その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

大前研一 『衝撃!EUパワー』 朝日新聞社出版

2010-07-04 19:29:44 | 
 大前信者ではないが、数冊は読んだことがある。大前氏がEUに関する本を書いていたのを知って読んでみた。

まあ、一言で言うと、拡大するEUの成長性に注目し、「21世紀は超国家EUの時代になる」と予言する筆者のEU論である。

 (主な主張)
・「自社を成長させようとする企業経営者は必然的に世界の成長市場に進出し、シェアを取り、商売をしなければならない。しかしながら、・・・EUの市場への熱意、そこへの参入の必要性の理解は、現在の日本企業には乏しい。」(p41)
・超国家が民族紛争を無意味にする。
・欧州の企業が急速に多国籍化している。経営者の国籍が端的に示している。
・EUのリスクファクターはロシアに中央アジアに頼ったエネルギー問題、各国で異なる税制、金融危機。

 リーマンショックは折り込んであるが、ギリシャの財政危機に始まったユーロ危機の前に書かれているので、これが書かれた当時よりは厳しくなっていることは間違いない。ただ、一つの見かたとして、興味深かった。

 ただ筆者が言うほど、日本企業もEU市場の将来性を買っていないのではないと思う。ただ、優先順位が異なるのである。もちろん業界によって違うのだろうが、うちの会社の場合なんかは、欧州市場は、どうしてもアジア、米国の次に置かれてしまう。限られた、資金、人材をグローバルの中でどう集中と分散のバランスを取って、事業を発展させていくか?これは、なかなか難しい課題なのである。
コメント
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