「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         児玉清さんの死と一病息災

2011-05-19 06:55:06 | Weblog
俳優の児玉清さん(77)が亡くなられた。いわゆる学童疎開の世代で、僕よりも若いが、あの戦争を体験した仲間である。お悔やみ申し上げます。映画やテレビドラマに疎い僕だが、毎週日曜日、児玉さんが司会していたクイズ番組「アタック25」は、なぜかかかさず見ていた。やはり児玉さんの持つあの出場者への暖かい配慮が魅力的であった。

昨年暮れ頃からであっただろうか、児玉さんにうっすらと無精ひげがみえ、心なしか痩せたようにお見受けした。いつもテレビを一緒に見ている老妻も、どこか体調が悪いのではないかと気にしていた。案の定、昨年秋ごろから、周囲の人からそれを指摘され、胃カメラを撮るよう勧められたが、病院嫌いの児玉さんは断ったという。

児玉さんは9年まえに長女を同じ胃がんで亡くされているという。普通考えると、身内に不幸があれば、余計に病気に気を配るものだが、なぜ児玉さんは配慮しなかったのであろうか。多分、自分の健康に人一倍自信があったのであろう。悪いことに、胃がんは初期の段階では自覺症状がほとんどないそうだ。児玉さんが今年2月下旬、病院で精密検査した時には、手術も出来ないまでに病状がすすみ、肝臓にまで転移していたとのことだ。

児玉さんもそうだが、戦争中教育を受けた世代には変な”頑張りズム”がある。少しばかりの病気には負けるな、と学校でも家庭でもそう教えられてきた。僕も若い時には、その傾向があったが、厄年の時に高血圧が原因で倒れた。以来、降圧剤のお世話になっているが、これが結果的には一病息災となり、健康な生活を送れている。一病を勧めるわけではないが、健康への過信は禁物である。