《社説①》:説明しない細田氏 議長の資質問われている
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:説明しない細田氏 議長の資質問われている
疑惑の渦中にありながら説明しようとしない。立法府の長として責任ある態度とはいえない。
衆院議長の細田博之氏のセクハラ疑惑が国会で追及されている。立憲民主党議員が事実関係の調査を求めたのに対し、岸田文雄首相は「議長が適切に判断される」と述べるだけで、対処しようとしていない。
週刊文春の報道で表面化した。深夜に細田氏から「今から来ないか」と東京都内のマンションに誘われるなどした、という複数の女性記者の証言を掲載した。自民党の女性職員の体に触ったという党関係者の声も報じた。
細田氏は「事実無根」と否定し、「訴訟も視野に検討したい」との短いコメントを事務所を通じて発表しただけだ。野党の女性議員が国会の場での説明を求めたが、同様の主張をしたという。
否定するのであれば、記者会見を開いて説明するのが当然だ。
昨秋の就任以降、議長としての資質に疑問符が付く言動が相次いでいた。
1票の格差を是正するための衆院の「10増10減」について「地方を減らして都会を増やすだけが能ではない」と否定的な見解を示し、その後も繰り返している。
是正のルールは自民が主導して法律で決めたもので、細田氏は提案者に名を連ねていた。議会の決定を自ら覆すような発言は非常識極まりない。
先月には、国会議員の定数増を主張し「月100万円未満の手取りの議員を多少増やしても、罰はあたらない」と述べた。物価高に苦しむ庶民の感覚とはかけ離れている。
就任に伴い会派を離脱しているが、議長に推した自民の責任も問われる。
自民は政治倫理の徹底や政治資金の透明性確保を明文化した「ガバナンスコード」を決定した。女性が活躍できる組織風土づくりや、疑惑を持たれた議員は率先して国民に説明し、党は厳正に対処することが記されている。
党改革は昨年の総裁選で首相が掲げた公約である。総裁として細田氏に説明するよう促すべきだ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年06月04日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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