路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ

2024-11-20 09:31:50 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.20》:優生訴訟が終結 被害の回復はこれからだ 

 宮城県の女性が最初に裁判を起こしてから6年半余。旧優生保護法下の不妊手術の被害をめぐり、各地で係属中だった訴訟は、すべて和解が成立した。

 けれど、それで被害の回復が済んだわけではない。裁判の原告のほかに多くの被害者がいる。声を上げられず、置き去りにされることがないよう、政府は補償の責任を果たさなければならない。

 裁判は2018年以降、全国の12地裁・支部に39人が起こした。先行した5件について最高裁はこの7月、大法廷の判決で、旧法を違憲と断じ、損害賠償を国に命じる統一判断を示している。

 残る訴訟について、原告側は政府と和解の合意を結び、手続きが順次進んでいた。並行して、被害者への補償法が先月の臨時国会で与野党の議員立法により成立し、来年1月に施行される。

 不妊手術を受けた本人に1500万円、配偶者に500万円の補償金を支払うほか、妊娠中絶を強いられた人に一時金として200万円を支給する。被害当事者が自ら訴えを起こし、旧法の改定から30年近くを経てようやく、補償の枠組みができた。

 とはいえ、壁はなお残る。被害者側が申請する期限を施行から5年と区切ったほか、当事者への個別の通知について都道府県に判断を委ねたことも、被害者を埋もれさせる懸念がある。

 「不良な子孫」の出生防止を掲げ、障害者らに不妊手術や中絶を強いた旧法は、戦後半世紀近くにわたって存続した。根強い偏見や差別を恐れて、声を上げられない当事者は少なくない。

 また、それと知らずに手術を受けさせられ、本人が被害に気づいていない場合もある。手厚い支援の態勢を整えるとともに、当事者に補償を受ける権利があることを知らせなければならない。

 旧法による人権侵害は、政府のかけ声の下、優生政策を実際に担った都道府県にも重大な責任がある。長野県も例外でない。個人が特定できる場合は、プライバシーに最大限配慮しつつ本人に伝える手だてを考えるべきだ。

 裁判の和解とは別に、原告側と政府は、第三者機関による調査・検証を柱とする基本合意を結んでいる。被害の実態の解明はいまだ尽くされていない。

 被害者の尊厳を回復し、差別を根絶していくには、優生政策を後押しした社会のあり方を含め、徹底した検証が不可欠だ。それもまた、政府だけでなく各都道府県が取り組むべき責務である。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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