路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ

2024-12-31 05:03:20 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.29】:自殺強要「殺人罪」 いじめ犯抑止につなげよ 

 直接手を下していなくても、被害者を精神的に追い込み自殺させた者は殺人の実行行為をしたに等しい。殺人罪に問う。警察、検察の意欲的な立件だ。

 東京都板橋区の踏切で昨年12月、男性が電車にはねられ死亡した事件で、暴力やいじめで男性を精神的に支配し、踏切内に立つよう仕向け、自殺させたとして警視庁が殺人容疑で逮捕した元同僚4人のうち、検察が2人を殺人罪で起訴した。

男性が列車にはねられて死亡した東武東上線の踏切(内田優作撮影)

 手は下さずに「自殺させた」行為が自殺幇助(ほうじょ)罪ではなく殺人罪で起訴されるのは珍しく、踏み込んだ刑事処分だ。同種事件の捜査への影響は大きい。

 男性は1人で踏切に立ち入り、電車にはねられた。外形上は第三者の関与はないが、捜査の過程で、男性が邪魔だとする趣旨のやりとりを4人がSNSで交わし、死亡現場まで車で連れて行っていたことが判明した。警視庁は1年をかけて殺人罪適用へ捜査を詰めていた。

 被害者を精神的に支配し、犯人が企図する犯罪行為を強要する「間接正犯」の立件はハードルが高い。被害者の精神状態が被告たちに支配されていたことを、捜査側が証拠で示せるかが重要なポイントになる。

 間接正犯の適用は既遂の殺人事件ではほとんど例がない。今回は被害者が死亡していることからも、精神状態の立証は特に難しいとみられている。

 自殺強要に殺人罪が適用できるか否か、裁判では激しい論争が繰り広げられるだろう。自殺教唆罪の法定刑は6カ月以上7年以下の懲役または禁錮、殺人罪は死刑または無期もしくは5年以上の懲役だ。適用罪名によって量刑が大きく異なる。

 検察は今回、被害者を踏切まで連行した2人だけに殺人罪を適用した。現場にいなかった残り2人は監禁罪での起訴にとどめ、殺人罪については処分保留とし、捜査を続けるとした。こちらには、男性への執拗(しつよう)ないじめを主導したとみられる元職場のトップがいる。引き続きの徹底捜査がなされるべきだ。

 ただ、捜査機関がこうしたいじめ自殺を殺人罪で訴追した意義は大きい。陰湿ないじめのエスカレーションへの刑事的対処として、国民感情に沿う対応だと評価する。これを、いじめから派生する犯罪の抑止につなげたい。その観点からも裁判の審理が注目される。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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