1962年10月、ベイルート滞在中の一日、車をチャーターして、陸路隣接の国シリアの首都ダマスカスを日帰りで訪れた。当時、アラブ諸国のうち、サウジアラビア、イラクは公式滞在ビザは許可されず、シリアも同じだったが、レバノンからの観光はビザなしでも許されていた。早朝、ベイルートを出発、深夜に戻るという忙しい旅だった。
ダマスカスは”世界一古くから続けて人が住んだ"というのが町の名の由来だそうだ。レバノンとの国境にも古代ローマ帝国時代のバールペック大列柱遺跡もあり時間をかけてみたかったが残念ながら、取材はダマスカス旧市内の8世紀のウマイア王朝時代の世界一古いモスク周辺に限られた。
半世紀以上昔もシリアは今と同だった。筆者が訪れてた前年の61年には軍のクーデターで、エジプトとの合邦が解消し、翌63年には今のバース党(アラブ社会復興党)による革命も起きている。文字通り、のぞき見だったが、古都の反日が懐かしい。