その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

"Never Let Me Alone" (私を離さないで)

2012-02-02 22:33:21 | 映画
 昨年、何の事前準備なしに見てまったく理解できなかった映画。今回は原作(日本語訳)で読んだ(こちら→)上でのDVD鑑賞でしたので、よく分かりました。

 映画では、主人公の年齢が原作より3年ほど若返っているなどの微妙な違いはありますが、原作に忠実です。読んだのは翻訳なので、翻訳と原書の雰囲気の違いは分かりませんが、原作の無機質な、淡々とした雰囲気がうまく表わされています。派手な仕掛けはないですが、ストーリー、演技、美しい映像で魅せる映画です。

 あらすじの紹介はネタバレになるので避けますが、原作を読んでから見たほうが、一つ一つのシーンの意味合いがより分かりやすいかと思います。

 キャリー・マリガン(Carey Mulligan)とキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)の若手女優の存在感が光ります。キャリー・マリガンは決して美人ではないですが、柔かくソフトに人を包み込む癒し系の魅力がありますね。キーラ・ナイトレイは、マンガンの柔のイメージに対して、美人で剛(?)のイメージですが、マリガンと好対照な組み合わせは、個性のぶつかり合いによる相乗効果が生まれていたと思います。2人の女性の双方の恋人となる男性役のアンドリュー・ガーフィールド(Andrew Garfield)も好演でした。この3名の子供時代の子役たちが、とても可愛いい。

 友情、愛情、成長、生きがい、臓器移植、クローン・・・いろんなテーマを抱えるこの物語は、原作を読んでも、映画を見ても、その意図するところの理解は、人それぞれで異なり、一律的に語るのは難しいと思います。が、その分けの分からなさも含めて、多方面から楽しめる映画です。

Director: Mark Romanek
Writers: Kazuo Ishiguro (novel), Alex Garland (screenplay)
Stars:Keira Knightley, Carey Mulligan and Andrew Garfield
コメント
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