【社説・11.13】:COP29/気候対策の着実な前進を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.13】:COP29/気候対策の着実な前進を
国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンで開幕した。深刻さを増す地球温暖化を抑えるため、同条約に参加する約200の国と地域が出席し、22日までの日程で途上国に対する資金支援などについて話し合う。実効性のある気候変動対策に向けて、参加各国の議論を着実に前進させなければならない。
2015年のCOP21で採択された温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、平均気温の上昇幅を1・5度に収めることを目指す。
ところが欧州連合(EU)の気象情報機関の発表によると、今年の世界平均気温は1850~1900年の推定平均気温を1・55度上回り、初めて1・5度を超える見通しになった。今年夏の世界平均気温も過去最高になったとみられる。会議の参加各国は、パリ協定の目標達成が極めて厳しい状況になっているとの共通認識を持つ必要がある。
各国は来年2月までに、2035年以降の温室効果ガス排出の削減目標を策定し、国連に報告する。条約事務局によれば、各国の30年時点の削減目標が達成されても削減幅は19年比2・6%減にとどまる。35年には19年比60%減が望ましいとされ、各国が踏み込んだ目標を掲げることが欠かせない。会議では対策強化への国際協調を進めてほしい。
焦点になるのは、途上国の再生可能エネルギー拡大などに向けた資金支援目標だ。途上国側は今の目標である年1千億ドル(約15兆円)を大きく上回る年数兆ドルを求める。先進国が大量の温室効果ガスを排出し、途上国が海面上昇や干ばつなどの被害を受けてきた経緯がある。先進国側は負担の増加に難色を示すが、真摯(しんし)に議論に応じる責務がある。
先進国は、経済的に急成長し、温室効果ガスを多く排出している中国などの新興国にも資金の拠出を期待する。だが会議では新興国側の反発も予想される。温暖化防止という共通の目標に近づくため、冷静に合理的な議論を深めてもらいたい。
同様に日本にも課せられた責任も重い。国内対応を優先する石破茂首相は出席を見送る方針だ。各国首脳らが顔を合わせる中、存在感を示せないのは残念だが、先進国の一つとして、気候危機回避への議論をリードする役割が求められる。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月13日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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