その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

イングリッシュ・ナショナル・オペラ 「ばらの騎士」

2012-02-19 00:25:47 | オペラ、バレエ (in 欧州)
先週末、イングリッシュナショナルオペラ(ENO)に「ばらの騎士」を観に行きまた。有名なオペラですが、今までなかなか機会に恵まれず、私は今回が初めての観劇です。個人的に最近注目のENO音楽監督エドワード・ガードナーが指揮ということも加わって、かなり期待一杯で出かけました。

会場は満員御礼。老若男女が幅広く偏ることなく集まっていたのも、ロイヤルオペラに比べると聴衆が若い時が多いENOとしては珍しい感じがしました。 公演は、歌手とオーケストラがともに高いレヴェルの素晴らしい舞台でした。

歌手陣の中では、騎士オクタヴィアンを演じたSarah Connollyとオックス男爵のJohn Tomlinsonが群を抜いて素晴らしかったです。サラ・コノリー(女性が騎士を演じます)の高い上背と目鼻立ちのはっきりした顔立ちは騎士役にぴったりで、立ち振る舞いもこれ以上は無いのではないかと言うほど凛々しい。男の私が観ても惚れてしまいそう。この人の歌は今まで演奏会で何回か聴いていますが、いつ聴いても透き通るような美しいメゾ・ソプラノです。第2幕のゾフィとのデュエットには胸を打たれました。

また、本劇の影の主役とも言える俗物の権化オックス男爵役のJohn Tomlinsonは、存在感抜群でした。歌もさることながら、コミカルな役作りが絶妙で、この夜の盛り上がりは彼抜きでは考えられなかったと思います。

この他にも夫人役のAmanda Roocroft、ソフィ役のSophie Bevanも、持ち味をしっかり出していて、不満はありません。

そして、エドワード・ガードナーが振るオーケストラも素晴らしかった。ワルツの旋律では雅なウイーンの雰囲気にうっとりし、動きの激しい場面ではシュトラウスらしいスケールと躍動を感じるオーケストレーション。ガードナーの時はENOオケも気合いが入っている感じがします。

演出は、ROHでフィガロの結婚を手掛けているDavid McVicar。ENOでありがちな現代もの演出ではなく、比較的スタンダードなものです。フィガロの結婚と似たような舞台設定で、白を基調にして暖色系の間接照明で照らしだす貴族の居室はとても美しいです。ただ、2幕、3幕と場面は変わるのですが、舞台そのものは大きく変わることは無く、使い回ししているのは、ちょっとどうかと。

休憩入れて3時間45分の長いオペラですが、集中力をとぎらせることなく最後まで楽しむことが出来ました。


(最近、カメラが異常で、腕も悪けりゃ、カメラも悪いで、見に行くい写真ですが、祈念のため)

(ENOの本拠地ロンドン・コロセウム劇場)


(ジョン・トムリンソン)


(サラ・コノリー)


(エドワード・ガードナー)




Saturday 11th February 2012 17:30- 
Der Rosenkavalier
R. Strauss


Credits
A production of Scottish Opera

Revival supported by Dunard Fund and a syndicate of individual donors.
Original production supported by Lord and Lady Laidlaw, Peter Borender and Dunard Fund.

Conductor Edward Gardner
Director and Set Designer David McVicar
Associate Set Designer Michael Vale
Costume Designer Tanya McCallin
Lighting Designer Paule Constable
Movement Director Andrew George
Translator Alfred Kalisch

Cast includes
Marschallin Amanda Roocroft
Octavian Sarah Connolly
Baron Ochs John Tomlinson
Sophie Sophie Bevan
Herr Von Faninal Andrew Shore
Annina Madeleine Shaw
Valzacchi Adrian Thompson
Duenna Jennifer Rhys-Davies
Singer Gwyn Hughes Jones

コメント (2)
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