ある意味とっても贅沢であり、もったいないことでもあるのだが、最近、一種の感動慣れとでも言うのだろうか、演奏会に出掛けても、以前のように胸が締め付けられるように感動するということが少なくなってきた気がする。きっと、ロンドンには「良い」演奏会があまりにも多すぎるせいなのだろう(間違っても、加齢により感受性が弱くなってきたとは思いたくない)。でも、今日のロイヤル・コンセルトヘボウの演奏会は、「良い」演奏会を遥かに超えた打ちのめされた演奏会だった。
まずハイティンク大先生がとっても元気な指揮ぶりだったのが嬉しかった。83歳のハイティンク大先生が今日どんな指揮を見せてくれるのかは、実はとっても気になっていた。現在84歳のLSO総裁デイヴィス翁が、昨年ぐらいから随分老いが目立ってきて、椅子に座っての指揮になっているだけに、デイヴィス翁と双璧をなすハイティンク大先生は大丈夫だろうか?と、とっても心配だったのである。でも指揮台に登ったハイティンク大先生は変っていなかった。1時間半のブルックナーの大曲を、最後まで姿勢を崩さず、いつもと同じように、コンパクトな動きで的確に指示を出していた。
私はハイティンク大先生の虚飾を廃した、質実剛健そのものとも言えるスタイルが大好きである。今日のブルックナー交響曲第5番は、恥かしながら私には全く初めてなので、解釈について語ったり、他の指揮者や楽団との比較はできない。単なる私の印象なのだが、ここでも大先生の指揮は、構造が明確で余計な感情が入らない。かといって冷たい、醒めた演奏では全然ない。音楽そのものに語らせ、あとは聴くものに委ねる、とでも言うような指揮ぶりだ。私は第1楽章から爆発のフィナーレまで痺れっぱなしだった。
コンセルトヘボウの巧さもさすがだった。私はホルン、オーボエ、フルートの個人技や、金管陣の澄みとおって突き抜けるような演奏に特に感じ入った。今シーズンから外来オーケストラのチケットが値上がりして、かなり逡巡したのだが、良い席を買って本当に良かった。弦、管のバランスの良さも良くわかった。至高の演奏だったと思う。悔しいが、我らのLSOもここまでできないのではないかと思わざる得なかった。
終演後は、会場はスタンでィングオベーション、ブラボーの嵐で指揮者、オーケストラを讃える。当然だと思った。自分もシャッターを押しつつ、手が痛くなるまで拍手した。
(拍手に応えるハイティンク大先生)
(オーケストラとスタンディングオベーションの聴衆)
(実は、中央のフルートの首席奏者(Emily Beynon(エミリー・バイノン)さん)のファンなのである。この人、20年前の吉永小百合を西洋ケルト風(ウエールズ出身)にした感じで、目茶、妖艶である)
※Emily Beynon(エミリー・バイノン)さんのホームページはこちら→
Royal Concertgebouw Orchestra / Haitink
Bruckner Symphony No 5
20 May 2012 / 15:00
Barbican Hall
Bruckner Symphony No 5
Royal Concertgebouw Orchestra
Bernard Haitink conductor
まずハイティンク大先生がとっても元気な指揮ぶりだったのが嬉しかった。83歳のハイティンク大先生が今日どんな指揮を見せてくれるのかは、実はとっても気になっていた。現在84歳のLSO総裁デイヴィス翁が、昨年ぐらいから随分老いが目立ってきて、椅子に座っての指揮になっているだけに、デイヴィス翁と双璧をなすハイティンク大先生は大丈夫だろうか?と、とっても心配だったのである。でも指揮台に登ったハイティンク大先生は変っていなかった。1時間半のブルックナーの大曲を、最後まで姿勢を崩さず、いつもと同じように、コンパクトな動きで的確に指示を出していた。
私はハイティンク大先生の虚飾を廃した、質実剛健そのものとも言えるスタイルが大好きである。今日のブルックナー交響曲第5番は、恥かしながら私には全く初めてなので、解釈について語ったり、他の指揮者や楽団との比較はできない。単なる私の印象なのだが、ここでも大先生の指揮は、構造が明確で余計な感情が入らない。かといって冷たい、醒めた演奏では全然ない。音楽そのものに語らせ、あとは聴くものに委ねる、とでも言うような指揮ぶりだ。私は第1楽章から爆発のフィナーレまで痺れっぱなしだった。
コンセルトヘボウの巧さもさすがだった。私はホルン、オーボエ、フルートの個人技や、金管陣の澄みとおって突き抜けるような演奏に特に感じ入った。今シーズンから外来オーケストラのチケットが値上がりして、かなり逡巡したのだが、良い席を買って本当に良かった。弦、管のバランスの良さも良くわかった。至高の演奏だったと思う。悔しいが、我らのLSOもここまでできないのではないかと思わざる得なかった。
終演後は、会場はスタンでィングオベーション、ブラボーの嵐で指揮者、オーケストラを讃える。当然だと思った。自分もシャッターを押しつつ、手が痛くなるまで拍手した。
(拍手に応えるハイティンク大先生)
(オーケストラとスタンディングオベーションの聴衆)
(実は、中央のフルートの首席奏者(Emily Beynon(エミリー・バイノン)さん)のファンなのである。この人、20年前の吉永小百合を西洋ケルト風(ウエールズ出身)にした感じで、目茶、妖艶である)
※Emily Beynon(エミリー・バイノン)さんのホームページはこちら→
Royal Concertgebouw Orchestra / Haitink
Bruckner Symphony No 5
20 May 2012 / 15:00
Barbican Hall
Bruckner Symphony No 5
Royal Concertgebouw Orchestra
Bernard Haitink conductor