「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        生活保護200万人だった昭和27年の頃

2011-05-14 07:01:49 | Weblog
全国で生活保護を受給している人は厚労省の統計だと、2月の時点で198万9769人で、この数は東日本大震災のあと、さらに増え、200万人を突破するのは確実だという。受給者数が月200万人だったのは昭和27年(1952年)以来、なんと59年ぶりとのことだ。

昭和27年とは、どんな年だったかー。日米平和条約が発効し、主権が回復した年だったが、経済は朝鮮戦争ブームが一段落してよくなかった。時の池田勇人通産相が国会で”中小企業の5人や10人倒産して自殺者が出てもやむをえない”と失言し、辞任に追い込まれた時代でもあった。

たしかに失業者は巷(ちまた)にあふれ、政府は失業対策(失対)事業を起こし、職業安定所(ハローワーク)を通じて、主として道路補修に従事する作業人を募集した。一日の日当が240円だったので、多少蔑視をこめて”ニコヨン”という言葉まで流行った。それでも生活保護の受給者は200万人を越えていたのだ。

隅田川の言問橋の周辺に廃品回収業者の”蟻の街”が出来、カトリックのゼノ修道士や熱心な女性信者、北原玲子さんが、バラックに一緒に泊り込み、これが話題となって”蟻の街のマリア”という映画がヒットしたのもこの時代だった。

あの時代から、59年の歳月が経ったが、僕の生活実感は、今の方があの時代に比べてはるかに豊かな感じがする。あの時代、一般家庭では、まだテレビも冷蔵庫も電機洗濯機もなかった。東京のような大都会でも下水道は、ほとんど整備されず、バキューム・カーが日常的だった。エアコンなどなく、扇風機の時代であった。