《香山リカのココロの万華鏡・01.07》:気軽に始めていい /東京
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《香山リカのココロの万華鏡・01.07》:気軽に始めていい /東京
ある雑誌の企画で、離島での医療に取り組むドクターたちとオンラインの座談会で話す機会があった。1人は三重県、もう1人は熊本県の離島の診療所で働いていた。
まだ30代と若い2人が話していた言葉で印象的だったのが、「ここでこそ自分のやりたい医療ができる」というものだった。生活は不便だし、ほかに医療機関がないので全てを自分の所でまずやらなければならないし、相当な苦労があるはずだ。それでも、「島の人たちと助け合い、地域おこしにも参加しながら、医者として人として豊かな生活ができる」と2人は目を輝かせた。
その座談会には「へき地での医療に取り組んでいる」ということで私にも声がかかったのだが、なんだかとても恥ずかしくなった。そもそも私に「自分のやりたい医療」などという理想はあっただろうか。それを求めて今の診療所に来たわけではなく、「なんとなく面白そうだし、これまでと別の生活がしてみたい」というごく軽い気持ちで飛び込んだ、という方が近い。
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