・団体献金の禁止である。立憲民主党など野党は禁止を求めているが、自民党は反対姿勢を崩していない。
「平成の政治改革」では、国民の税金を原資とする政党交付金を導入する代わりに、企業・団体献金を禁止することになった。
1994年にまず政治家個人への企業・団体献金が禁じられた。政党向けは5年後に検討されることになっていたが、結局、見送られた。全面禁止できないまま、政党交付金との「二重取り」が続いている。
自民党の政治資金団体「国民政治協会」への2022年の企業・団体献金は約24億5000万円に上った。
首相は、企業の政治活動の自由を認めた70年の最高裁判決を踏まえて「企業・団体も寄付は禁じられていない」と話す。だが判決は同時に、巨額寄付に伴う金権政治の弊害には「立法政策」で対処すべきだとの判断を示している。
企業・団体献金によって、資金力の強い業界の意向が反映され、政策決定にゆがみが生じる懸念も指摘されている。首相は、献金に上限を設けることなどを検討する考えだが、全面禁止すべきだ。
民主主義を機能させるには、政治資金の適正化が欠かせない。与野党が協力して、抜本改革を断行し、国民の信頼を取り戻さなければならない。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月20日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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