【天風録・11.27】:反戦声優
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.27】:反戦声優
ドラえもんとのび太、バカボン、パーマン、峰不二子…。子どもの頃、テレビアニメで聞きなじんだ声優たちの他界がことしは相次ぐ。おとといは忍者ハットリくん。89歳の堀絢子さんの訃報が届いた
▲堀さんが歌う主題歌や「ニンニン」「ござる」のせりふをまねた思い出がよみがえる。ムーミン谷のミイ、「トムとジェリー」のネズミ役も務めていたことは後に知った。自在に声を変える技術には改めて驚かされる
▲「反戦声優」の顔も持つ。父を広島原爆で失った。売れっ子になっても「ヒロシマが心の中で浮き沈みしていた」とかつて本紙に語っていた。父の弔いにと35年前、被爆をテーマにした小説を基に一人芝居「朝ちゃん」を創り、演じた
▲大やけどで息を引き取る少女と、母の悲しみを描いた物語。出演料はいらないと広島など全国を回って戦争の愚かさを訴え続けた。ライフワークであり、追悼でもあったのだろう。開演前には必ずお経を唱えたと聞く
▲反戦を「半千」とかけ、500回公演を目標とした。死の直前まで準備を続け、291回で力尽きた。故人に代わり語呂を合わすなら戦争、原爆が「憎い」だろう。声音とともに、その気骨も忘れまい。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月27日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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